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ゲーム開発の道標(企画から完成まで)その1・企画構想の時点で疲弊

こんにちは「つけらっとゲームス」プログラム担当のとちです。
以前から「ゲームの作り方」をお話してきましたが、どうしても断片的な情報しか発信できてないなーという想いがずっとありました。

だったら、いっそのこと、ひとつのゲームの企画から完成までを何度かに渡ってお話した方が良いのではないかと思い、この記事を書いています。

※この記事は「ゲーム開発の道標(企画から完成まで)」の「その1」に当たります。「その2」以降は「まとめ」👇からどうぞ!

※今回、文章多めで長いです。


はじめに

読んでいる方に、とあるゲームの「ゼロから完成まで」を追体験して貰いたい。こうやってゲーム作ってる人がいるんだと発信する連載記事にしたいですね。ドキュメンタリー記事とでもいいましょうか?

その題材に「津軽為信統一記」を使おうと思います。
「津軽為信統一記」についてはこれまでも何度か書いています。
以下の記事も併せてご覧くださいね。

こちらは「ゲーム概要」「ゲーム開発の目的・狙い」「良い点と悪い点」を記事にしています。

こちらは「キャラクターデザイン」のお話です。グラフィックはカッコいいんですけどね。いまいち活かせてないような気がして心苦しい。

つまり「津軽為信統一記」とは、ゲームアプリで地域の活性化や歴史学習を娯楽であるゲームと一緒しようと目論んだ野心的な作品となっています。

そんな「津軽為信統一記」はどうやって作られたのか?
それを連載しようと思っているわけです。いま考えている展開としては……

  • 企画構想(ゲーム開発のきっかけ/資金調達)

  • ゲームシステムを考える(ゲームの花形・戦闘シーンを如何に描く?)

  • ゲームに登場させる情報を収集する

  • 登場キャラクターの選別→キャラデザ担当へ渡す

  • 各種データをゲームシステムにあてはめる

  • カードゲームの対戦相手を思考ルーチンにやらせる

という感じでしょうか? 書いているうちに少し変更するかもです。
今回はその1つ目『企画構想』についてお話したいと思います。
それでは時間をさかのぼるように、まだ「津軽為信統一記」が姿形の無い頃から振り返ってみましょう。


企画構想

まずは、そもそもゲームを作ろうと思わないとはじまりません。
わたしの記憶の中で、このゲームが「最初に頭の中に浮かんだタイミングはいつだったのか?」からお話します。

ゲーム開発のきっかけ

当然ではありますが物事には「きっかけ」というものがあります。

当時わたしは幼馴染と一緒にゲーム開発をメインとしたサークルを法人化できないかとインキュベーションマネージャー(IM)に相談しに行ってました。あまり聞き馴染みのない横文字なので簡単に解説するとこんな感じ

IMとは、創業・起業志望者を、構想・企画の段階から創業・起業に至るまで一貫して支援する専門家です。

公益社団法人21あおもり産業総合支援センター webページより引用

その中で公益財団法人みちのく・ふるさと貢献基金の地域振興助成事業というものがあると教えて貰ったんです。地域振興、地域おこしというものに前々から興味があったので申請してみようと思いました。

ゲームで地域おこしをする

しかし自分が住んでいる青森は、おそらく日本中の方の多くが想像する代表的な田舎のひとつです。ゲームというサブカルチャーが銀行や公的機関に受け入れられるのは難しい。実際に当時は何度か失敗を繰り返していました。(現在はすこし理解が進んだのか話を聞いてもらえるようになりました!)

つまり「ゲームで地域おこし」をする実績を作っちゃおうという考えです。
IMと相談している中で出てきたのは、

「リンゴってもう擦られ続けてるよね」(意訳)

ゲームの題材を決める

青森県といえばリンゴの生産量で有名です。公的機関や企業のプロモーションなんかでリンゴが題材に使われるのは青森県人にとっては「あるある」ですし、おそらく他の地域に住んでいる方にとってもリンゴのイメージは強いと思います。しかし使われ過ぎてるのは確か……尖がった部分が欲しい。

やっぱりリンゴイメージ強いよね?

以上を踏まえてIMと相談していると以下のようなヒントが出てきました。

わたくし(とち)は歴史好きです。好きなだけで本格的な勉強をしていた過去は無く、そういった本・雑誌を好んで買い、「信長の野望」等の歴史を題材としたゲームを独自の縛りプレイする程度の歴史好きです。

わたしが住んでいるのは青森県の西側、津軽地方です。弘前市には現存天守を有する弘前城があります。現存天守は全国に12しかない、その1つが弘前城なんです。生まれた時からすぐそこにある「お城」なので、地元民だからこそ気づいていない貴重な存在です。

そんな歴史的にも文化的にも貴重な城跡があるこの地を舞台に、歴史を題材にしたゲームを作れないか?

