見出し画像

書籍『良い戦略、悪い戦略』とリチャード教授について

札幌でちいさな貿易商社を経営している、ケニー(tsujikenzo)です。noteでは、Tweet以上、技術ブログ未満の、アウトプットを行っています。

プログラミングや技術に関することはこちら。
技術ブログ『学習と成長のブログ』

会社や働き方についてなどの音声配信も行っております。
Podcast『北海道から世界の食卓へ』

今日は筆休めに、書評を書こうと思いましたが、そもそも、著者のことについて気になったことがあったので、アウトプットします。

「経営理論」や「経営戦略」に興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
とはいえ経営者以外に無関係というわけではなく、むしろ、すべての人が働くの価値が上がるように、この本をどう活用したらいいかという視点を持ちながら読みました。このブログの趣旨も同様です。


リチャード・ルメルト教授

この本は、戦略論と経営理論の世界的権威であるリチャード・ルメルト教授により、2012年に書かれたものです。教授はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のアンダーソン経営大学院の教授を長年務め、戦略的管理の分野で多くの著書や論文を発表しています。

教授の研究は、特に「良い戦略・悪い戦略」の区別を明確にすることに焦点を当てており、戦略が単なる目標設定ではなく、競争の中で優位を築くための独自のアプローチとみなすべきだと主張しています。教授の理論は、実践的かつ理論的な洞察を提供することで知られており、ビジネスリーダーや政策立案者、学者たちから広く支持されています。

この本が書かれる前の状況

経営理論や戦略については、歴史が古く、多くの研究がなされたことでしょう。中でも、1980年に書かれた有名な戦略論であるマイケル・ポーターの『競争の戦略』は、今でも大きな影響力を持っています。

ポーター氏の「ファイブフォース分析」や、「市場におけるポジショニング」などの概念は、1970年代から1980年代にかけて特に流行しました。これらは、市場支配力をベースにした経営戦略論です。企業がどのようにして競争環境で有利な位置を確保し、持続可能な競争優位を構築できるかに焦点を当てています。

1980年代には、グローバリゼーションや技術革新の加速に伴い、市場支配力をベースとした戦略が多くの企業に採用され、特に大企業や多国籍企業を中心に、市場での競争優位を築くための重要なアプローチとされました。これらの戦略は、市場の構造を理解し、その中で最も利益を得られる戦略的位置を見つけることを目的としています。

リソース・ベースト・ビュー

リチャード教授の研究は、企業が持つユニークなリソースと能力が持続可能な競争優位を生み出す源泉であると考えるものです。企業の成功は外部環境だけでなく、企業内部の資源によっても大きく左右されるという視点を強調しています。結果として、市場支配力をベースにした経営戦略から、時代が転換するきっかけとなりました。

RBVの4つのポイント

  1. 価値ある(Valuable):リソースは市場で有利な位置を確保するのに役立つものでなければならない。

  2. 希少性(Rare):リソースは競合他社に広く保持されていないものであるべき。

  3. 模倣困難(Inimitable):競合他社が容易に模倣できない、独自のリソースであること。

  4. 代替不可(Non-substitutable):リソースには代替可能な他のリソースが存在しないこと。

MBOとOKR

時を同じくして採用されていた、組織マネジメントについても触れておきます。

MBO

MBO(Management by Objectives、目標による管理)は、1950年代にピーター・ドラッカーが提唱した組織の管理手法です。組織全体の目標と個々の従業員の目標が一致するように設計されており、目標設定から評価までのプロセスに従業員を積極的に関与させることで、組織の効率を向上させることを目指しています。MBOは、特に1960年代から1970年代にかけて西側諸国の企業で広く採用されました。

OKR

OKR(Objectives and Key Results、目標と主要成果)は1970年代にインテルでアンドリュー・グローブによって導入されました。グーグルは1999年からOKRを採用しており、高い透明性と迅速なフィードバックを通じて、組織の目標達成を加速させる手法としています。OKRは、具体的で測定可能な成果に焦点を当て、短期間で目標を設定し評価することを特徴としています。

本書との接点

『良い戦略・悪い戦略』では、一般的なマネジメント理論や戦略について多く触れており、特に悪い戦略の典型例として、目標の列挙や願望の表明が戦略と誤解されている事例を批判しています。彼は具体的な戦略が欠如している現代のマネジメント実践を分析し、それに対する解決策として、「良い戦略」の枠組みを提供しています。

まとめ

最後のセクションです。

まず、読んでみよう。

いきなりこの書籍を読み始めるのもいいでしょう。「なるほどね」と思わせる考え方や気付きを、たくさん得られるでしょう。

  • 悪い戦略は、重大な問題に取り組まない

  • 悪い戦略は、目標を戦略と取り違えている

  • 良い戦略は、1つか2つの決定的な目標にエネルギーとリソースを集中投下し、それを達成することで次々と新しい展開へとつなげていく

  • 良い戦略は、十分な根拠に立脚したしっかりした基本構造を持っており、一貫した行動に直結する

戦略とはなにか

しかし、そもそも「戦略」について定義できなければ、良いも悪いもよく分からないと思います。わたしは「戦略」と言われるとつい「1万の兵が10万の兵を破った」とか、「市場における競争優位性を深め、高める」などを思い浮かべます。

「上記を抽象的に言うと?」と問われると「ラクに勝つ?戦いを略する?」と思いつきますが、フワフワしていて言葉の定義ができていません。

つまり、読了したにも関わらず、「自分は、この本を読む準備運動ができていない」と感じました。

アウトプットから得たもの

そして、このブログを書いてみて、この書籍は「市場支配力をベースにした経営戦略」が流行り、MBOやOKRで「目標の一致や、測定可能な成果によって組織マネジメント」が行なわれていたけども、どうもうまく行かない。それは、「あんた達が上手く行ってないのは、目標の列挙や願望の表明を戦略としてしまってるからよ」と、リチャード教授は言ってるのだと思いました。(なぜかオネェ口調)

これが整理できただけでも、少しラクになりました。
「イシューから始めよ」「仮説思考」などの本も横に添えて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?