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【元スーツケース販売員が選ぶ】スーツケースの選び方【決定版!?】

実家を持たない私はリゾートバイトで各地を転々としながら生活をしている。いわゆるアドレスホッパーという状態だ。
ここ5年のうちに賃貸契約をすることもあったが、結局はアパートを解約してリゾバ生活に戻っている。

そんな私の旅の相棒といっても過言ではないのがスーツケース
過去に某世界No.1シェアのスーツケースブランドで働いた経験もある私が選ぶ、(個人的)最強のスーツケースを紹介する。


LOJEL Cuboシリーズ

スーツケースを買うのを悩んでいる人がいればいの一番に薦めたいと思っているこのCuboシリーズ。
別にステマでもなんでもなく、本当に個人的に薦めたいものである。
(あわよくばスーツケースオタクの私を企業さんに見つけてもらってそういう仕事が舞い込んで来たらいいな、とは思っている。)

このスーツケースのメリットを特筆するなら以下だ。
・フラットトップオープン
・四輪かつダブルキャスター
・ファスナータイプ
・軽量で丈夫なポリカーボネート


フラットトップオープン

何をおいてもまず伝えたいのがフラットトップオープン。これに尽きる。

公式サイトより引用

通常、スーツケースは本を広げるように両開きに開く必要がある。けれどもフラットトップオープンはご覧のように、少ないスペースで蓋を広げることが出来る。
極端な話、ここに荷物をぽんぽんと投げ込んでそのまま蓋を閉めればパッキングが完了できる。

この形は、空港で重量オーバーしてしまったのでちょっとだけ荷物を出したい!というときにも、大っぴらにスーツケースを広げることなく中の荷を取り出せるというメリットがある。
個人的には、ゲストハウスのドミトリーを利用する際にも、狭いスペースでスーツケースを開けることが出来るので重宝している。

この形状はソフト(布)タイプのスーツケースにはよく見られる形だが、ハードケースタイプのものだと極端に少ない。
フラットトップオープンのケースを探していた当時、どんなに探しても布タイプの物しか出てこず半ばあきらめかけていた。
そんな時、私はこのLOJELのCuboシリーズに出会って歓喜したのを覚えている。

四輪ダブルキャスター

公式サイトより引用

フラットトップオープン以外の部分でいうと、まず四輪かつダブルキャスターであること。

小型のスーツケースでよく見られるのが二輪のみで斜めに引くタイプのもの。だがあれは昨今、駅での迷惑行為のように扱われることが多い。
確かに結構場所を取るし、人が通り過ぎたかと思って進んだら足元にまだスーツケースがあって躓いてしまった、という怪我案件になる可能性もある。
個人的には中途半端な腕の角度になるのが疲れるので、私は二輪走行は好きではない。
体に添わせるように四輪で運べるのは必須である。

それから、スーツケースが大きくなると荷物が増える。となると重さも増してくる。と考えると、やはりダブルキャスターが好ましい。
キャスター自体の強度もそうだが、四輪×ダブルキャスター=合計八輪で支えるので安定感も出てくる。

ファスナータイプ

公式サイトより引用

フレームタイプ(カチッとかみ合って閉まるタイプ)のメリットは型崩れがしない、そしてきっちりとロックをかけるという部分の心理的な安全性という点だろう。
しかしそのデメリットはフレームがあるためにケース自体が重たくなってしまうことである。
その点、ファスナータイプはスーツケース自体の軽量化に繋がるというメリットがある(私は飛行機移動のことを考えて、なるべくケース自体が重たくないものが好ましいと考えた)。

これはLOJELの独自ファスナーによるのだが、不正なこじ開けを防止できるようになっているらしい。
個人的には荷物を詰め込んだとき、キャスターに次いで負荷がかかるのがこのファスナー部分(フレームタイプだとフレームの鍵がかかる部分)だと思っている。
これでもかというくらい荷物を詰め込んで無理くりファスナーを閉めるときがあるが、現状(使用歴5年)、LOJELのファスナーは壊れる気配は一切ない。
ファスナーがもろければ破れて荷物があふれ出てしまう。そこを考えてのファスナーの頑丈さをチェックポイントに置いた。

またファスナータイプだと拡張が出来るという点もメリットに上げられる。これはファスナータイプの最大の利点ではないだろうか。
かくいう私は、高校生の時に買った初めてのスーツケースはハードタイプで拡張のないものだった。多分その時から、拡張できるものの方がいいな、という漠然とした憧れのようなものがあった。

ポリカーボネート製

軽量で強いポリカーボネート製。これに関しては昨今のスーツケースではほとんど多くがこの素材を採用している。
ポリカーボネートと言われてもピンとこない方に伝えるならば、ヘルメットと同じ素材という説明が一番手っ取り早い。

重量制限下において、スーツケース自体が重いとそれだけ荷物を入れる余白を奪われる。
重量制限20㎏という条件下で5㎏のスーツケースと3㎏のスーツケースとでは、入れられる荷物に2㎏ものさが生まれてしまう。そんな無駄はナンセンスである。


