「お仕事、七日目の奇跡〜【よ】は米澤穂信の【よ】」の話
聞いておくれよ……
つくねは今、猛烈に感動している!
いきなり?
イヤ、しかし。
コレは……
致し方なし。
こんなん
「すげぇ面白い!すっげー面白い!!マジで!!!」
としか言いようがない。
こいつだよォォーーーッ!
た、魂が震えてんぜェェ……
話は30時間ほど前に遡る。
「本、読まれるんですよね?」
売り場で明石さんから話しかけられたんだ。
「えっ……は、はい!あー……いや、どちらかと言えば漫画を好む傾向にはありますが……」
あんなに……
あんなに待ち望んだ会話。
やっと、そういう話が出来ると思ったのに、いざその場面がくると、乙女ゲーで鍛えた(ハズの)
つよつよメンタル&コミュニケーション能力は何処へやら。
「あー……そうなんですか?」
「イヤ、読むのは割と好きなので、本にハマるのにやぶさかではなく……えーと」
習ったばかりの作業をしながらの会話なので全集中が出来ず、ここで会話は一旦途切れた。
しかし……
つくねはそこで諦めない!
コミュ力は……
力技!
つくねの中の大賢者から命令が下る。
【何でもいいから、本の話をしろ】
せっかく話しかけてくれた彼女の勇気。
それを無碍にする訳にはいくまいよ!
彼女もきっと、こういう話をしたかったハズなんだ!
(きっと、そうなんだ!)
「どどどういうの読まれるんです?」
「うーん……最近はあんまり読んでないんですけど……伊坂幸太郎とか……」
「あー!グラスホッパーは読みました!(エッヘン)」
「後は米澤穂信とか……」
「んん?よ……?」
「米澤穂信です」
「私、はじめましてかも……」
「めっちゃ面白いんですよ」
あー……
これ!
これなんだよ、望んでたのは!
あの手この手で私を本まみれにして欲しかったんだよ。
こちとら望んで落ち(?)に行ってんのに
誰も落としにきやしねえもんだからさ。
「わー……明日、休みじゃし買って帰ろうかな」
「面白いですよ〜」
「何がオススメですか?」
「『満願』っていうのが、短編集なんですけど……読みやすくていいかな……」
すると店長が調べてくれて
「あ……在庫ありますね」
「やった!CDも欲しいのあるんです!MAN WITH A MISSIONのアルバムで……」
「えーと……これもありますね」
「わー!」
「売り場へ探しに行きましょう」
「し、し、初回限定のがまだあるゥーー!!」
「フフ、良かったですね〜」
「っ……デュフフ……」
「……オタクの香りがしましたよ」
「自然に溢れた己の反応にビックリしました……」
そして、冒頭に戻ると。
こんな、ひとつ70ページ程の物語にさ……
上手いこと凝縮させて
「うぉ……マジか……」
「わー!怖っ!」
「嘘じゃろ……はー……」
一人で読んでてまあまあおっきい声が出る本に出会ったんよ?
書きたいよ?
書きたいんじゃけどな?
こんなの上手いこと感想文書けるほどの力は……
イヤ。
違う、そうじゃない。
「それを書くにはこの余白は狭すぎる」cv.フェルマー
そう。
全ては余白の問題。
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