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47都道府県を「一人で泊まれる温泉宿探し」の難易度で5つのグレードに分けてみた

毎年更新している「今年泊まりたい宿47軒」の記事執筆を終えて

各都道府県から1軒ずつ「今年泊まりたい温泉宿」を選出した記事を、先日公開した。

この記事をなぜ公開しているかと言うと理由は大きく2つある。
1つは、記事中にも書いているが、私自身が「次の休みにどこに行こうかな?」と思ったときに選択肢を絞りやすくするためのリストとしてである。

ただ、その理由だけであれば「1県につき1軒の宿」にこだわる必要はなく、同県内で泊まりたい宿が何軒かあるなら複数ピックアップしてもいいし、泊まりたい宿がない県があっても問題はないだろう。それなのに「1県につき1軒」の縛りを入れているのは、何の縛りもなしに「泊まりたい宿」だけを並べていくとどうしてもエリアに偏りが出てしまい、そのことに不満を感じる読者に対して配慮しているからだ。

たとえば「今年泊まった宿でコスパ最強だった宿ベスト10」という宿を毎年公開しているのだが、ベスト10の顔ぶれを見るといくつかの県に偏っている。

温泉宿が多い県では競争原理が働くので、宿のほうも価格を抑えたり工夫を重ねたりして、いい宿が残っていく。だから「泊まってみてお値段以上の価値を感じた宿」をピックアップすると「温泉宿の選択肢が多い県」の宿が多くなってしまう。仕方がない。

だけどそうすると「この辺りのエリアにはいい宿はないんですか?」という指摘や質問をいただいてしまう。
具体的に言えば「関西から行きやすいエリアにいい宿はないんですか?」と毎回言われるのだけれど、私自身東京在住で、西日本エリアに行く機会がそこまで多いわけでもないので「全国の宿から良かった宿を10軒ピックアップする」というようなテーマだと、九州以外の西日本の宿は、他地域に比べて紹介できる宿の数が少なめになってしまう。

できれば多くの方のリクエストにお応えしたい気持ちはあるので、毎年どこかしら、西日本エリアの温泉にも足を運んでいるのだ。
たとえば昨年noteで旅日記を公開した「遠い海の温泉」は和歌山県内の温泉宿だし。

今年「蟹を食べるための旅」を計画したのは兵庫県内の温泉宿である。

だけど、他地域の温泉宿と一緒に記事にまとめると、西日本エリアの温泉宿の比率が低くなってしまうのは仕方がない。
「東北や甲信越でもっといい宿あるけど、西日本の宿が少ないから西日本の宿を優先して紹介しよう」
などという忖度はしたくないし。

でも、せっかくブログを読んでくれたのに、いつも西日本の宿をあまり紹介できなくてがっかりさせてばかりで申しわけないな。
そうだ「泊まりに行きたい宿」を全都道府県から選べば、公平に紹介できるじゃない!
ということもあって「各都道府県から1軒ずつ、1番泊まりたい温泉宿を選出する」というルールで記事をまとめているのである。

この企画も今回でもう7回目になのだが、毎年かなり苦労して47軒の宿を選んでいる。
1軒を選出する際の基準は以下の6項目なのだが……。

(1)2食付きで1人で泊まれる
(2)Web予約可能
(3)公共交通機関でたどり着ける
(4)温泉の泉質が良さそう
(5)食事がおいしそう
(6)宿泊料金が適正と思える

まず(1)(2)(3)(4)すべてに当てはまる宿が数軒しかない、という都道府県が実はけっこうある。
だからと言って毎年同じ宿を選ぶわけにもいかないし
「今年はどうしたら??」
「どこかいい宿ない??」
「1人で泊まれる宿増えてない??」
と大変な思いをしながら毎年選んでいるのだ……。

この記事を7回も書いたことで、各都道府県ごとにどのあたりの温泉地を探せば「1人で泊まれるいい宿」が見つかりやすいのかがわかってきた。
本稿ではその知見をまとめ、47都道府県を「一人で泊まれる温泉宿探し」の難易度別にAからEまで5つのグレードに分類している。

目次
A:温泉地も一人で泊まれる宿も多く1軒だけ選ぶのに迷ってしまう1道8県
B:温泉地は多いが一人で泊まりやすい宿はそんなに多くない8県
C:温泉地はあるが多くはなく、一人で泊まりやすい宿は少なめな9県
D:温泉地の数が少なく、一人で泊まれる宿が限定される1府10県
E:温泉地がとにかく少なくて毎年「今年はどうしよう」と悩む1都1府8県

