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「ZAHAB」が発売されて

ボードゲーム「ZAHAB」がAsobition様より発売されます。
先日のゲームマーケット春では先行販売が既にされまして、Xでは遊んでいる様子や感想等がたくさんあがっております。

皆さんこんにちは。ZAHABのゲームデザインを担当しております、なんでもつくるレイ(@reibodoge)と申します。
noteではおそらくこのZAHABの話題に触れるのは初な気がするので、既存フォロワーさんからすると結構いきなり感で「えっ?!」ってなってるかもしれません。
今回はこのZAHABが発売されるというほやほやの内に記事を書いておいて、ZAHABリリースまでの話を、ちょっとした裏話なども交えながら少しでも私のことを知っておいてもらおうという打算満載なコラムを執筆していきたいと思います。


ZAHABとは

まずこのZAHAB、知らない方も多いと思いますので(というのも私のnoteはボードゲーム専用アカウントではないので)簡単に紹介しておきますと、プレイヤーはアラビアンを舞台とした世界観で商人となり、お金や宝石を交易したり要人達の貢献度を高めたり、精霊の力を借りたりしながら得点をしていくという戦略的なボードゲームとなっています。
ボードゲーム経験者向けに説明すると、ロンデルと呼ばれる周回コースをまわる拡大再生産・リソース管理的なメカニズムのゲームです。

もともとこちらのゲームは、同人で出していた「銅と銀の交易者」というゲームをAsobitionというパブリッシャー様によりリメイクされたものとなります。


元となったゲーム「銅と銀の交易者」

「銅と銀の交易者」の時から評判は良く、中にはこちらが出始めた当初から、これはどこかのパブリッシャーから出てもいいのではないかという声も上がっていた程でした。


銅と銀の交易者としての軌跡

元のゲームは最初から、”ロンデル+手札構築+拡大再生産”という方針じたいは決まっていました。これはいわゆるボードゲームのメカニズム、つまりシステム面での方向性ですね。どういうタイプのゲームかということです。
肝である”ロンデルを1周すると手札を回収する”というルールは確か一番最初からあったと思います。むしろ、それを最初に考えてそこからどうやっていけばゲームになるかという風に広げていったような気がします。

私自身、ゲームづくりに関しては数10種類を並行して制作しテストプレイを繰り返しており、この頃くらいからは初回のテストプレイ時で
「全くダメだ、またこの世にクソゲーを生み出してしまった…!」となる率はかなり激減してた時期に入っていたと思います。
銅と銀の交易者に関しても、初回からまずまずの形にはなっていました。

しかし、同時に色んな課題もありました。その一つ一つを全て覚えているわけではないですが、それらをテストプレイを重ねるにあたり、一つ一つ潰していきました。

”勝利点が3色に分かれていてそれらが一種の能力強化に繋がる”というのもこのゲームの大きな特徴の一つです。これは初期段階にはありませんでした。中盤以降になって設定されたルールだったように思います。

そうやって色んな枠組みが固まってきて、最後に2人プレイ時にどうするかというところまで来ました。
こういったゲームはできるだけプレイ人数の幅を広げることがプレイヤーの裾野を拡げることとなり多くの人に遊んでもらう重要な要素となるため、3~4人用ではなく、可能な限り2人でもできるようにはしたいなと思っていました。

2人用ルールの確立

このゲームは、ロンデルの同じマスに2人以上入れず人がいるところは飛び越えていかねばならないという肝のルールがあります。4人で遊ぶと特に、入りたいマスに他の人が先に入って邪魔をされて…という展開がよく見られます。
これが2人となると、そのジレンマや駆け引きはほとんどなくなってしまいます。ですから、もしこれを解決するとしたら使っていない駒を使って邪魔させるしかないだろう、そういう考えにはすぐに至りました。

問題は、その駒をどのように使うかという点です。
どこかのマスに固定して完全封鎖してしまうと、全く使えないアクションができてしまいます。ある程度可変である必要があるでしょう。
というわけでこの駒は動かすということになるわけですが、よくあるパターンとして、いわゆるNPCと言われる自動行動があります。コンピューターが操作しているかのように例えば毎回2マス進むとか3マス進むとか決められていて、同じように固定の行動を繰り返すというものです。多くのゲームの1人用ルールなどに採用されています。
多分本当に最初はそういう方法も頭にはあったと思いますが、実際これを試そうとした時に、プレイヤーの駒と同じように前進していってしまうと、その距離感と言いますか車間距離とでも言いますか…同じような感じの展開がずっと続く気がしたのです。プレイヤーの歩数は1~3歩の可変とは言え追い越したり追い越されたりになりにくそうかな?と。

