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【読書】 そんなつもりは・・が地獄の入り口。 ~ 懲戒の部屋 自選ホラー傑作集1 筒井康隆 ~

筒井先生の作品は好きで、高校から20代前半くらいにハマって短編中心に色々と読んでいました。

それはそれはグロいものからファンタジーまで幅広い作品。

「宇宙衛生博覧会」は、表題の「衛生」がそれはそれは・・だったと記憶しています。

風刺が効いているお話が多く、今のご時世だと厳しい表現が多いかもしれません。

それが醍醐味なのですが(笑)


こちらの短編集は、筒井先生の自選が10篇収められています。

表題通りに「懲戒」されてしまう人々は、ほんのちょっとだけふざけたばっかりに、またはちょっとしたうっかりで凄まじい目に。

または全くの濡れ衣で、それはそれはその「罪」に見合わないエグエグな懲戒を食らいます。

受けさせる側の「理屈」は壮絶且つ問答無用で、その徹底っぷりは罰する側の「意識」がぶっ飛んでいる以外に無いように思います。

・・ただ、「罰する側」であったとしたら相当爽快感がありそうで、そう思わせられるのも怖いところです(笑)


ちょっとした出会いから、または出向いた先での注意事項を聞いている内に、不安な未来を感じさせる展開あり。

夢か現の境界線を彷徨っているつもりが、痛烈な現実を突きつけられたり。

偏狭な「グルメ」の行きつく先の暗黒感。

子どもの頃の記憶、家族の記憶を辿るファンタジー。

最後の短編は、人間の最後って、あるべき姿って何だろうと思います。


話として分かりにくい短編もあれば、支離滅裂であっても分かりやすい描写でそれが恐ろしかったり。

こちらは自選パート2もあるので、近日買いに行こうと思います。

筒井先生の自選だけに、とっぷりと先生の思想と思惑に漬かれます、きっと(笑)



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