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岡大流伝説

~昭和五十六年初夏 中四国大会会場にて~
ツレ:これでいいのかよ。
オレ:何が? 
ツレ:今、表彰されている1位と2位のヤツらって、団体(戦)のとき、オマエが軽く瞬殺した相手だぜ。
オレ:いいも何も、アイツらは表彰台、オレらは観客席。これが現実というもんだ。
ツレ:悔しくねえのかよ。
オレ:悔しくねえ、と言えばウソになる。でも、これがオレたちなんだよ。メダルも賞状もない。記録にも残らない。
ツレ:消え去るのみってか。俺たちが入部した年の中四(国大会)って、団体優勝は岡大だったもんな。俺たちも四回生になったらああなるんだと、ホンキで信じてたし…。
うん?オマエ、この間まで、「岡大流の創始者になる」とか言って息巻いていたよな。
オレ:だから言ってるだろう、これが現実なんだって。
ツレ:先輩から受け継いだものを、後輩に伝える使命があるんじゃなかったのか?
オレ:それもやめた。俺には向いてない。伝えるものなんてない。幹部になったら、受け継いだものを再構成して、自分で考えるのが岡大流だ。だから、創始者なんていない。それに、「先(せん)」が読めるようになったこと以外、何も自分のものにできていなかった当時のオレには指導なんて所詮無理だったんだ…。オマエこそ「大学に忘れ物を取りに行った」きりだが、忘れ物は見つかったのか?
ツレ:ああ、今じゃ何を忘れたのかさえわからなくなっちまった。還暦を越えてボケたかな。
オレ:だったら、ネットで検索してみたら?◇◇あたりが写真入りで会長あいさつをしているかもよ。
ツレ:それ、旭空会じゃねえし! 
(♬思い出はモノクローム 色をつけてみた♬)

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