そうして、この駒はプレイヤーがお互い動かすということを試したのです。そうしたら初回テストプレイ時からかなりしっくり来る動きを見せました。なんなら、この駒は相手の行きたそうなマスを封じたりと能動的に攻撃できる上、自身の前に持ってくることによって飛び越えることで歩数を伸ばすことに使えたり…と、3~4人ではなかった新たな戦略的一面を見せてくれることになりました。
多くの中量級ゲームでは3~4人がベストで他の人数はルールは用意されているが推奨面では劣るということも多いと思いますが、「銅と銀の交易者」は自身を持って2人ルールもオススメと言えるようになりました。


何故銅と銀?

さて、ゲームが完成に近づいてくるに連れ、アートワークだったりゲーム名だったり色んな細部が決まっていきます。

ところで何故「銅と銀の交易者」という名前になったでしょうか。
”交易者”の部分は、変に奇をてらわずに、こういった感じの中量級ボードゲーマーが好きそうな感じの語句を選んだだけなのですが、リソースを”銅と銀”にしたのは何故なのか。

実はなんでもつくるレイとして世に出してきた作品のいくつかは、ある共通点があります。それは…


レイの好きなものを入れ込んでいる

です。これはゲーム名だったりフレーバーそのものだったりします。
例えば2018年に発表した人気作「破天荒な結婚相談所~ママレード・クラブ~」の”ママレード”は、私が大好きな少女漫画「ママレード・ボーイ」からとっています。
その後も2019年には「マッド・タネン」を発表。これもレイの大好きな「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の登場人物の名からとっていますし、2021年には「ラムラムパーティー」が人気を博し、これまたレイの大好きな「うる星やつら」のラムちゃんからとってきて、2022年には「Name is value」を発表、こちらはタイトル名ではないですが、レイの好きな藤の花をテーマにしたゲームにしました。


「ママレード・ボーイ」からモジった、「破天荒な結婚相談所~ママレード・クラブ~」



ではこの銅と銀の交易者は…と言いますと、「カイジ」や「アカギ」などで有名な福本伸行先生の隠れた名作「銀と金」をモジって”銅と銀”にしたのです。ですから”銀と銅”という順ではなく”銅と銀”なんですね。

そして、これがリメイクとなりZAHABと進化したわけですが、この際のDTP・デザイン面は一任しているため、アラビアンなアートワークや世界観含め、別の方に担当頂いています。その方も主にアートワーク面でのデザイナーズノートを公開されています。

アートワーク面からみた「ZAHAB」について。

あとがき

今回はZAHABリリース記念、ということで普段やらないデザイナーズノート的なコラムを書いてみました。本当に初です。

実はZAHABよりも前に商業デビュー果たしていますが、それが
「AVタイトル制作ボードゲーム珍卍」というもので、全っっっっっ然、といっていいくらいタイプの違うゲームでした。多分これを見て、「え?!あれもZAHABと同じ人なの?!」となった人も中にはいるでしょう。
あっちは割とサクっと出来たゲームなのでデザイナーズノートとかは書いてません。その代わりyoutubeの方には制作秘話みたいな動画はあげていたりします↓

大ヒット御礼!AVタイトル制作ボードゲーム「珍卍」の制作秘話を語ります!

このように、私の制作のモットーとしては
「色んなタイプ、色んな種類のものをたくさんつくる」こととしています。
ですから、これまでも色んなタイプを発表してきましたし、これからもそれは変わることはないと思います。皆さんには是非、そんな色々チャレンジするなんでもつくるレイを見ていってもらったり応援してもらえれば幸いです。

そんななんでもつくるレイの最新作が、TSものあるあるをリアルに再現した貴重なボードゲーム「女体化ラプソディ」です!


なんでもつくるレイの最新作「女体化ラプソディ」

性転換薬を使って女の子になったり男の子に戻ったりして色んな経験をするという、他ではなかなかみないレイらしいユニークなゲームですので是非ご注目♪
こちらのページで通販等もやっております↓↓↓


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