#無垢な泥棒猫_官能という美学

23才。東京。 【本と珈琲、ラジオと映画、サウナ🗽 】 自称ハルキスト/汚れた物語が…

#無垢な泥棒猫_官能という美学

23才。東京。 【本と珈琲、ラジオと映画、サウナ🗽 】 自称ハルキスト/汚れた物語がすきなプチ潔癖/INTJ/月イチ心療内科/ 出版社→IT Filmarks ID➡️Nanamelo313

最近の記事

  • 固定された記事

#彼女を文学少女と呼ばないで/村上春樹【超弩級の芸術的なフェラチオ】村上的ジェンダー思考

海辺のカフカ/村上春樹 僕は性別からいえばまちがいなく女だけど、 乳房もほとんど大きくならないし、 生理だって一度もない。 要するになにもないんだ。 ねえ、僕はいったいなんなんだろう? ________ねえ大島さん、 そんなことを言えば、 僕にだって自分がなにかはわからないんだよ たしかに僕はほかのみんなとは “少し”変わっている。 でも基本的には同じ人間なんだ。 僕は化け物でもなんでもない。 しかしそのちょっとしたちがいが、 ときには無限の深淵の

    • +2

      最近新しい本との出会いがなく、再読。病院行ったら休みだった。一回頓服服用して心を鎮めている。ナニハトモアレ、このシリーズ全部お勧めだよ

      • 昼も夜も身体を重ね、昼も夜も言葉を重ね、束縛を望み所有を望み、不在による空虚さをも望んだ 彼だけが私に与えられる甘美さを望むのとおなじくらいに、彼だけが私に与えられる苦痛をも望んだ

        • 当時私たちは、身も世もなく恋をしていた。傲慢で貪欲で、幸福で不幸で、片時も離れていられず、人目もはばからず、生きることも死ぬこともおなじだと思っていた

        • 固定された記事

        #彼女を文学少女と呼ばないで/村上春樹【超弩級の芸術的なフェラチオ】村上的ジェンダー思考

        • 最近新しい本との出会いがなく、再読。病院行ったら休みだった。一回頓服服用して心を鎮めている。ナニハトモアレ、このシリーズ全部お勧めだよ

        • 昼も夜も身体を重ね、昼も夜も言葉を重ね、束縛を望み所有を望み、不在による空虚さをも望んだ 彼だけが私に与えられる甘美さを望むのとおなじくらいに、彼だけが私に与えられる苦痛をも望んだ

        • 当時私たちは、身も世もなく恋をしていた。傲慢で貪欲で、幸福で不幸で、片時も離れていられず、人目もはばからず、生きることも死ぬこともおなじだと思っていた

          #彼女を文学少女と呼ばないで【私はあの人の恋人だと、なぜ思い込めたのだろう】

          「楽園の土曜日」片岡義男 彼女はきっと、階段を駆け降りてくるだろう。そのときの足さばき、駆け降りるテンポ、そして足音などを、彼は空想のなかでひとつにまとめてみた。 「マイ・シュガー・ベイブ」川西蘭 乾かした長い髪のなかに彼女の顔は埋まっていた。癖のない細く柔らかな髪の毛だ。ぼくは彼女の髪の毛を指にからめて意味もなく時間をすごすのが好きだった。幻想的な絵画展を散策しているみたいに豊かな様々なイメージを感じ取ることができた。 重くたれ込めた雲がわれ、華やいだ金色の光が刺す

          #彼女を文学少女と呼ばないで【私はあの人の恋人だと、なぜ思い込めたのだろう】

          #彼女を文学少女と呼ばないで【あなたに出会ったとき、すでにあなたに恋をしていた】「恋人の寝息をききながら、死について考えていた」

          「私の憶えている限り」 二度つづけてセックスをしたあとで、ベッドにならんで仰向けになった恰好で、私は恋人に言う。 「私の憶えている限り、私はあなたに出会ったときに、もう恋をしていた。どういうことかしら。自分でもよくわからない。一目惚れというのではないの。あなたに出会ったとき、すでにあなたに恋をしていた」 「それは」 私の首の下から腕を抜き、背中をみせて床の煙草を拾いあげると、一本とりだしてくわえながら恋人はこたえた。 「それは、その通りだったからだよ」 タバコをくわえているせ