こう書くと「我が県はEかよ!失礼な!」と思われる方もいるかもしれないが、そんな風には受け止めないでもらえるとありがたい。たとえば全音ピアノピースも難易度別にA~Fの6段階に分かれているが、難易度が高い曲だけが名曲ってことは別にないと思うし。

ただ、難易度Aに分類した県のほうが「温泉目当ての一人旅」を計画しやすいことは間違いないので、一人旅初心者の方が旅を計画するのであれば、その中から選べばスムーズだと思う。
私自身もA~Cぐらいの都道府県に足を運ぶ機会が実際多いのだが、一人旅に関する情報発信をしている身として、たまには難易度の高い県を行き先に選ぶチャレンジもしている。
また、出張や用事で「温泉が多いわけではない県」に足を運んだ際に「せっかくだからどこか温泉にでも1泊していくか」と宿泊先を検討する際にも、これらの情報を役立ててもらえるのではないだろうか。

ちなみに今、47都道府県について書き終えて追記しているのだけど、後半の「一人で泊まれる温泉宿探しの難易度が高い県」については、温泉地の紹介ではなくほぼ「おすすめの宿」を名指ししているので、より実用的な情報になっていると思う。

A:温泉地も一人で泊まれる宿も多く1軒だけ選ぶのに迷ってしまう1道8県

「温泉目当ての一人旅」の行き先に選びやすい県。
湯治場風情の残る温泉地があったり、大規模ホテルが多い温泉地であっても一人泊のプランをしっかり出している宿が多かったりする。
一人温泉旅をし始めて間もないなら、まずはこの県を目的地にすれば旅のプランニングが楽になるはず。

北海道

アクセス難易度が高い温泉地・宿も多いのだがそれ以上に温泉地と宿の数が多く「1人では泊まれない宿」の比率が低い印象。
登別温泉、湯の川温泉、定山渓温泉、層雲峡温泉などの、主要駅や空港からアクセスの良い有名温泉地だけでも1人で泊まれる温泉宿が大量にある。登別温泉の「望楼NOGUCHI登別」や、定山渓温泉の「厨翠山」など、食事や客室にこだわりを持つ高級宿でも一人泊のプランをしっかり出してくれていてありがたい。
今後公共交通機関でのアクセスはさらに悪くなると思われるので、アクセス悪めの温泉にも行っておかねばなーと思い、2023年は豊富温泉の宿を選出し
ていた。

油膜たっぷりぬる湯、豊富温泉川島旅館

そして泊まりに行った。すばらしい宿だった!

青森県

実は以前に、青森県の温泉地の紹介記事を書いている。

特に「弘前・黒石エリア」と「上北温泉郷」には1人でお安く泊まれる宿が多い。
また「八甲田・十和田湖・奥入瀬エリア」には、酸ヶ湯温泉や八甲田ホテル、谷地温泉、蔦温泉などお湯もすばらしく知名度も高い有名旅館が点在しており、多くの宿で1人泊が可能だ。蔦温泉が1人で泊まりにくくなってしまったのは残念だけれど……。
個人的には、アクセス難ではあるけれど下北半島の下風呂温泉が好きでこれまで2度泊まりに行っているが、1人で泊まれる宿の選択肢はやや少なめ。
「下風呂温泉で一人泊できる宿が増えないかなあ」
と思いつつ、ときどきチェックしている。

山形県

我が地元山形県。少し前までは「すべての市町村に温泉施設がある県」だったそうなのだけど、現在は新庄市にのみ温泉施設がないらしい。
しかし、新庄市に隣接する大蔵村、最上町には肘折温泉、赤倉温泉、瀬見温泉などすばらしい温泉地がいくつもあり、これらの温泉には1人で、しかもお安く泊まれる宿がかなりたくさんある。
また、庄内エリアの湯田川温泉は以前から九兵衛旅館をはじめ一人で泊まれる質の高い宿が多かったが、近年は湯野浜温泉にも1人で泊まれる宿が増えている。
そのほかにも蔵王温泉、白布温泉、小野川温泉などにも1人で泊まれる良宿がたくさんある。銀山温泉だけは一人泊難易度が異常に高いが、県内でも銀山だけが例外であり、他の温泉地に目を向ければ1人で泊まれる温泉宿に事欠かない。

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