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そこにAIはあるんか(研修報告)

はじめに

今回の記事は、令和6年1月12日(金)に西教組(西宮市教職員組合)主催「冬季教研スペシャル」として行った情報教育に関するワークショップ「そこにAIはあるんか」の実践報告です。(参加者47名)
実際にPCを操作することで参加者の理解や今後の活用が図られると考え、Microsoftからタブレット40台とWi-Fiルーターをお借りしました。
MIEE(Microsoft認定教育イノベーター)2023-2024に認定されたことで実現できた取り組みです。

当日の流れ

当日は、以下の手順でワークショップを行いました。この記事でも同じ手順で説明していきます。また、この記事では当日取り上げなかった活用方法にも触れたいと思います。*(+α)と小見出しにつけているものはワークショップ内ではふれていません。

ワークショップの流れ

なお、当日使用した生成AIはMicrosoftのCopilot(BingAI)です。

Microsoft Edgeを立ち上げて右上をクリック
使い方はLINEと一緒

生成AIを上手に使うコツ

生成AIを上手に使うコツとして主に2つのことを紹介しました。

2つのコツを紹介!
立場を明確に!

一つ目は、生成AIに役割を与えるということです。福原将之は、次のように述べています。

ChatGPTは「確率的に高い文章」を出力する性質があるため、指定された役割や立場に相応しい品質の回答を返してくれます。

福原将之『教師のためのChatGPT入門』明治図書 2023.9 p.57より 

生成AIに役割を与えるということは、そのAIがどのような目的や状況で使われるかを明確にするということです。例えば、教師の役割を与えた場合、生成AIは学生に対して教えることや質問に答えることを優先的に行います。また、教師としての知識や経験を反映した回答を生成します。一方、友人の役割を与えた場合、生成AIは学生と対等に会話することや共感することを優先的に行います。また、友人としての関心や感情を反映した回答を生成します。

指示は具体的に!

「指示は具体的に与える」ということは、生成AIに何をしてほしいかを明確に伝えるということです。例えば、
「小学生に分かるように説明して」という指示は、生成AIに対して、難しい言葉や専門用語を避け、例や図を使って、簡単に説明することを求めています。
「見出し案を10個箇条書きで出して」という指示は、生成AIに対して、文章の内容や目的に沿った、短くてわかりやすい見出しを、リスト形式で10個作ることを求めています。
「400字程度でまとめて」という指示は、生成AIに対して、文章の要点や結論を、文字数の制限内で、簡潔にまとめることを求めています。

以上のように、生成AIに役割を与えることと、指示は具体的に与えることは、生成AIを効果的に使うための重要なコツです。

深津式プロンプトもさらっと紹介しておきました。初めて生成AIをさわる人が半数近くいたので、ワークショップでは割愛しました。

深津式プロンプト

生成AI×校務活用3選+α

Copilotを校務で活用するアイデアを3つ+α紹介していきます。

授業アイデア

Copilotの魅力は、ウェブページやPDFファイルの内容を読み取り、それに基づいて文章を作成できることです。例えば、動画のように、学習指導要領解説のPDFを開いて、Copilotに授業のアイデアを提案してもらうことができますよ!

ちなみに、この方法は、YouTubeの動画にも対応しています。開いているYouTube動画の内容を簡単に要約してくれる便利な機能があります。

学級通信

2つ目のアイデアは、学級通信を生成AIに書いてもらう方法です。過去に書いてきた自分の学級通信の内容を生成AIに読み込ませることで、文体の特徴を真似した文章を作成することができます。一から自分で書くより、早く学級通信を完成させることができ、時短に繋がります♪

所見

生成AIが特に得意なこととして、「文章の要約・整理」が挙げられます。その強みを生かして、日々見取ったことをデジタル上で記録をつけておき、所見の時期に生成AIに内容をまとめてもらうと所見のたたき台を作ることができます。また、生成AIに「追加情報が必要であれば、出力する前に確認してください。」と質問を促すことで、やりとりをとおして生成される文章の精度を上げていくことも可能です。