2018年の購入から5年経つが未だに欠点らしい欠点はない。
強いて言うなら奥(下の方)に入れた荷物を取り出すのに難儀するくらいで、それ以外には何も思い浮かばない。
なんなら折を見て、サイズ違いでもう一つ買おうかと常々思っている。

2023年4月/ゲストハウスで


スーツケースの選び方

ここからは余談に近いスーツケースの選び方のポイントである。
スーツケースの販売をしていた経験からいくつか紹介しておく。

まずスーツケースといって最初に迫られる二択がハードタイプかソフトタイプかである。

ハードタイプは、アルミやプラスチックなどの固い素材のもの。
ソフトタイプは、布やナイロンなどの柔らかい素材のもの。

しかしこの選択は、スーツケースそのもの素材面の話でもあるし、フレームタイプorファスナータイプの話にも繋がってくるので少しややこしい。

端的にいうならば、
素材がハードであれば、フレームタイプとファスナータイプの二択になる。
素材がソフトであるば、ファスナータイプのみの選択になってくる。

ハード×フレームタイプ
ハード×ファスナータイプ
右:ソフト×ファスナータイプ

ハード×フレームタイプはカチッとしていてかっこいい印象を与える。鍵を閉める際もフレームを合わせて閉じるので防犯性が高い。
ソフトタイプはどこか野暮ったく、布だから破こうと思えば簡単に破けてしまいそう。
それが、おおよそ多くの日本人の考えるハードタイプ・ソフトタイプのスーツケースに対するイメージである(スーツケース販売経験に基づく)。

とはいえスーツケース販売をしていた人間からすると、防犯性に関してハードケースのほうが優秀というのは間違っている。
ハードケースの場合、継ぎ目にマイナスドライバーを差し込んで梃子の原理を使えば一瞬で開くことが出来る。
※これは犯罪を推奨する意図ではない。鍵をなくした時の最終手段で、マイナスドライバーを使ってこじ開けるという方法があるのだ。

ソフトケースを刃物で破って開けるのと、ハードケースをマイナスドライバーでこじ開けるの、どちらかといえばハードケースのほうが短時間で開けられてしまうだろう。
それにそもそも、強盗犯はやろうと思えばどんな手段を使っても盗むときは盗む。ここで防犯性の優劣について語っても答えは出ないし、時間の無駄でしかないのでこの問題はいったん横に置いておく。


ソフトタイプorハードタイプ

ではソフトタイプとハードタイプ、どういう基準で選べばいいのか。

ソフトタイプ
・軽量
・フラットトップオープン

ソフトタイプの特筆すべき点は軽量であることだろう。
同サイズのハードタイプのものと比べても2㎏ほどは差が出てくるのではないだろうか(重さはメーカーによってさまざまであるので肌感覚の部分が大きいが)。
それから、ソフトタイプはほぼ100%フラットトップオープンタイプになっている。フラットトップオープンを好む人にはこちらの方が圧倒的にデザインの選択肢が多い。

ハードタイプ
・壊れやすいもの
・降水量が多い地域

ハードタイプはソフトタイプに比べて重くはなってしまうが、その分中の荷物への衝撃は和らげてくれる。
ハード×フレームタイプは、カメラなどの電子機器を運ぶ際にも(もちろん中に緩衝材を入れるが)選ばれることが多いし、工事現場の職人が専用の工具を運ぶ際にも選ぶのはこちらだ。

そしてハードタイプは雨に強いので日本の梅雨時期の旅行にはこちらがオススメだろう。


移動方法によって選び方を変える

新幹線を利用するか、はたまた飛行機を利用するか。そういう点でも選び方が変わってくる。

新幹線を利用するなら必然的に常にスーツケースを引いて歩くイメージがある。となると軽量化が望ましい。スーツケースの中に壊れやすいものを入れていても、ケース自体を持ち運ぶのは自分自身なので注意を払っていればそこまでスーツケースに頑丈さを求めくなてもいい。
もしくは、貴重品・壊れやすいもの(ノートパソコンやカメラ)は手持ちのリュックやバッグに入れて運ぶという手段も考えられる。

飛行機を利用するなら、スーツケースは預け荷物に出すことが多い。
日本国内ならともなく、海外だと預け荷物のスーツケースは雑に扱われやすいので頑丈なものを選ぶといいだろう。
とはいえこれに関していえば、「ハードタイプは割れる心配があるがソフト(布)タイプは割れる心配がない」という主張(byスーツケース販売員)もあるので、一概にハードタイプだから壊れにくいとも言えないのが難しい所である。

お国柄?スーツケースの選び方の国別傾向

これは完全に余談だが、日本人はハードケースを選びがちという話がある(スーツケース販売歴10年の先輩談)。
これは一説には、ある時期においてある国産スーツケースメーカーが有名人を起用して大々的に宣伝した結果、日本人の思考にスーツケース=ハードタイプという印象が根付いたからだと言われている。
ある種の企業努力ともいえる。

日本人が一番好むデザインのスーツケース(らしい)

