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横手家に暮らすひとびと #03(荻津賢廣さん)

春光寺で副住職を担う荻津賢廣さん。

駒澤大学仏教学部を卒業後、福井県の永平寺で修行を積み、実家である春光寺の副住職として9年目になる。

Q:お坊さんになることははじめから覚悟していたの?
A:幼少期から当たり前に継ぐものだと思ってたよ。同級生や檀家さんに「将来はお坊さんだね~」ってよく言われてたから、反抗する気持ちもなかったかな。他になりたい職業を考えることもなかったよ。

Q:大学生活はどうだった?
A:仏教学部の過半数が跡継ぎだったから、同じ境遇の友達がたくさん出来て、地元にいる時とはまた違った環境だった。
      春光寺は曹洞宗になるんだけど、曹洞宗は「剃髪」と言って、頭を剃ることが決まっているから、いくら毛根を痛めてもどうせ一生坊主だし!と思って、パーマを当てたり、金髪にしたりと、勉強だけじゃなく、大学生活を思いきり楽しんだ!(笑)
      それから、アルバイトもいい思い出。人と話すのが好きだから飲食店で働いた。4年生になって単位も無事取れて、就活もなかったから、結婚式場のウェイターのアルバイトを1年したんだけど、結婚式に対してなんとなく憧れがあったんだよね。
      お寺ってお盆とか葬式のイメージがあると思うんだけど、将来お坊さんになるし、今だけでも幸せな時間を味わいたい!って面接で話したら、面白いからって採用してくれたんだよ。しかも、その時に東日本大震災が起きて、世間が大変で自粛しなきゃいけない雰囲気の中でも、結婚式を挙げるい人たちはいて。暗い世の中でも、目の前のご家族の幸せそうで、こっちまで幸せな気持ちになったのが、ほんと忘れられない。

Q:お寺にはハレの日ってないの?
A:あまり知られていないけど、仏前結婚式っていうのが実はあるんだよ。
      自分の結婚式はここで挙げたんだけど、列席してくれた方々も珍しいからと楽しんでくれてた!住職さんが牧師さんのようになってくれて、指輪交換、数珠交換、讃美歌の代わりにお経を読むといった感じ。
     このお寺もしっかり飾れば、ここまで素敵になるんだなって!ぜひうちで結婚式あげなよ!(笑)
     ※仏前結婚式に興味のある方はぜひ春光寺まで👰♡

Q:お坊さんの修行ってやっぱきついの?
A:もうめちゃくちゃきつかった!!!
      曹洞宗は神奈川県鶴見にある總持寺か、福井県の永平寺か選べるんだけど、自分は永平寺に1年修行に行ったよ。ただ、持病がある人や年齢がいってて厳しい修業が受けられない人は、「地方僧堂」といって、各地方で通いながら修業ができるような制度がある。
      今だから言えるけど、本当にいい思い出!
      同期が100人くらいいるんだけど、厳しすぎて20人くらいは脱走しちゃうんだよ。永平寺は鍵がかからないから、夜逃げできるんだよね。でも、永平寺ってものすごく山奥にあって、東成瀬から十文字駅まで歩いていくようなイメージなんだけど、翌朝福井駅に行けば逃げた修行僧はすぐ見つかっちゃうんだよ。(笑)

      修行時代は、いわゆる精進料理を食べるんだけど、ストレスもあって8キロ痩せた。精進料理は、今でいうヴィーガンの走りみたいなもので、生き物を殺さないことが大前提にあるんだけど、朝はおかゆ、ごましお、漬物。昼は一汁一菜といった感じ。
      もちろんテレビも携帯もないし、研修や行事がない限り、お山を出ることもないから、食べることしか楽しみがないんだよね。永平寺は女人禁制だったから、すごく厳しい男子寮みたいな感じで、どうやってうまくさぼるかを常に考えてたよ(笑)
      でも、大学の同期や先輩もいたし、修業時代も人には恵まれたと思う。おかげで1年やりきれたし、辛いけど楽しむしかない!と思えてたかな。

~吉成メモ📝~
永平寺は日本で一番厳しい修業が行われていると言われています。
朝は3時に起床、夜の9時まで予定が決まっており、日常生活すべてが修行だと言われています。歯磨きや洗顔、食べ方ひとつとっても作法が決まっており、漬物も音を立てて食べてはいけないそうです😦
しかも、1日の間に40分の座禅を14回する集中週間もあるらしい…😇
YouTubeに修行僧の1年をまとめた動画がありました。意外と面白くて、私は最後まで見入っちゃいました(笑)


Q:地元で暮らしてみて
A:帰ってきてから、色んなイベントに参加したりして、人の輪が広がったなって思う。人と話すこと、人と集うことが好きだから、毎日が本当に楽しいよ!コロナが落ち着いてきたから、またイベントを企画するからぜひ参加してよ!

賢廣さんとこうして話して、お坊さんのイメージが覆された。もちろんいい意味で。
そして、賢廣さん自身がこんなにもひょうきんな方だと思っておらず、親しみやすすぎることに驚きを隠せない。
身近な存在でありながら、稀有な職種で立ち入った話を聞く機会もなかなかないお坊さんのお話。
この機会に新しい世界を垣間見ることができて、すごくいい時間だった。
お寺や檀家さんについてお話しする姿からは、人以上に人想いな仏さまのようだった。

春光寺は佐竹藩の側室の菩提寺として江戸時代から続く。
賢廣さんは27代目として、この寺を守ることとなる。
優しく出迎えてくれる賢廣さんの笑顔は、春風のように爽やかだった。

🎤春光寺
  荻津 賢廣さん

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