ゲーム設計時のアレコレ(2)
こんにちは「つけらっとゲームス」プログラム担当のとちです。
今回は「ゲーム設計している際に色々考えているんですよー」というお話の第二弾です。前回の記事は以下にあるのでご覧くださいね。
というわけで、今回のテーマは「レベルアップ」の仕様について!
前回に引き続き「アビスアンドダーク」シリーズを例にしてお話を進めて行きます。
仕様書はどうなっている?
RPGで嬉しいタイミングのひとつに「レベルアップ」がありますよね?
ゲームによって様々な効果がありますが、能力値やHPが増えたり、新しい魔法や技能、必殺技なんかを覚えたりします。
アビスアンドダークでは経験値が一定値を超えた状態で宿屋に宿泊するとレベルアップする仕組みになっています。
スクリーンショットのとおり、レベルアップすると上がった能力値と、次のレベルに必要な経験値が表示されます。すこし強くなったキャラクターは、今後、より活躍してくれることでしょう。
ウィザードリィの仕組みに寄せているゲームですのでレベルアップで上昇する能力値は基本的に(+1)としています。また、能力値が下がる(-1)こともあります。
この能力値の増減について、どんな仕様になっているのでしょう?
当時の仕様書を見直してみましょう。
D100というのは「dice100」の略、100面サイコロを振ったという意味で書いています。(1)で100面サイコロを振って10以下が出たら、その能力値は変化ナシということです。
別の言い方をすると10%の確率で能力値の変動ナシということですね。
(3)(5)を求めるためには仕様書だけではわかりません。
カギとなるのは「AaD1各種データ_成長率」のようです。これは何かといいますと、表計算ソフトで作ったデータ表を指しています。
別表「AaD1各種データ_成長率」
では、当時の各種データをまとめたファイルを覗いてみましょう。
『成長率1』を求めるために必要な【年齢】と【種族】の部分は以下のとおりです。なお、この世界では性別によって成長の方向性がちょっとだけ異なるので別になっています。
『成長率2』を求めるために必要な【年齢】と【クラス(職業)】は以下のとおりになっています。x軸を左に行くと若者、右に行くと中高年になっていくのがわかります。
同様に『減退率1』は【年齢】と【種族】で以下の表から求められます。
成長率は若者の方が高く、中高年が低くなっているのに対し、減退率は若者が低く、中高年が高く設定されています。
次は『減退率2』です。
【年齢】と【クラス(職業)】で以下の表から求めます。
試しに計算してみる
情報がすべて出揃ったので試しに計算してみましょう。
例としてレベルアップするキャラクターは「ヒューマンの男性」「戦士」の20歳としましょう。
筋力の能力値の増減チェックをします。
『成長率1』ヒューマン(男)の15~29歳の筋力の欄は「85」とあります。
『成長率2』戦士の15~29歳の筋力の欄は「95」です。
『成長率3』= (85+95) ÷ 2 なので「90」となります。
『減退率1』ヒューマン(男)の15~29歳の筋力の欄は「4」です。
『減退率2』戦士の15~29歳の筋力の欄は「2」です。
『成長率3』= (4+2) ÷ 2 なので「3」となります。
D100(100面サイコロ)を振って90未満であれば筋力+1です。
D100(100面サイコロ)を振って3未満であれば筋力-1です。
つまり、どちらも条件を満たすと能力値の増減はありません。
アビスアンドダークでは「筋力」の他に、
器用さ、素早さ、耐久力、生命力、知力、魔力、信仰心、精霊力、幸運という能力値がありますので、その分だけ増減チェックをします。
キャラクターの個性
これらを踏まえると、ドワーフやリザードマンは筋力や生命力が成長しやすく、エルフやフェアリーは知力や魔力、精霊力が成長しやすいという種族によって得意なこと、苦手なことがわかります。
クラス(職業)についても、戦士は筋力や生命力が成長しやすく、魔術師は知力や魔力が成長しやすい設定になっていますね。
戦士向きの種族で、且つ戦士であれば長所を伸ばす成長となります。
戦士向きの種族ではない場合でも、戦士であればそれなりに必要な能力値もあがり、知力や魔力といった能力値も上がりやすいという短所をカバーするような成長を見せます。
さらに、基本的に年齢が若いと成長しやすく、高齢になるにつれ成長率は落ちていきます。これがキャラクターの個性となりますし、プレイヤーの好みにも繋がるでしょう。
おわりに
ゲームの世界には、わたしたち人間だけではなく「エルフ」や「ドワーフ」といった亜人類とか妖精といわれるキャラクターが存在し、世界観によって多少は異なるでしょうけどキャラによって得意なものや不得意なことがあります。
戦士や魔術師といったクラス(職業)によっても得手不得手はありますよね。それらをレベルアップ時の成長率で表現してみたのがアビスアンドダークシリーズのレベルアップの仕様なんですね……
作ったのはわたしなんですけど、久しぶりに見直すと細かく設定していたんだなーと感じました。
こういった作業にもご興味を持っていただけましたら嬉しいです。
ちなみにアビスアンドダーク以外にもこんなゲームをいじっている人です。
ご興味がございましたら以下の記事もご覧くださいませ~。
というわけで、また次回の記事でお会いしましょう~。
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