          #彼女を文学少女と呼ばないで【あなたに出会ったとき、すでにあなたに恋をしていた】「恋人の寝息をききながら、死について考えていた」

          煙草の跡 淫らな肌の凹凸 私の手を掴んで私の方を見て上下したり伸縮したりする、ひとまわり少し上の貴方の口角 なのにこれからも私を愛さない乾燥した中指 好きなんだけどと啼けない窮屈な気管支 ああ息が 上手く続かない

          煙草の跡 淫らな肌の凹凸 私の手を掴んで私の方を見て上下したり伸縮したりする、ひとまわり少し上の貴方の口角 なのにこれからも私を愛さない乾燥した中指 好きなんだけどと啼けない窮屈な気管支 ああ息が 上手く続かない

          #彼女を文学少女と呼ばないで【世の中でいちばんかなしい景色は】「かわりにあなたを呼び出したりしたら陽子さんに叱られちゃうかしら」

          「でも、陽子さんが何て言うかしら」 「気になるの?」 タクシーの屋根に両手をついて 中をのぞく恰好だった詩史は首をかしげ、 ややあって、 「いいえ」と、こたえた。 「いいえ、気にならないわ」と。 それは特別な一瞬だった。 二人のあいだにまぎれもなく共犯者めいたシンパシイが走った。愛情と信頼と共感の、輝かしいほど濃く甘い一瞬だった。 ドアが閉まり、タクシーが走りだした。 透は、座席に凭れ、目をとじて、息をすった。 世界は、この上なく素晴らしい場所だった。 東京タ

          #彼女を文学少女と呼ばないで【世の中でいちばんかなしい景色は】「かわりにあなたを呼び出したりしたら陽子さんに叱られちゃうかしら」

          《#無垢な泥棒猫》「あなたの息子さんとときどき会って、そしてときどき寝ています」【夜の果てのごく短い時間】#23才冬

          いまならば、と、透は思う。 地下鉄を神谷町で降り、 ゆるい坂道をのぼりながら。 いまならば、詩史さんも母親に逐一報告することはできないだろう。 あなたの息子さんとときどき会って、そしてときどき寝ています、なんて。 寒い夜だ。吐く息が白い。 夜の東京タワーはやわらかな灯りに縁どられ、それ自体が発光しているようにみえる。 まっすぐな身体で、夜の空にすっくと立って。 東京タワー/江國香織 だれよりも、自分を愛して生きようと思う。 私はあの人じゃなくてあの人になりたい

          《#無垢な泥棒猫》「あなたの息子さんとときどき会って、そしてときどき寝ています」【夜の果てのごく短い時間】#23才冬

          彼女は、あまりの寒さに海が凍った風景を見たことがある。海は遠浅で、ひときわ静かだった。白い花が咲きかけて途中で止まったような光景を見ながら歩いていると、砂浜に、白い鱗を凍りつかせてこわばった魚が散らばっているのを見つけた。土地の人は、こんな日を「海に霜がおりた」というらしい。

          彼女は、あまりの寒さに海が凍った風景を見たことがある。海は遠浅で、ひときわ静かだった。白い花が咲きかけて途中で止まったような光景を見ながら歩いていると、砂浜に、白い鱗を凍りつかせてこわばった魚が散らばっているのを見つけた。土地の人は、こんな日を「海に霜がおりた」というらしい。

          善也は眼鏡をはずした。踊るのも悪くない。目を閉じ、白い月の光を感じながら善也は踊り始めた。途中でどこかから誰かに見られている気配があった。見たければ見ればいい。神の子どもたちはみな踊るのだ。風が吹き、草の葉を踊らせ、草の歌をことほぎ、そしてやんだ。神様、と口に出して言った。

