【エッセイ】読んだもののうち、とても刺激を受けたものは何ですか?
去年の暮れに「犬身」という小説を読んだ。けんしん、と読む。犬の魂を持って生まれてきた人間の女が牡犬の肉体を得て、陶芸家を生業としている別の女に飼育されるという物語だった。
犬と女は強い絆で結ばれ、やがて彼らの間には種族を超えた愛が育まれていく。しかしその飼い主は、実の兄から長年にわたり性的虐待を受けていた。犬はその兄のことが大嫌いだった。愛する女が嫌いな男に犯されている姿を、犬はただ見ていることしかできなかった。俺はその時の犬の気持ちに共感し、犬と同じ気持ちになって激し