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政治(法律)講座ⅴ1165「日本には伝家の宝刀の国策捜査がある」

 国策捜査とは、捜査方針を決める際に政治的意図や世論の動向にそって検察(おもに特捜検察)が適切な根拠を欠いたまま「まず訴追ありき」という方針で捜査を進めることをいう。
しかも、事は中国人となると外交問題に発展する可能性は大きい。 今回の事件は、中国の産業スパイによる日本の技術情報が盗まれていることの氷山の一角であろう。今回はそれらの報道記事と法律条文の抜粋を紹介する。

     皇紀2683年6月20日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

容疑者の妻が漏えい先代理店社長 中国で特許申請か 産総研流出

毎日新聞 によるストーリー • 昨日 17:45

警視庁© 毎日新聞 提供

 国立研究開発法人「産業技術総合研究所」(茨城県つくば市)の研究データ流出事件で、中国籍の主任研究員、権恒道容疑者(59)=不正競争防止法違反容疑で逮捕=の妻が、漏えい先とされる中国企業の日本代理店の社長だったことが、捜査関係者への取材で判明した。この中国企業は流出したものと類似したデータをもとに中国で特許を申請していたといい、警視庁公安部は経緯を詳しく調べている。

 捜査関係者によると、漏えい先とされるのは中国の化学製品製造会社で、つくば市内にある日本代理店の社長を権容疑者の妻が務めている。同社は2018年4月、権容疑者からデータを受け取った約1週間後に中国で特許を申請し、20年6月に取得した。申請内容のデータは流出したものとほぼ同じで、発明人として権容疑者が名を連ねていたという。

 流出が確認されたのは地球温暖化防止に効果があるフッ素化合物の合成に関する先端技術。権容疑者は産総研でこの研究をしており、中国企業は入手した研究データを自社製品の開発などに利用していた可能性がある。

 また、権容疑者は温暖化防止の技術研究の実績が評価され、18年に中国政府から表彰されていた。警視庁公安部は、権容疑者が中国政府とも深いつながりがあったとみている。【木下翔太郎】
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中国人研究員、企業役員の兼任を未報告か

共同通信社 によるストーリー • 32 分前

 茨城県つくば市の国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の研究データ漏えい事件で、警視庁公安部に逮捕された上級主任研究員で中国籍の権恒道容疑者(59)が、中国の複数の会社で役員を務めていたのに、産総研に報告していなかったとみられることが18日、捜査関係者などへの取材で分かった。事前申請を定めた産総研の規定に違反していた可能性がある。

“情報漏えい”事件 中国企業が発明者を容疑者とする特許を出願していたことが判明

ABEMA TIMES によるストーリー • 41 分前

“情報漏えい”事件 中国企業が発明者を容疑者とする特許を出願していたことが判明© ABEMA TIMES

国の先端技術を中国籍の研究員が漏洩したとされる事件で、その技術を中国企業が特許出願し、取得していたことがわかりました。

「産業技術総合研究所」の権恒道容疑者(59)は2018年4月、特殊なガスに関する研究内容を中国企業にメールで送り、漏らした不正競争防止法違反の疑いで警視庁公安部に逮捕されました。

その後の取材で、権容疑者がメールした約1週間後に中国企業が発明者を権容疑者とする特許を出願していたことが新たに分かりました。特許出願は認められ、中国企業の特許になったということです。

警察庁は技術流出への対策を呼びかけています。(ANNニュース)

スパイ取締法なく危機意識薄く 中国籍の男逮捕

2023/6/15 21:14

産業技術総合研究所=15日午後、茨城県つくば市

中国籍の研究員による研究情報漏洩事件が15日、明らかになった。不正競争防止法違反容疑で警視庁公安部に逮捕された国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の上級主任研究員、権恒道容疑者(59)は、20年近く日本最大級の研究機関に勤めるかたわら中国人民解放軍と関係があるとされる「国防7校」の北京理工大でも勤務。政府や警察当局は経済安全保障の観点から先端技術の流出防止対策を強化するが、日本にスパイ行為自体を取り締まる法律が存在しない上、関係機関の危機意識も薄く、技術流出は後を絶たない。

全国の警察が昨年摘発した営業秘密侵害事件は29件で、統計を取り始めた平成25年以降で最多となった。営業秘密とは、独自に開発した技術情報や顧客データなどが該当する。

