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素晴らしい作品に出会えた「PERFECT DAYS」

先週の土曜日、大森の映画館に向かった。
「PERFECT DAYS」を見るために。

「PERFECT DAYS」は僕が好きなYotuberが見た方がいいとラジオで言っていたから見てみようと思った。僕の映画の選定基準は直感が8割で紹介してもらった作品が2割。
この監督の作品だからとか自分の好きな俳優が出ているからとか、
そう言った理由ではない。

今の時代映画もタイパが悪いとか、微妙な世の中になってしまった。
まあ、人それぞれ映画に対しての捉え方はたくさんあるが、映画館で見る映画は携帯をシャットアウトし、
2000円払えば僕を異世界に連れて行ってくれる。
僕にとって、こんなにタイパの良い話はない。

さて、話を戻そう。
今日は、タイパではなく「PERFECT DAYS」について話がしたい。

「PERFECT DAYS」は本当に素晴らしい映画だった。
このnoteを読んでくれた貴方、今すぐこのnoteを閉じて「PERFECT DAYS」を映画館で見に行こう。


都内の公園の公衆トイレの清掃員をしている平山という男の「変わらない」日常を描いた映画だ。
平日のトイレ掃除の仕事、休みの日は、お風呂に行き、行きつけの飲み屋で飲んでいつもの物を注文、ベッドに横たわり本を読んで寝る。
そんな平山の日常がただスクリーンに映し出される。

自己啓発本やXを開けば、世の中の有識者達を中心に「今を必死に生きよう」とか「人生一度切りだし、やりたいことをやろう」というようなメッセージに溢れている世の中。

自分の今に対して満足しづらくなっているこの世界だからこそ、
「PERFECT DAYS」は、僕たちに対して「何か」を伝えようとしていた。

この「何か」は、
25歳の僕と26歳の僕
1ヶ月後と2ヶ月後の僕でも変わっているだろう。

その日は映画を見終わって、
映画館の近くの二郎系ラーメンを食べた。

ずっと見たいと思っていた映画を見て、
大好きな好きなラーメンを食べて、
また次の日から働く。


その日も平山と同じ「PERFECT DAYS」だった。

↓公式サイト

↓映画予告


ここからは、僕個人的に思ったこと(※ネタバレ注意)を書く。
まだ見ていない人は、見てから読んでほしい。

僕は、映画を見終わった後、下記のメモを残していた。

平山は自らの手で人生を変えようとしていないが、環境(出会う人)が人生に影響を与える、つまり人生は不可効力である。だからこそ、抗うべきだ。

平山の日常を通して、何でもない日常が幸せであるということもメッセージとして残しながらも、
平山は「何でもない日常」を手に入れるために、社会に対して抗っていた。

それを強く感じたシーンが、平山と一緒に働いていた若いバイトが辞めるという電話をもらっているシーンだ。

「シフトはどうするんだ!」とバイトに対して、今まで大人しい性格なのに声を荒げていた。恐らく本社にも連絡をして、「これが毎日続くときついからな!」と声をいつもより荒げて担当に伝えていた。

担当するトイレ掃除の数が増え、長時間労働になっていたシーンは、いつも寝る前に本を読んでいた描写もなく、平山はぐったりした様子だった。
何週間後かはわからないが、辞めたバイトの後任がやってきたシーンもあり、平山は笑顔を見せた。

また平山は仕事の手を抜かない。自分の目では届かない汚れがないかと探すために、ミラーを片手にブラシで磨く。まさにトイレ掃除のプロフェッショナルだ。

ここはあくまで推測だが、平山自身の真面目な仕事ぶりは本社担当にも届いており、だからこそ、平山の主張はすぐ届いたのである。
※主張は、早く新しい担当を派遣しろということ。

一見平山の生活を見ると、資本主義から離れ、自分のカルチャーで生きる様を映し出しているように見えるがそうではない。

あくまでも、平山は社会生活の中で自分のやることはやった後で、人生の余白を手に入れようとしていた。

木花への水やり、古書店で新しい本探し、寝る前の読書、レコード収集、銭湯、スナックでのママとの会話。

どれも、平山自身が本当にやりたいことだ。

平山は、自分の意思で選択した行動が人生を豊かにすることを知っていた。

僕たちは、この社会から目を背けることはできないが、選択をする自由はある。

1年後、26歳になっている僕は「PERFECT DAYS」を見て何を思うのだろうか。

楽しみだ。