見出し画像

【短編小説】 その先は、

新聞の切り抜きをしていた。

気に入った記事をスクラップブックに貼り付けるために。

貼り付けた記事は読み返されることはない。

貼り付けた途端に興味が薄れる。

「あ~」

見上げた天井には小さな明かりが灯っている。

カッターを握ったまま両腕を天井に突き上げて伸びをする。

カッターが空を切り裂いた。

切り裂いた先から手が伸びて来た。

掴みあげられた私はスクラップブックに貼られる。

そして本は閉じられ、棚に押し込まれる。

見返して貰えたら本望だ。


この記事が参加している募集

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?