今回のフッ素化合物の合成技術は、変圧器などに使われる絶縁性の高いガスを生成する先端技術で、温暖化防止にも関連するという。公安部は権容疑者が漏洩したとされる情報は営業秘密に当たると判断した。

技術水準の向上を図る中国は、先端技術や軍事・科学技術など多岐にわたる情報を収集。中国から日本企業に人を送り込むケースや日本で就職した中国人を取り込んで指示を送るなど、さまざまな方法で協力者を作り上げるという。

日本でも優秀な中国人研究者や留学生が、研究を支え、不足するマンパワーを補っている側面がある。ただ、研究機関や大学などが人材を受け入れる際、疑わしい人物とそうでない人物の線引きがされていないのが実情だ。

権容疑者は平成14年から産総研で勤務しながら、18(2006)年に北京理工大の教授に就任している。採用後の不審な動きを把握する仕組みもないといい、警視庁幹部は「守秘義務があっても、故意に情報を漏洩する意図がある人を防ぐのは難しい」と指摘する。

国はこうした先端技術を守るため、昨年5月に経済安全保障推進法を成立させた。機密情報の取り扱いを有資格者のみに認める「セキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)」は推進法に盛り込まれていないため、法制化を目指している。

警察当局も企業や研究機関に情報流出防止のため、スパイの手口や対策などをアドバイスする「アウトリーチ」に力を入れている。

逮捕の産総研研究員は中国「国防7校」教授

2023/6/15 19:47
警視庁神田署に入る権恒道容疑者=15日午後3時53分

先端技術の研究データを中国企業に漏洩したとして、警視庁公安部は15日、不正競争防止法違反(営業秘密開示)の疑いで、茨城県つくば市の国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の上級主任研究員で中国籍の権恒道容疑者(59)=同市=を逮捕した。捜査関係者によると、国の研究機関から中国への情報流出が立件されるのは極めて異例だという。

逮捕容疑は平成30年4月13日午後4時半ごろ、電気の絶縁ガスにも使われるフッ素化合物の合成技術に関する研究データを中国企業にメールで送信し、情報を漏洩したとしている。

捜査関係者などによると、権容疑者は平成14年から産総研で勤務しており、フッ素化合物に関する研究に従事していた。産総研に勤務するかたわら、中国人民解放軍と関係があるとされる「国防7校」の北京理工大の教授としても勤務。中国の国家プロジェクトにも関わっていたとみられる。産総研で得た研究データを不正に中国側に送信したとみられる。

公安部は権容疑者の認否を明らかにしていない。15日に権容疑者の自宅など関係先を家宅捜索し、資料などを押収。産総研から相談を受け公安部が捜査を進めていた。

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産総研は経済産業省所管で、日本最大級の公的研究機関。全国12か所の研究拠点で約2300人の研究者が研究開発に携わる。産総研は「職員が逮捕されたことは誠に遺憾。捜査に全面的に協力し、厳正に対処する」としている。政府は経済安全保障を重要課題に掲げ、警察当局は事件化や企業や研究機関への助言など対策を強化している。

産総研の中国籍研究員を逮捕 中国企業への技術漏洩容疑

2023/6/15 16:07
 国立研究開発法人「産業技術総合研究所」(茨城県つくば市)の中国籍の主任研究員の男(59)が、フッ素化合物に関連する技術を中国企業に漏洩(ろうえい)したとして、警視庁公安部は15日、不正競争防止法違反営業秘密の開示)容疑で逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。公安部は流出の経緯や男と中国企業の関係について調べを進める。

捜査関係者によると、男は平成30年4月、自身が研究に関わっているフッ素化合物の合成技術情報について、中国の企業にメールで送信し、産総研の営業秘密を漏洩した疑いがもたれている。

男は平成14年4月から産総研の研究員として勤務。同時に北京理工大学の教授を務めていた時期もあった。

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経済安全保障の重要性が高まる中で、警視庁は、最先端技術の流出防止のため、企業に呼び掛けるなど対策を強化している。

中国、産総研研究員逮捕に「懸念」表明

共同通信社 によるストーリー • 23 分前

 【北京共同】産業技術総合研究所の研究データを漏えいしたとして警視庁が中国籍の研究員を逮捕した事件で、中国外務省の毛寧副報道局長は19日の記者会見で「日本に重大な懸念を表明した」と明らかにした。