この傾向はアジア圏にも多いようで、中華圏もハード(ファスナー)タイプを選ぶことが多いらしい。

日本人がハードタイプを選ぶ理由は、上記の企業努力に加えて、高温多湿という環境も相まっているのが考えられる。
日本は雨が多く、梅雨の時期はほとんどが雨に降られる。その環境下でソフト(布)タイプのスーツケースだと荷が濡れてしまうというデメリットが挙げられる。

反対に、ソフトタイプを選ぶのが多いのがヨーロッパ圏やアメリカ。
あちらは日本に比べて乾燥しているので、雨に降られて荷物が…という心配がほとんどないのでそういう傾向があるのだろうと先輩が話していた。

少し前(昭和~平成初期)の洋画で、劇中の主人公たちがホテルで朝寝坊をして、スーツケースに荷を投げ入れて急いでパッキングをするシーンがあった。その時のスーツケースがソフトタイプのフラットトップオープンののものだったのを覚えている。
あのシーンを見てから、フラットトップオープンのタイプだと荷造りが楽というイメージが私に根付いたのは確かだ。


スーツケースを買う人の「それを選ぶ理由」

これは私が実際にスーツケースの販売をしていた時、接客をしていてお客さんから聞いた「選ぶ理由」である。

軽いのがいいなら「ソフト×ファスナータイプ」

これは年配のご夫婦が二人で旅行に行く際のスーツケースを選びに来た時のこと。
「なるべくスーツケース自体が軽い方がいい」という。スーツケースにおしゃれさなんか求めていなくて、移動も飛行機よりも新幹線が多いので、スーツケースを持って移動することが多い。なので「軽いものがいい」という話だった。
おまけに「ポケットがあるのがいい(パンフレットや地図を入れておける)」と話していて、そういえばポケットが付くのはソフトタイプだけだなぁと気づかされた話でもある。

かっこいいのは「ハード×フレームタイプ」

20~30代の男性で、アウトドアが好きそうな雰囲気の人だった。「どういうのがいいか」と尋ねた時に、THE・日本人の好むスーツケースをあげたのがこの人だった。ハード×フレームタイプである。
実はこの頃、すでにスーツケースの軽量化の風潮が一般化しつつあって私の務めていたところではハード×フレームタイプのスーツケースの取り扱いは縮小傾向にあった。とはいえスーツケースといえばという固定観念で根強い人気であったのは確かだった。

スタンダードな「ハード×ファスナータイプ」

最近の主流はハード×ファスナータイプだろう。
高校生の修学旅行から、国内・海外旅行、海外出張、それから留学まで、幅広い年代、老若男女に支持されていたのがこのタイプだった。
素材はハード面、ファスナーで軽量化、スーツケースのいいとこどりである。
このタイプを選ぶときのチェックしてほしいのが拡張機能の有無である。すべてのタイプに拡張機能があるわけではないので少々注意が必要。
拡張機能のメリットは何といっても、帰りに(お土産などで)荷物が増えた時に便利という点である。

「安いのでいい」

スーツケースを買いに来る人の中で少なからずいたのがこのタイプ。
というのも私の務めていた店舗はアウトレットモールにあって、ファミリー層が多く、なおかつ車所有者が多かったのである。
旅行のほとんどを車移動するならば重量制限や頑丈さは特に気にしない。荷物がまとめて入ればいい。そういう人たちにとっては安さが一番だったようだ。

個人的な話

一時期、スーツケースを持ち運ぶのをやめて登山用のバックパックに荷を詰めてみるのはどうだろうかと考えたことがある。
私の移動のほとんどはリゾートバイトで、一度移動すれば数か月単位で滞在するので、荷造りという行為を頻繁に行うわけではない。なので荷造りのしやすさは別に求めなくてもいいのでは、と考えていた時期があった。
しかし結果として「運ぶとき肩痛くなるの嫌だし」という理由でバックパック案は廃案となった。

パッキングのしやすさや重さのことを考えずに、デザインだけで見るならレトロなレザーの、トランクと呼べるタイプが好きだ。

1900年代初頭のイメージ

ファンタスティックビーストのニュートが持っているトランクである。
拡張魔法があればどれだけ手持ちの荷物を少なくできるだろうかと夢見たことか…。
しかし小旅行に使えそうだと探してみたところで、そもそもこのタイプは現代では出回っていないし、あったとしてもヴィンテージ品は特注品でかなりいいお値段になっている。無念。

おしゃれ筆頭

よく見るこれもかわいいと思ってなんども悩んだ。
しかしいざ実際に自分が使うかという部分で考えると、キャスターが2輪しかなく、斜めに引くしかないので、いつも速攻で選択肢から除外されるのである。

レトロ可愛い

大学の卒業旅行(グアム行き)のときに、友人が「両親が使ってたスーツケースしかなくて…」と持ってきたのがこのタイプだった。
なんてかわいいの…!
角が丸いフォルムがとてもよかった。色はベージュ、年季の入った雰囲気で、もちろんキャスターが付いていなくて使い勝手は不便極まりなかった。けれどもその見た目のレトロさ、可愛さに勝るものはないと思った。




追記
こちらに書ききれなかったことを続編で書きました。
こちらも合わせてご覧ください。


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