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【第8回】つくば発ヘルスケアテックが医療に革新を起こす

こんにちは!つくば研究支援センター(Tsukuba Center Inc.)のnote編集部です。11月も今日が最終日。12月はもうクリスマスシーズンです。年末年始の予定はお決まりでしょうか?

note第8回の記事となる今回は、つくば発ヘルスケアテック・スタートアップをご紹介します。


ヘルスケアテックとは?

「ヘルスケアテック」とは、IT・IoTやウェアラブルデバイスなどを活用し、病気の予防や治療、診察後のアフターケアなどに取り組むことを指します。
従来、対面やアナログが当然とされてきた医療・保健の分野に先端のテクノロジーを導入されることで、時間的・物理的弊害がなくなり、迅速で効率的な医療サービスの提供が可能になるのみならず、患者それぞれの健康状態をモニタリングすることなどが可能になります。

デジタルヘルス領域の見取り図(経済産業省資料より抜粋)

国民の4人に1人以上が高齢者になる超高齢化社会の到来を見据えて、日本全体での社会保障費の抑制や、健康・医療情報を活用したより良い健康管理の観点から、ヘルスケアテックには大きな注目が集まっています。

さらに、ヘルスケア産業は2025年には約33兆円になると推計される巨大な市場であり、ビジネスとしても今後発展が見込まれます。

これらを背景に、国内でも数多くのスタートアップが誕生しており、革新的な製品やサービスを提供しています。
本記事では、つくばで未来の医療・ヘルスケアを創造する筑波大学発のヘルスケアテック・スタートアップ5社をご紹介します。


株式会社S'UIMIN:正確な睡眠計測によるすべての人の睡眠課題の発見と解決

S'UIMINは、世界的な睡眠学の権威である筑波大学の柳沢正史教授を代表取締役として、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構のシーズをもとに「スリープイノベーションの創造によりすべての人の睡眠課題の発見から解決を」をビジョンとする事業に取り組んでいます。柳沢教授は、”ノーベル賞に最も近い学術賞”とも呼ばれる、2023年9月、クラリベイト引用栄誉賞(Citation Laureate)を受賞しました。経済産業省「令和4年度ヘルスケアサービス社会実装事業費補助金」採択事業にも参画しています。

同社は、多くの方が悩んでいるにも拘わらず正しく把握することが難しい睡眠問題を、誰でも簡単にかつ正確に可視化できる睡眠計測技術を有しており、この技術を利用して、健康診断や人間ドックのオプション検査として睡眠検査を行うサービスや、睡眠検査で発見された課題を解決するためのソリューションを提供しています。
また、睡眠改善を目的とするサプリや寝具、家電製品のような誰でも簡単に利用できるソリューションの企画・開発・評価をサポートする研究支援もサービスとして行っています。


株式会社リーバー:ICTで実現する子どもたちの心のケア〜子どもたちの心の不調を学校が早期に把握できる仕組みづくり〜


リーバーは、2017年「日本MITベンチャーフォーラム第17回ビジネスプランコンテスト&クリニック」最優秀賞受賞したスタートアップです。2022年に経済産業省「行政との連携実績のあるスタートアップ100選」に選定されたほか、2023年には内閣官房が健康観察アプリとして推奨、文部科学省にメンタルケアアプリとして紹介されるなど、多くの注目を集めています。

小・中・高等学校における不登校の児童生徒は近年急増(約36万人)し、大変残念なことに自殺者が500人を超えるなど、心の健康の重要性が高まっています。
文部科学省が今年3月に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」を取りまとめるなど、国を挙げた改革も進められていますが、リーバーは、同社が提供するアプリ「LEBER」内に新しく、ヘルスケアの知見やIT技術を駆使した「心の健康観察」を開発しました。