「産総研」中国籍研究員逮捕で中国政府「深刻な懸念」

日テレNEWS によるストーリー • 47 分前

「産業技術総合研究所」の研究員の中国籍の男が研究データを中国の企業に漏えいしたとして逮捕された事件で、中国政府は日本政府に対し「深刻な懸念」を伝えたと明らかにしました。

中国外務省の報道官は19日の会見で、事件の報道を非常に注目しているとした上で、「我々は外交ルートを通じて日本側に深刻な懸念を表明した」と述べました。

日本に対し「中国国民の合法的な権益を守り、法治を尊重するよう要求した」と強調し、「中日の科学技術の交流と協力のため良好な環境を作ることを望む」と求めました。

この事件をめぐっては、日本の捜査関係者への取材で研究データのメールを受け取った中国の化学製品製造会社がおよそ1週間後に中国で特許を申請、取得していたことなどが分かっています。



不正競争防止法の禁止行為【不正競争】

不正競争防止法の禁止行為10個をまとめました。

  1. 周知な商品等表示の混同惹起

  2. 著名な商品等表示の冒用

  3. 商品形態を模倣した商品の提供

  4. 営業秘密の侵害

  5. 限定提供データの不正取得等

  6. 技術的制限手段無効化装置の提供

  7. ドメイン名の不正取得等

  8. 商品・サービスの原産地・品質等の誤認惹起表示

  9. 信用毀損行為

  10. 代理人等の商標冒用

営業秘密の定義

第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第六号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)

 その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為

 その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為

 営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為

 その営業秘密について営業秘密不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為

 その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為

 第四号から前号までに掲げる行為(技術上の秘密(営業秘密のうち、技術上の情報であるものをいう。以下同じ。)を使用する行為に限る。以下この号において「不正使用行為」という。)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為(当該物を譲り受けた者(その譲り受けた時に当該物が不正使用行為により生じた物であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)が当該物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を除く。)

経済産業省 知的財産政策室に基づいて、それぞれ解説していきます。

周知な商品等表示の混同惹起

周知な商品等表示の混同惹起行為とは、他人の商品や営業の表示を使用し、他人の商品や営業と混同を招くことです。
不正競争防止法第2条の「不正競争」のうち、不正競争第2条1項1号では以下のように掲げられてます。
他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
出典:不正競争防止法 | e-Gov法令検索
<行為に違反した場合の措置>
民事措置:当該行為の差止請求及び損害賠償請求
刑事罰:10年以下の懲役もしくは2,000万円以下の罰金
<周知な商品等表示の混同惹起にあたる事例>
令和元年、イッセイミヤケの独自ブランド「BAO BAO」のバッグのデザインに酷似したバッグを販売していたラルジュを相手取り、不正競争行為の差し止めを求めて提訴しました。この裁判の判決として2019年6月東京地方裁判所は、販売差し止めを認め、イッセイ社へ7,106万円の損害賠償を命じました。
参考:不正競争防止法の主要な事案 ※平成30年~令和2年

著名な商品等表示の冒用

著名な商品等表示の冒用行為とは、広く知られている商品や表示を、自分の商品や営業上で使用することを指します。
不競法2条1項2号では、以下のように定められています。
自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
出典:不正競争防止法 | e-Gov法令検索
<行為に違反した場合の措置>

  • 民事措置:当該行為の差止請求及び損害賠償請求

  • 刑事罰:10年以下の懲役もしくは2,000万円以下の罰金

<著名な商品等表示の冒用にあたる事例>
令和2年1月29日、任天堂株式会社の「MARIO KART」「マリオ」等の表示と類似する標章を営業上使用していたMARIモビリティ開発ほかに対して、使用差止め等と損害賠償(約5,000万円)が命じられました。
参考:不正競争防止法の主要な事案 ※平成30年~令和2年

商品形態を模倣した商品の提供

商品形態を模倣した商品の提供行為は、不競法2条1項3号で以下のように定められています。
他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
出典:不正競争防止法 | e-Gov法令検索
<行為に違反した場合の措置>

