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[翻訳] ポーカーのスタッツはどれだけサンプル数があれば信頼できるか by Tombos21

ポーカープレイヤーの統計データであるスタッツ (stats) は相手のプレイスタイルやリークを知るための重要な指標になると同時に、正しく読み解かなければ、間違ったアジャストを実行してしまう可能性があります。
VPIP, 3bet頻度, Flop CB頻度など、様々な種類のスタッツが存在しますが、十分信頼できると判断するために必要なサンプル数(ハンド数)はそれぞれ大きく異なります。

今回、GTOWizard所属のポーカー理論家であるTombos21による、スタッツを信頼するために必要なサンプル数についての解説を取り上げて翻訳したいと思います。

Tombos21 (GTO Wizard)

スタッツに必要なサンプル数について


質問者の投稿 

NLHにおいて、スタッツのサンプル数はどのくらいあればいいでしょうか?
求めているのは、プレイヤーのあるスタッツが適正値から5%以上乖離していた場合、そのプレイヤーはそのスポットでのプレイが乖離していると確信できるサンプル数です。
例えば、SRPのHUにおける適切なCbet頻度は65%なので、もし私が必要な数のサンプルを持っていて、その相手の SRP Flop CB のスタッツが 60~70% の間でなければ、おそらくこの相手は Flop Cbet が過多(または過少)だろうと推測できます。
当初、私はサンプル数は100以上が良いと考えましたが、それはあくまで私の感覚です。
乖離5%以下になると判断できる十分なサンプル数はどのようにすればわかるでしょうか。これを計算する数式があるのでしょうか。

Tombos21による回答

HUDスタッツの統計的な信頼度を見積もるために数学を活用することができます。

以下にいくつかの例を紹介します。ぜひ答えを見る前に自分で推測してみて、自分の直感がどれくらい現実に近いか見てみて下さい。このような練習を数時間行えば、より上手にHUDスタッツが解釈できるようになり、いつスタッツを重視し、いつノイズとして無視すればよいかわかるようになるでしょう。

【例1: VPIP】

あるプレイヤーのVPIPは40%(20ハンド中8ハンド)だったとします。これは彼がホエールであると自信を持って判断するのに十分なハンド数と言えるでしょうか(6-MAX)。

答えは「近い」です。ホエールである可能性はそれなりにあります。しかし、ただ運が良かっただけのREGの可能性も残っています。この時点で、あなたはプレイをアジャストさせ始めるべきだと言えますが、大きくずらしすぎるべきではないでしょう。

このときの95%信頼区間は、19.1% ~ 63.9% となります。

ある仮説を検証をしてみましょう。仮にこのプレイヤーの真のVPIPが25%だった場合、20ハンド中8回以上参加する可能性はどれくらいあるでしょうか。

答えは10%のみです。言い換えると、このプレイヤーはポットに参加しすぎているだろうとある程度の自信を持って考えることができます。

【例2: Preflop 3bet%】

あるプレイヤーの3bet頻度は5%と低かったとします。3betする機会は40回あったものとします。(総ハンド数ではなく「機会」である点に注意)
あなたは、このプレイヤーが十分3betできていないと自信を持って言うことができるでしょうか。

私はノーだと思います。彼は40回中2回、3betしただけで、ただカード運が悪かっただけの可能性があります。このように低いパーセンテージのスタッツは収束するのにはるかに長い時間がかかります。

このときの95%信頼区間は、0.6% ~ 16.9%です。

仮説検証をしてみましょう。真の3bet頻度が10%のプレイヤーの3bet回数が40回中2回以下に収まる可能性はどれくらいでしょうか。

約22%です。言い換えると1/4の確率で、ただ運が悪かっただけのREGの可能性があります。

マニアックな仮説を検証してみましょう。真の3bet頻度が15%のアグロプレイヤーの3bet回数が、40回中2回以下に収まる可能性はどれくらいでしょうか。

約5%です。まだアグロである可能性を捨てきることはできません。

結論として、サンプル数は不十分だと言えます。多少3betへの対応をタイトにできるかも知れませんが、私の意見としては、このプレイヤーをNITとラベル付けするべきではなく、大きなアジャストはするべきではないと思います。この時点ではまだ。

【例3: Flop CB%】

あるREGと800ハンドプレイし、その相手は80%の頻度でFlop CBを打ってきたとします。800ハンド中、CBを打つ機会は100回ありました。これはFlop CBがワイドすぎると言える十分なサンプル数でしょうか。

イエスです。自信を持って、このプレイヤーはFlop CBがワイドすぎると言えます(preflopが超タイトなプレイヤーではない想定)。

このときの95%信頼区間は、70.8% ~ 87.3% です。

仮説検証をします。適正CB頻度が65%とします。真のFlop CB%が65%のREGが、フロップ100回中80回以上CBを打つ可能性はどれくらいあるでしょうか。

0.078%、ほぼ0%です。Flop CB頻度65%のREGがこれほどCBを打つことはほぼありません。このプレイヤーの実際のFlop CB%はもっと高いでしょう。この相手のCBに対してはアジャストできるし、するべきです。

あるスタッツは、他のスタッツより収束するのに多くのハンド数を必要とする、ということを覚えておきましょう。スタッツの精度はプレイしたハンド数とは関係なく、どれだけそのアクションを行う機会があったかに関係します。VPIPのようなスタッツは非常に早く収束しますが、River 3betのようなものは、ほとんどどんな時も参考にならないでしょう。

私がスタッツを見積もるために使用したツールは こちら です。

source: Good sample size for stats - Two Plus Two Forum 


翻訳は以上です。読んで頂いてありがとうございました!

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