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だからここに住んでいます #00

今回インタビューしたのは横手市に住む女性ふたり。
鈴木葵さん(30)と大橋花菜さん(31)。

ふたりは高校、専門と同じ学校へ進学したが、それぞれどんな経験を経て、横手市を拠点に選び、生活しているのか。
穏やかな空気が流れるなか、過去・いま・未来のことを聞いてみた。

高校を卒業して…

鈴木 仙台医療秘書福祉専門学校の医療事務科を卒業後、横手市のクリニックで約2年間医療事務として勤務しました。その後、カフェなどの飲食店で働きながら、結婚、出産と経験し、現在は建設関連事業の会社で設計士のサポートをしています。

大橋 同専門学校の医療秘書科を中退しました。地元に戻り、祖父母が大好きだったことから、介護の仕事に進みました。ただ、若いうちに東京に住んでみたいと思っていたので、2年間ほど上京しました。現在は横手市で訪問介護の相談員として働いています。

どうして専門学校へ進学を?

鈴木 学生時代、美容師やイラストレーターに憧れはありましたが、その世界に飛び込んでいく勇気はありませんでした。お金が欲しいというよりも、普通に生活できればって感じ。自分には何が向いているのか、何ができるのかが分からず、すごく悩みました。でも、ある日先生に「持っていて損にならない資格を取るのは?」と言われ、それが意外にも自分にしっくりきたんです。そんなぬるい感じで進学先を決めちゃいましたね。

大橋 私も中学生の頃は美容師になりたいと思っていました。高校生になってもなかなか自分の将来がイメージできなくて、進路にはものすごく悩みました。結果として、鈴木さんと同じ専門学校に進学しましたが、自分のやりたいことが他に見つかり、別の道に進むことを選択しました。

いまの仕事のこと

鈴木 専門学校では「医療事務検定1級」、「秘書検定2級」、「硬筆書写技能検定準2級」などを取得しましたが、現在その資格は活きていません(笑)今は道路や水路、生活インフラの新設や維持などの工事に必要な設計図の作成や計画の考案など、みなさんの生活の安全を守るための仕事をしています。はじめはCADというソフトを使いこなすのに必死でしたが、今は関連資格を取得しようと考えているところです。

大橋 介護の仕事には楽しさを感じています。「介護福祉士実務者研修」、「介護福祉士」の資格を働きながら取得しました。以前と比べて今は直接おじいちゃん、おばあちゃんと触れ合う機会は減りましたが、現場に出たときに感謝の言葉を伝えてもらえる瞬間や、親族のみなさんが大切な家族を我々を信頼して預けてくれていることを思うと、とてもやりがいを感じます。

学生時代の部活動のはなし

鈴木 中学1年時から剣道を始め、剣道二段まで取りました。県南大会では個人3位、市総体では2位、団体戦優勝。こう見えて意外と好成績を収めていました(笑)高校では、部活と両立して生徒会執行部に入り、3年時には生徒会長を務めました。

大橋 高校までの6年間バレーボール部に入部していました。中学時代は県南新人戦で2位になり、より部活に熱が入りましたね!一転して、高校時代は体力維持くらいの気持ちで入部したら、大間違いでした(笑)

ズバリ!横手のエモスポットは?!

鈴木 大人になってから見つけた場所ですが、「みずほの里ロード」を車で走るのが好きです。季節の移ろいを感じることができ、ここに住んでいることを誇らしく思える時間です。特に秋の景色が好き!感動して涙が出ることもあります。ほんとにオススメ!

大橋 雄物川河川公園ですね。実家からすぐということもあり、学生時代はよくランニングをしに行っていました。大人になった今でも、コーヒー片手にリフレッシュをしに時々訪れています。

大人になった今だから見える横手

鈴木 10代の頃は県外に出てみたいという気持ちはありましたから、上京する友達を少し羨ましく思っていました。でも、イメージする東京は怖くて。でも、一度くらい経験として県外の空気を吸った方が!と一念発起して仙台に行ったんですよね。大人になって東京へ出向く機会が増えましたが、やっぱりイメージは今も拭えていません。人が冷たく感じてしまうんです。それもあって、優しい人が多い、馴染み深い横手の空気が私には合っているなと感じています。

大橋 東京は楽しかったですが、住み続ける場所じゃないかなって思いました。それと比べると、横手は本当に住みやすい町だと思います。知っていますか?秋田県には「ない」があるんですよ!「何もない」が魅力になると私は思っています。

将来の夢ってある?

鈴木 昔からあまり欲がなく、それに心配性なので、お家があって食事ができてっていうありきたりだけど、平凡な生活を送り続けることが夢ですね。家族と毎日健康に、楽しく生きていければと思っています。ほんとにすごくすごく現実的で­すが…。

大橋 介護の仕事をもっと追求し、いつかは自分の視点を活かした新しい介護の事業を横手で立ち上げたいと思っています。

みんなにヒトコト

鈴木 学生の頃は進路にすごく悩むし、自分なりに大きな決断をしなきゃいけない。でも、その決断にずっとしばられる必要って全くないと思うし、その決断を覆せるのが大人のいいところだと思います。

大橋 学生時代の私は、まさか自分が介護の仕事をしているなんて思っていませんでしたし、多分この仕事を好んで選ぶ人って多くはないと思います。でも、自分には無理だと思っていたことが、やってみると意外と楽しいと思ったり、向いているかもと思ったりするかもしれない。だから、はじめから敬遠しないで、いろんな分野にどんどん挑戦してみてほしいなって思います。

同い年のふたりとは学生時代関わりはなく、こうして地元に帰ってきたことをきっかけに杯を交わしたのが、出会いのはじまり。

インタビューが終わる頃、鈴木さんがふと放った言葉が印象に残っている。
「こうやって学生時代にいろんな人の生き方を知ることができてれば、自分の意志で進路を選ぶことができたかもしれない。だから、この企画すごくいいと思う。」

やりがいってこんな些細なところに生まれる。

30代をずっと楽しみにしていた私にとって、このふたりもまた、彼女たちらしい30代を楽しんでいる。
この町で歳を重ねることをワクワクさせてくれた今日だった。

🎤建設関連事業の事務サポート勤務
 鈴木 葵さん
 田根森小→大雄中→平成高校
 →仙台医療秘書福祉専門学校
🎤介護士
 大橋 花菜さん
 雄物川北小→雄物川中→平成高校
 →仙台医療秘書福祉専門学校

2023年より秋田県横手市の中高生向けにzineを制作し、配布しています。
その中のコーナーである『だからココ二住ンデイマス』では、横手市で働く先輩を紹介しています。
note『だからここに住んでいます』は、紙面に書ききれなかった部分や私の主観を加え、『横手家に暮らすひとびと シーズン2』として連載していきます。


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