  • 民事措置:当該行為の差止請求及び損害賠償請求

  • 刑事罰:10年以下の懲役もしくは2,000万円以下の罰金

<商品形態を模倣した商品の提供にあたる事例>
平成10年2月25日の東京地裁による判決では、株式会社バンダイのたまごっちを模倣した商品に対して、販売差止と約2,000万円の損害賠償が認められました。
なお、商品を真似する行為は意匠法にも抵触しますが、意匠法の規制とは保護対象と保護期間が異なります。意匠法で保護するには特許庁による審査と登録をする必要があります。
また、不正競争防止法の商品形態の保護期間は、国内で最初に販売された日から3年以内ですが、意匠法では、意匠出願日から最長25年です。

営業秘密の侵害

営業秘密の侵害とは、窃取などの不正手段で取得するなどした営業秘密を、自ら使用したり、第三者に開示する行為です。(不競法2条1項4号乃至10号)
<行為に違反した場合の措置>
民事措置:当該行為の差止請求及び損害賠償請求
刑事罰:10年以下の懲役もしくは2,000万円以下の罰金

限定提供データの不正取得等

限定提供データの不正取得等とは、窃取などで不正に取得するなどした限定提供データを、自ら使用したり、第三者に開示する行為です。(不競法2条1項11号乃至16号)
<行為に違反した場合の措置>
民事措置:当該行為の差止請求及び損害賠償請求

技術的制限手段無効化装置の提供

技術的制限手段の効果を妨げる装置等の提供とは、利用制限されているコンテンツの視聴や記録などを利用できるようにする装置やプログラム、指令符号などを提供する行為です。(不競法2条1項17号、18号)
<行為に違反した場合の措置>
民事措置:当該行為の差止請求及び損害賠償請求
刑事罰:10年以下の懲役もしくは2,000万円以下の罰金
<技術的制限手段無効化装置の提供にあたる事例>
平成21年2月27日の東京地裁の判決によると、任天堂のゲーム機である「ニンテンドーDS」のソフトから複製したプログラムを起動させた「マジコン」の輸入・販売について販売差止めが認められました。

ドメイン名の不正取得等

ドメイン名の不正取得等の行為とは、不正利益や他人に損害を加える目的で、 他人の商品と役務の表示と、同一もしくは類似したドメイン名を使用することです。使用する権利の取得や保有もこの行為に該当します。(不競法2条1項19号)。
<行為に違反した場合の措置>
民事措置:当該行為の差止請求及び損害賠償請求

商品・サービスの原産地・品質等の誤認惹起表示

商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示は、商品や役務などに原産地や品質等に関して誤認を招く表示をする行為です。その表示をした商品を譲渡する際も同様で違反行為です。
<行為に違反した場合の措置>
民事措置:当該行為の差止請求及び損害賠償請求
刑事罰:10年以下の懲役もしくは2,000万円以下の罰金
<商品・サービスの原産地・品質等の誤認惹起表示にあたる事例>
本みりんではない調味料に「本みりん」「タイプ」「調味料」と表示して、「本みりん」が強調された表示がされていたことについて、商品の品質を誤認させるものと認められました。

信用毀損行為

信用棄損行為とは、 競争関係に該当する人の営業の信用を害するような、虚偽の事実を告知したり、流布することです。(不競法2条1項21号)
<行為に違反した場合の措置>
民事措置:当該行為の差止請求及び損害賠償請求
※ただし、刑法233条の信用毀損罪及び業務妨害罪として処罰される可能性があります。
<信用毀損行為にあたる事例>
平成27年3月26日の大阪地判による判決では、家具の考案の実用新案権を持つ事業者が、競争関係にある他の事業者の取引先に対し、事業者の商品が、実用新案権に抵触しているなどの通知をし、信用棄損行為に該当すると判断されました。

代理人等の商標冒用

代理人等の商標冒用とは、 パリ条約の同盟国などにおいて商標関連の権利を持つ者の代理人が、正当な理由なくその商標を使用する行為のことです。(不競法2条1項22号)
<行為に違反した場合の措置>
民事措置:当該行為の差止請求及び損害賠償請求


