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サロン乗る場のつくりかた【聴覚】


次は聴覚だ!

嗅覚味覚触覚ときて、次は聴覚です!私としてはここからかなり理性が効いてくるというか、受け取ったものから意味を汲み取りやすい感覚、もしくは言語的な思考に直結しやすい感覚(ということはコンテンツ化しやすい感覚って事かもしれないです)
実はこの企画に6人もの演出家の方に関わってもらう以前から、もし次にもみほぐしの企画をやるならこの人にBGMをお願いしたいと思っていたのです。その人とは…

聴覚担当はカゲヤマ気象台さん!

カゲヤマさん。円盤に乗る派の主宰であり、円盤に乗る場の運営でもあります。なのでサロン企画の立ち上げの時からカゲヤマさんとはやり取りしていたのですが、それよりも!乗る派の作品などを通してカゲヤマさんの音の仕事を体験するたび、聴いているというより、触られているような感じがしていました。耳から入って触覚が反応しているような。
カゲヤマさんにサロンのBGMをプロデュースしてもらえたら贅沢だなあ!と思ってお願いしたらOKをもらえて、わ!やった!!

最初の稽古

乗る場で触覚稽古のあとカゲヤマさんにお越しいただき、アロマ&ドリンクと、できたてほやほやの手技を体験していただきました。
その時カゲヤマさんから出てきたキーワードが「禅っぽさ」あと「宇宙」ってのも出てきました。
蜂巣さんとの触覚稽古で言語化された、「自分が思っている体の形と触れられて再発見(セラピストによる語りなおし)が為されている自分の体の形が二重写しに同時に存在している感じ。」にも近い感想が施術後のカゲヤマさんから語られました。
そもそも、施術中はセラピストの存在って手指だけになるから、うつ伏せの被施術者にとって、その圧の形は人ならざるモノなのかもしれません。ピンポイントにかかる圧の実感と動きの気配。(もちろんセラピストが人間であることは知っているけど。)
施術を受けている間に起こる、普段認識している形から解き放たれる瞑想的な感覚。

感想などを話した後、カゲヤマさんは乗る場のスピーカーからいくつかの音をかけました。その中で「人の声が聞こえるといいかもしれない」「スピーカーがいくつかあるとか」「換気扇などの音はどう入るか」などのアイデアが出ました。乗る場の次の使用時間になり場面は移り変わったのですが、そこでもしばらく雨音や話し声などいくつかの音を乗る場の空間で試すカゲヤマさん。
こりゃあたのしみだぜ…と内心わくわくが止まりませんでした。

2回目の稽古

二回目の稽古は、カゲヤマさんが実際に音源をもってきてくださり、その場で組み合わせながら検証。ある程度あたりをつけたところでループ再生にしてカゲヤマさんには施術を受けていただきました。
が、ここで私の方に問題が…!
アイデアも組み合わせもいい感じなのに、頭の中が忙しくなってしまってバッテリーの消耗が大きい感じ。むしろ音が切れた沈黙に消耗したバッテリーがチャージされるような。
これは一体どういうことなのか?!音、いい感じなのに!
正直にカゲヤマさんにそのことをお伝えしたら「それは情報量が多いってことですかね」と。
なるほど!情報量!確かに音に限らず施術中は色んなレイヤーが重なって情報処理にかなりエネルギーを使っていたみたい。
その結果、情報が少なくなったタイミングに癒されるという。バランスというか、BGMってほんとに体験に深く影響するのねと実感した出来事でした。

きました、完成品!

二回目の稽古の後、数日でカゲヤマさんから完成品が届きました。
仕事の早さよ!
さっそく家で聞いてみたところ、めちゃめちゃBGMとしてちょうどいい!
サロン乗る場参加の他の方からも「作業が捗る」とのお墨付きが。
これ以上言うとネタバレになってしまう…
強いて言えることがあるとしたら、このBGMにはちょっとした仕掛けがあります。その仕掛けは、例えるならサウナの後の水風呂みたいな働きをしてくれてるんじゃないかと思います。没入している所を異化によって整える。
みたいな!
情報量の件も、いい感じに刈り込まれた芝生みたいにすっきりした感じになっていて、
仕事の丁寧さよ!

え、ちょっと待って…!

と、ここまで書いたのがある日の開演前。さー終わったらnote公開するか!のつもりだったのですが、その日の上演中、このカゲヤマさんの音の仕事について大きな発見をしてしまったのでした。

カゲヤマさんの音源は45分くらいの長いひとつのトラックで、上演中はそれをリピートしています。(なのでカゲヤマさんの仕事に注目したい方は40分以上のコースでご予約いただくのが良いかもしれません)
で、その45分、何曲分かのメロディが流れるのですが
「あれ?この曲はもしかして一曲丸々じゃない?途中で切れてる?…そういうのが何曲かある?!…45分の長い展開が設計されてる!」
私の意識は、施術中にも関わらず一気にBGMへ向かいました。

曲の間の長さが絶妙にコントロールされていて、これはもしかして…
施術を受けて夢うつつになった時の意識の状態と同調するように設計されているのでは?!という仮説が私の中に浮上しました。

施術を受ける方は少なくない率で眠りに落ちちゃったりします。
(入眠、もみほぐし演劇なのでぜんぜんアリです!能とかも観劇中に気持ちよくなっちゃうし、何ならアピチャッポン作品とか、入眠が織り込まれてたりすると思ってます)
で、もみほぐしを受けている時の眠りの落ち方って独特というか、
自宅のようなプライベートな空間で一人になって入眠するのとは違って、セミパブリックな場所や他人であるセラピストがいる、いわば社会的な所にいながら身体的な状態の推移によって否応なしに眠りに落ちてしまう。
それゆえ、意識がはっきりしているような錯覚、覚醒と睡眠が重なっているような。何か考えていたり思い出しているような感覚と共に、いつの間にか当然のように眠りが訪れている。かと思えば、外部の音やセラピストの声によって突然覚醒を促されたり。
眠りという極個人的な体験をしつつ、同時にその身体はつねに外部にさらされており、眠りを覚まされる可能性がある。

カゲヤマさんの音源は、まさにこの意識の推移・時間経過を音によって表現しているのでは…!

このBGMが聴けるのはサロン乗る場だけ!

といった感じで色々やばい仕上がりになっているサロン乗る場もオープンして早数回。たくさんのご来場、ありがとうございます!
上演回数を重ねることで演劇作品らしい側面も馴染んできたサロンは、こちらのリンクからまだまだご予約いただけます。
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みなさんのお越しを、乗る場をあたたかくしてお待ちしております!

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