          善也は眼鏡をはずした。踊るのも悪くない。目を閉じ、白い月の光を感じながら善也は踊り始めた。途中でどこかから誰かに見られている気配があった。見たければ見ればいい。神の子どもたちはみな踊るのだ。風が吹き、草の葉を踊らせ、草の歌をことほぎ、そしてやんだ。神様、と口に出して言った。

          《#無垢な泥棒猫》「天使に声変わりはない」【認知行動療法、丸福珈琲店】#23才冬

          天使に声変わりはない 少年はそう告げられて喉を焼き切る 通っている心療内科で診察後に 認知行動療法に基づいたカウンセリングを 受け始めました   今週の宿題↓ 1️⃣会社で指導受けたとき、 指導の良い面を書いたメモを見る 2️⃣指導を受けたら、ありがとうと返す 3️⃣帰り辛いと感じたら何かやることありますか? というセリフで帰宅のための線引きを意識的にする あたし コウモリになって夜の森に住みたい あたし コウモリになったらブドウだけ食べて暮らすわ 木の

          《#無垢な泥棒猫》「天使に声変わりはない」【認知行動療法、丸福珈琲店】#23才冬

          《#無垢な泥棒猫》【明日の恋人は青い】#23才冬

          忘年会行きたかったのに行きたくなくなった 金曜の夜は都会を歩きたい、とか せっかく新しいイヤホン買ったのに、とか いろんな想いが沸々と、突然に 非社会人 笑顔で叱られてみるという努め 寝惚けてとけいわすれた刺青ばれちゃうね 私の寝息で揺らぐあなたの頬の毛を抜いて、 睫毛にする。この左右の目蓋に細い毛を埋める。 あの頬で透ける金色はきれいだった。揺れていた。あの日の水平線みたいになりたかった。 あなたの睫毛だけが、 私を世界から隔ててくれます。 ↕「涙のカタログ」布施琳太郎

          《#無垢な泥棒猫》【明日の恋人は青い】#23才冬

          「深夜あなたはそこにいて 私はなぜかここにいる 犬なら遠吠えするのに 小鳥ならとんでいけるのに 猫なら家をすてるのに」

          「深夜あなたはそこにいて 私はなぜかここにいる 犬なら遠吠えするのに 小鳥ならとんでいけるのに 猫なら家をすてるのに」

          《#無垢な泥棒猫》「君が嫌う君が好きって言って」【高いプライドと低い自己肯定心】#23才冬

          自分への憎しみ、嫌悪、そして自分を好きだという感情......、それら全てを含めたものを「自己愛」といい、それはそのまま「自分自身でありたい」という欲求に繋がるのだそう。 自分を卑下しながらも、「自分のことは自分が一番知っている」というプライドの高さだけは常に確保されている、という厄介さの指摘が大変印象に残ってます、、、 千原茜🍋『マリエ』 もやがかかっていく頭の中に、 いつぞやの友人の言葉がよみがえる。 確かに、体は覚えていた。 濡れた服を脱ぎ、脱がせて、肌をこ

          《#無垢な泥棒猫》「君が嫌う君が好きって言って」【高いプライドと低い自己肯定心】#23才冬

          棚にあった美しい色ガラスの器からキャンディをだし、手のひらにのせてくれながら華子は訊いた。私は首をふり、ここにいたいと言って、飴の包み紙をむいた。むらさき色。口にいれると強いぶどうの味がする。 「ここにひそんでたわけね」 私はことさらあかるい声で言った。「東京の喧騒を逃れて」

          棚にあった美しい色ガラスの器からキャンディをだし、手のひらにのせてくれながら華子は訊いた。私は首をふり、ここにいたいと言って、飴の包み紙をむいた。むらさき色。口にいれると強いぶどうの味がする。 「ここにひそんでたわけね」 私はことさらあかるい声で言った。「東京の喧騒を逃れて」