(+α)アンケート分析

保護者や職員にアンケートを実施する際に、生成AIを活用する方法です。
生成AIを活用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 大量のアンケートデータを迅速に処理できる

  • 自由記述の回答を客観的に分析できる

  • 分析結果をわかりやすく可視化できる

  • 分析結果をもとに新しい提案や企画ができる

(+α)デジタルバッジ

Copilotを使えば、画像生成を行うこともできます。

詳しい作り方はこちらの記事をご笑覧ください。

上記の記事でも紹介していますが、大橋先生のX(旧Twitter)やnoteによるデジタルバッジに関する発信がきっかけになっています。

生成AI×授業活用3選+α

ここからは、Copilotを授業で活用するアイデアを3つ+α紹介していきます。ただし、小学校での実践を想定しているので、文科省が出している暫定的なガイドラインに沿って、授業者がAIとやりとりをし、その様子や結果を児童に示す前提で紹介していきます。

見出しの作成

文章をもとに見出し(タイトル)の案を出してもらう方法です。見出し(タイトル)を考えることが苦手な児童にとってはヒントを提示してもらい、ここから考えることができます。また、教科書の文章を読み込ませて、「どの見出しがより適切か?」比較・検討させる授業に活かすこともできます。

作文へのアドバイス

生成AIは事前に指示を出せば、コーチングに特化した使い方ができます。例えば、児童が書いた作文を読み込ませて、添削後の作文は書かずに、アドバイスだけ生成して、児童が自分の作文を加筆・修正するといった活動が可能になります。

この取り組みは、令和4年(2023年)の夏休みに我が子が読書感想文の宿題に取り組む際に活用した方法です。その際の記事はこちらです。

意見の分析

校務活用でもアンケートを分析を取り上げました。授業の中でもFormsで意見を集約した後、Copilotに分析させることで、予想を分類したり、振り返りを整理したりすることが可能になります。おそらくAIを使わなかったら、授業を2コマに分けないと難しかったことが1コマの中で完結させることができるようになります。

Forms×生成AIの活用法に関しては、東京学芸大学附属小金井小学校の鈴木先生の記事が大変参考なります。というか、画像に示しているプロンプトも鈴木先生記事から引用させていただいております。

(+α)Kahootの問題作成

授業で活用するKahoot!(オンラインクイズアプリ)の問題作りを生成AIにしてもらう方法です。誤答を考えてもらったり、条件を伝えてクイズを作ってもらったりすることで時短を図ることができます。具体的な方法については、次の記事をご笑覧ください。

まとめ

当日は、ネットワークの不調で参加者全員が生成AIを実際に体験できたわけではありませんが、生成AIのスピード感やクオリティに関しては、実演を通して分かってもらえたと考えています。これからも実践を積み重ねながら、自治体に教育実践に貢献していきたいと思います。

照明落として昭和感あふれていますがAIのワークショップの様子

引用・参考文献

南部久貴『ChatGPT×教師の仕事』明治図書 2023.12
福原将之『教師のためのChatGPT入門』明治図書 2023.9
新井皓士編『授業力&学級経営力 2023年 11月号』明治図書 2023.11
エンジョイ先生「教師のためのChatGPT活用例12選」noteの記事
恒吉泰行「BingAIでデジタルバッジ作り」noteの記事より
恒吉泰行「【実録】息子が夏休みの宿題で苦戦した読書感想文、BingAI(ChatGPT4)が救ってくれました!」noteの記事
鈴木秀樹「授業におけるスパイスとしてのAI」noteの記事
・鈴木秀樹「AIを活用した教育実践紹介&トークセッション」Microsoft Education Conference 2023 「AI×教育」 発表資料
・冨平準喜「講演:AIによって変わる今後の社会と、子どもたちに必要な力や教育とは」Microsoft Education Conference 2023 「AI×教育」 発表資料

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