戦国時代当時の青森県といえば西側は津軽、東側は南部、
津軽・南部抗争といえば、そこまで地元民は気にしていない(と思う)のに現在でもテレビ番組で取り上げられるネタ……

という発想から「津軽為信」を題材とし、歴史上で南部氏から津軽の地を奪っていった流れをアプリで表現しようと思ったのです。

弘前文化センターの前に津軽為信像が立っています。地元民なら一度は見たことがあるでしょう。弘前藩祖でもある津軽為信公は青森県人にとってヒーロー……とは言えないんです。

ものすごく簡単に説明すると、それまで津軽を統治していた南部氏、その被官だった(仕えていた)彼は戦国時代末期に独立化していきます。

つまり、立場によっては独立戦争に勝利した人だし、立場が違えば領地を掠め取っていった人、戦い方が卑怯だったという逸話もあれば、領民には優しかったという逸話もある。単純にヒーローとは言えない武将なんですよね。

ゲームのジャンルを決める

題材は津軽為信を中心とした戦国モノです。次に決めるのはジャンル。
戦国無双のように津軽為信を主役とした一騎当千アクションは?
いやいや3Dモデリングやステージ構築を考えると技術的にも金銭的にも無理が出そう。さらに販路を考えるとスマホアプリとなるでしょうから、プレイヤーに操作性に問題が生じるであろうスマホで戦国無双をやらせるのは嫌だったのでコチラはこの時点で却下。

普通に考えると「信長の野望」のように領地経営をしつつ軍備を整え、合戦を繰り返すようなシミュレーション、ストラテジーといったジャンルが合いそうです。細かい数字が大量に並んでいるゲームが好きなわたしにも合います。

ただし、青森県の津軽地方という狭い地域が舞台なので「信長の野望」のように多くの武将が登場し、多くの城(拠点)を当時使用されていた道でつなぐとなると資料を探すのも大変そうです。あくまで「歴史好き」程度の知識では難しいでしょう。

プレイヤーにわかりやすい新規ゲームを作る。ならアナログでも遊べるくらいのルールならどうだろう? いや、むしろデジタルだけでなく将来的にアナログでも展開できたらスマホでゲームしない層にも広まる可能性があるのでは?

という理由でカードゲームで戦わせてみようと考えました。
(アナログゲームにしたいのは今でも考えています。作るぞっ!)

カードゲームも色々ある。内容はまた別の記事で…

資金調達

「ゲーム開発きっかけ」の項で述べたとおり「地域振興助成事業」として助成金を得ることが最初の目標となりました。ゲーム開発は長い時間を要しますし、グラフィックもBGMも必要となります。色々な人を巻き込むとお金が掛りますし、なによりゲームというサブカルチャーによって地域おこしをする実績を作る目的もありました。

申請書を書く

地域振興助成事業として申請する。これが結構な大仕事になってしまいました。申請書に書いた内容は以下の記事の「地域振興助成金申請書」の項に詳しくありますのでご覧ください。

当初は相方の幼馴染に書いてもらったのですが、そもそも歴史好きなのはわたしですし、幼馴染は現時点で東京暮らしで忙しく、地域おこしや地域の衰退は帰省時に見ているものの、日々その状況・推移を見ているわたしの方が説得力ある申請書(というか地域おこしの提案書)を書けるだろうとも思いました。

それでもIMのアドバイスを取り入れ何度も何度も書き直した記憶があります。基金の方にも何度か足を運んでますし当時はゲーム作る以上に大変でした。

「他のゲームのプログラム組む」のと「書類を準備する」を並行して作業すると同じデスクワークでも脳の使っている部分が違うのか、とにかく疲れるんですよね。

同時進行はマジで発狂しそうになる…

メディア露出

公益財団法人みちのく・ふるさと貢献基金の地域振興助成事業、こちらの助成先が決定すると受賞式のようなモノがあります。金屏風の前で事業の説明を公に向けて発表するんですね。

これには地元テレビ局や地方新聞社が取材に来て、その日の夕方のニュースにはもう放送されちゃいます。正直陰キャであるわたしが、こういうの得意なハズもなく知人が夕方ニュースを見て「着馴れないスーツで大変そうだった」と感想を漏らしていたのが印象に残っています。

高校の時点でネクタイにブレザーだったし、普通にサラリーマンしてたから着馴れないワケないんですが、その数年前に大きく体調崩して痩せたのもあり「スーツに着せられている感」がでちゃったのでしょう。

その日の夕方のニュースに使われるとは… はやいなぁ~

学校や公の場でスピーチや発表を求められて嫌だなーと思っている方も少なくはないと思いますが、そんなわたしから一言、

「得意ではなくても、その場になるとやれちゃうものです」

人間って不思議なモノで人前に立つ機会が増えると慣れていくし、取材されるのも慣れていくんですよね……ただ、公に発言するってことは、それと同時にそれなりの責任が発生するとわたしは思っています。慣れたとしてもこれだけは忘れないようにしていますし、しようと思っています。


次回に続く

「ゲーム開発のきっかけ」から、この時点でもう半年以上が経過しています。色々と準備を整えて、ひとつひとつ解決して行ってるので仕方ないのですが、開発資金の一部に助成金を使えるとはいえ、開発が進まないのはストレスです。

まだ姿も形もない「津軽為信統一記」はこの先どうなるのか?
長くなったので今回はここまで、次回へと続きます。

そんな「津軽為信統一記」が気になった方はコチラからどうぞ!

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