不正競争防止法の禁止行為【条約上の禁止行為】

不正競争防止法の条約上の禁止行為をまとめました。

禁止行為の塁型
条約上の
禁止行為
外国国旗・ 紋章等の不正使用
国際機関の標章の不正使用
外国公務員等への
贈賄第

外国国旗・紋章等の不正使用

外国の国旗・紋章や外国政府等の印章・記号など、経済産業省令で定めるものの商標利用が禁止されています。さらに、外国紋章の原産地を誤認させるような方法での使用も禁止されています。
不正競争防止法16条
何人も、外国の国旗若しくは国の紋章その他の記章であって経済産業省令で定めるもの(以下「外国国旗等」という。)と同一若しくは類似のもの(以下「外国国旗等類似記章」という。)を商標として使用し、又は外国国旗等類似記章を商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは外国国旗等類似記章を商標として使用して役務を提供してはならない。
出典:不正競争防止法 | e-Gov法令検索
外国国旗・紋章等の不正使用を行った場合、刑事的措置である懲役または罰金の刑事罰の対象となり、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科されます。

国際機関の標章の不正使用

国際機関の標章で経済産業省令で定めるものを、該当の国際機関と関係があるように誤認を招くような方法で、 商標使用することが禁止されています。
不正競争防止法17条
何人も、その国際機関(政府間の国際機関及びこれに準ずるものとして経済産業省令で定める国際機関をいう。以下この条において同じ。)と関係があると誤認させるような方法で、国際機関を表示する標章であって経済産業省令で定めるものと同一若しくは類似のもの(以下「国際機関類似標章」という。)を商標として使用し、又は国際機関類似標章を商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは国際機関類似標章を商標として使用して役務を提供してはならない。
出典:不正競争防止法 | e-Gov法令検索

外国公務員等への贈賄

外国公務員等に対して、国際的な商取引などで営業上の不正利益を得るために、贈賄などが禁止されています。
不正競争防止法18条
何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
出典:不正競争防止法 | e-Gov法令検索
また、外国公務員等に対して、国際的な商取引などで営業上の不正利益を得るために、贈賄など行った場合、経時的措置で5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科せられます。




不正競争防止法違反に対する罰則・措置

不正競争防止法違反に対する罰則と措置を見ていきましょう。

民事上の措置

民事上の措置の項目は次の3つが該当します。

  • 差止請求

  • 損害賠償請求

  • 信用回復措置請求

差止請求とは、不正競争行為の停止や予防を請求したり、不正競争行為で使われた物の廃棄などの内容が含まれています。損害賠償請求するには事実を立証しなければなりませんが、難しいケースが多いため、不競法が推定規定などを設けております。これにより、不正競争行為者に対する請求が簡単にできます。
また、営業上の利益が侵害された場合に使える不当利得返還請求や、謝罪広告などの信用回復措置を命ずる裁判所の判決を求められる、信用回復措置請求なども行えます。
出典:特許庁 不正競争防止法違反被害への救済

刑事上の措置

不正競争防止法違反に対して、刑事責任の追及もできます。不正競争防止法の違反者に対して、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処せることができます。懲役と罰金の両方を科すことも可能です。
また、法人が違反行為を行った場合、実行者と法人の両方に罰金刑が科せられる両罰規定が行われます。法人に対する罰金は、違反した禁止行為に応じて、3億円以下の罰金から10億円以下の罰金まで規定されています。
出典:特許庁 不正競争防止法違反被害への救済


不正競争防止法についてのまとめ

不正競争防止法の具体的な情報や具体事例、罰則の内容などをまとめました。不正競争防止法を理解すると、正しくスムーズに対応できるはずです。
経営者や企業の法務担当の方は本記事で不正競争防止法について学び、自社で不正競争が起きないように注意していきましょう。


参考文献・参考資料

容疑者の妻が漏えい先代理店社長 中国で特許申請か 産総研流出 (msn.com)

国策捜査 - Wikipedia

中国人研究員、企業役員の兼任を未報告か (msn.com)

“情報漏えい”事件 中国企業が発明者を容疑者とする特許を出願していたことが判明 (msn.com)

不正競争防止法とは? 禁止行為や罰則について解説|紛争対応|bizocean(ビズオーシャン)ジャーナル

スパイ取締法なく危機意識薄く 中国籍の男逮捕 - 産経ニュース (sankei.com)

逮捕の産総研研究員は中国「国防7校」教授 - 産経ニュース (sankei.com)

産総研の中国籍研究員を逮捕 中国企業への技術漏洩容疑 - 産経ニュース (sankei.com)

中国、産総研研究員逮捕に「懸念」表明 (msn.com)

「産総研」中国籍研究員逮捕で中国政府「深刻な懸念」 (msn.com)

不正競争防止法 | e-Gov法令検索

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