Ambii株式会社:医療機関の受診や自治体のワクチン接種・健診をもっとスムーズに

Ambiiは、2021年内閣府・経済産業省・JETRO「スタートアップシティ・アクセラレーションプログラム Global Preparationコース」に選定されたほか、つくばスーパーシティー連携事業者にも選定されたスタートアップです。

同社は、多言語対応の医療機関検索システム、オンライン予約システム、患者のスマートフォンで利用可能な問診システムを提供しています。これらのシステムは医療機関で実際に活用されており、既に効果的な運用方法が確立されています。
また、医療機関や自治体におけるワクチン接種や健康診断の手続きにもAmbiiの利用が検討されており、受診率向上や業務効率化に期待が寄せられています。

 

株式会社MamaWell:パーソナル助産師によるデータに基づいた母子の健康伴走サポートサービス

MamaWellは、千葉大学発・筑波大学発ベンチャーの2つの認定を受けたFemtechスタートアップです。「令和4年度つくばSociety5.0社会実装トライアル支援事業」に採択され、スタートアップ賞を受賞したほか、千葉市産業振興財団「第21回ベンチャー・カップCHIBA」【学生部門】でグランプリを受賞。さらに、2023年三井不動産・柏市「KOILスタートアッププログラム」採択、経済産業省「令和5年度フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」採択など、多くのピッチイベントやプログラムにて選出された実績を持っています。

妊娠している女性の多くは、どのくらい働いてよいのか不安を抱きながら仕事をしている一方で、企業側も妊婦にどのくらい仕事をお願いしてよいのか分からず、対応に困っているという課題があります。同社のサービスは、このギャップを埋めるための解決策を提供します。
妊婦が、独自開発アプリの活動記録やウェアラブルデバイスの健康データに基づき、専属助産師から個別最適化された活動アドバイスを受けることができます。就業の継続と健康的な妊娠生活を両立させ、予期せぬ休職や離職の防止を目指します。また、企業に対しては、妊婦社員の業務負荷についてフィードバックを行い、企業全体の生産性向上に繋げるソリューションを提供します。


株式会社World Life Mapping:先端技術とノウハウを用いてWell-beingを目指せる健康経営組織を育むシステム

World Life Mappingは、筑波大学「2019年国際ユニコーン育成プログラム」及びつくば市「令和3年度未来協創プロジェクト」に採択されたスタートアップです。「第16回キャンパスベンチャーグランプリ東京」では日刊工業新聞社賞を受賞しており、つくば発の上場ヘルスケアテックベンチャーである、CYBERDYNE社からも出資を受けています。

同社は職場環境改善を中心に事業を展開しており、現在は、全ての医療従事者が心身ともに充足した状態で思いやりを持って質の高い医療を提供できる医療組織にすることを目指しています
体系的に思考・研究された組織論とクリエイティブな改善方法(EAP、EMC、サイバニクス、ポジティブ心理学、コーチング)に基づき、人材をただ配置するだけでなく、効果的なシステムを伴ったハイブリッドな仕組みを組入れ、定着させていきます。


ヘルスケアテック・スタートアップに会いに行こう!~ミートアップイベントのお知らせ~

本記事でご紹介したヘルスケアテック・スタートアップ5社は、12月5日(火)につくば研究支援センターで開催されるミートアップイベントの登壇企業です。

このイベントは、つくば研究支援センターが、関東経済産業局と共同で主催します。成長意欲の高いヘルスケア・スタートアップを大企業や医療機関と橋渡しして、オープン・イノベーションを通じた医療の革新を促進します。

以下のページから現地又はオンラインでの参加のお申込みができます。
この機会にぜひつくば発のヘルスケアテック最前線を体験ください!

スタートアップの経営者・事業責任者等と実際に交流できる貴重な機会でもあります。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。


執筆:つくば研究支援センター ベンチャー・産業支援部 大塚和慶

※本記事は、個人的見解・意見を述べるものであり、つくば研究支援センターの組織的・統一的見解ではなく、それらを代表するものでもありません。