【エッセイ】コーヒー、私、時間(連作1)
目を閉じれば、あの時間が蘇る。
いつもではないけれど、目の前にふっと浮かぶ。
コーヒータイム。
音も匂いも一緒にいる人の表情も、あの時に戻っているかのように。
両親はよくコーヒーを飲んでいた。
私が、学校から早く帰る土曜日。
急いで階段を駆け上がる。
「お帰り」と言うように
私の鼻に、ちょっぴり大人の香りがフワッと届く。
ドアを開ける。
コーヒータイム中の2人の後ろ姿。
「ただいま」
より一層強くなるコーヒーの香りに、
「今から休日だ!」というワクワクした気持ちが合わさ