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[翻訳] 集合分析レポートでヒューリスティックを構築しよう by Tombos21 (GTOWizard)

今回は自分がフロップのプレイを勉強する上で、とても影響を受けた動画を取り上げます。プレゼンターは、ポーカー理論家であるGTOWizardのTombos21です。(彼の講義動画やブログは超おすすめです!)

動画内で彼は、この講義の目的は「魚を与えることではなく、魚の釣り方を教えること」だと言っています。フロッププレイにおけるヒューリスティックを自分で見つける方法を詳細に解説しています。

Tombos21

尚、この記事には、ヒューリスティックという言葉が度々登場します(日本語には存在しない言葉なのでそのままカタカナで表記します)。
訳者の理解では、ヒューリスティックとは、学習や経験をもとに直感的に行われる判断のことです。特にポーカーにおいては、あるシチュエーションやボードテクスチャーにおいて、厳密には最適ではなくとも、直感的に素早く、ある程度正しい選択を導き出す思考(あるいはその判断基準)を指していると理解しています。

※一部要約しながら、再構成して翻訳します。


集合分析レポートでヒューリスティックを構築する

2022/11/16 投稿

『集合分析レポートでヒューリスティックを構築する』

本日は、GTOWizardで最も強力なツールである集合分析レポートによって、アクションの傾向を見つけ、ヒューリスティックを構築する方法を紹介します。

集合分析レポートとは

集合分析レポート (Aggregate Reports) とは、戦略的に区別される1755種類全てのフロップのデータが集約されたもので、ベットサイジングの傾向やヒューリスティックの構築に用いることができます。異なるフロップテクスチャーでどのようにプレイするべきか、どうターンのプレイに繋げるのべきか等、を調べることが可能です。これは、すべてのフォーマット(キャッシュ、MTT、スピン)で利用ができます。

かつては、集合分析をするためには、すべてのフロップを自分でシミュレーションし、それらを自分で集約し、スプレッドシートにエクスポートし、インターフェースを作り込む必要がありました。しかし、GTOWizardのインターフェースであれば、より簡単に傾向を見つけたり、全体像をつかむことができます。

その方法は以下の4つのステップに分けられます。

  • Step 1: ツールの使い方を覚える

  • Step 2: 傾向を見つける

  • Step 3: 書き出す

  • Step 4: トレーニングする


Step 1: ツールの使い方を覚える

最初のステップは集合分析レポートの使い方をマスターすることです。今日は、集合分析レポートのニッチな機能まで詳細にご紹介しますので、ツールのエキスパートになってください。

まずは、スポットを選択します。ここでは、最もシンプルなBTN vs BBのスポットを選んでみましょう。こちらがフロップのレポートです。(図1)

[図1] フロップレポート (チャートビュー)

右上は、BTNがこのスポットにおいて、1755種のフロップボード全体で、どのアクション(およびベットサイズ)をどのような頻度で用いるかを表しています。左下は1755種類すべてのフロップの内訳です。クリックすると右下に各フロップボード個別の詳細が表示されます。

グルーピング機能を使うと、ハイカード、スート、ペアの有無、コネクテッドネス別に、フロップをグルーピングして表示することができます。(図2)

[図2] ハイカードでグルーピングした場合


次にフィルターです。フィルターは非常に強力で、今日の講義もフィルターが中心になります。
フロップテクスチャーを勉強する時、細かく分ける方法がいくつかあります。スート、ペアの有無、コネクテッドネス、カードランクです。フィルターを使うことで、任意のフロップだけを抽出することができます。(図3)

[図3] フィルタリング

フィルターをかけると、抽出されたフロップだけの全体のアクション頻度が右上に表示されます。


レポートの表示方法は、チャートビューとテーブルビューがあります。私は、主にはチャートビューを使いますが、正確な数字が知りたい時はテーブルビューを使います。テーブルビューはスプレッドシートのように使うことができます。(図4)

[図4] フロップレポート (テーブルビュー)

テーブルビューでフィルターをかけると、

  • 1行目:そのスポット全体のアクション頻度

  • 2行目:フィルターが適用されたフロップの全体のアクション頻度

  • 3行目以降:個別のフロップにおけるアクション頻度

が表示されます。1行目と2行目を比較することで、フィルタリングによって、どれだけ全体のアクション頻度が変化するか確認することができます。


また、ソートを使うことで、特定のアクション頻度が高い順または低い順にフロップボードを並び替えることができます。例えば、チェック頻度の少ない順に並び替えてみましょう。(図5)

[図5] ソーティング

グルーピング、フィルタリング、ソーティングを活用し、フロップの傾向を見つけて、ヒューリスティックを手に入れましょう。

次にターンレポートを紹介します。まず、フロップのカードとアクションを選択してください。
例えば、K♠9♥3♣のフロップで、BTNが33% CBを打ち、BBがコールした後のターン戦略がこちらです。(図6)

図6: ターンレポート

ターンレポートでは、フィルター機能で、自分のホールカードを指定して、戦略を表示することができます。

*訳注: 今回の翻訳記事では、集合分析レポートの詳細な使い方に関する説明は、文字では伝えきれないため、一部割愛しています。元の動画を見ることをおすすめします。

Step 2: 傾向を見つける

2つ目のステップは、傾向の見つけ方です。大まかな傾向を探す時、2つのゴールを目指してください。

  • ゴール1: 戦略的に類似するフロップを抽出するフィルターを見つける。

  • ゴール2: より幅広いフロップが抽出されるフィルターを見つける。

あまりに細かく分けようとしてしまうと何百ものフィルターが必要になり、実用的ではなくなります。一方で、フィルターが荒すぎると、充分に類似するボードが抽出されません。勉強がしやすいように、戦略的に類似するボードをうまくグループ分けしましょう。


シンプルな例を見てみましょう。例えば、BTN vs BBにおいて、BBは4.1%の頻度でドンクベットを打つことがわかります。(図7)

図7

では、どのようなボードでドンクベットを打つのかを知るために、そのようなボードだけを抽出してみましょう。まずベット頻度が高い順にソートしてみます。すると、多くのローカードが並んでいることがわかります。(図8)

図8

ハイカードでグルーピングしてみても、上から 5, 6, 4, 7…とローカードほどベット頻度が高いことが確認できます。

そこで、ローカードのみ(7~2)でフィルタリングをしてみましょう。すると全体のベット頻度が、4.1%から23.2%に増加しました。(図9)

図9 

さらに絞り込むために、ベット頻度が低いボードを見てみます。すると多くのペアボードが並んでいるので、更にフィルターでペアボードを除いてみます。すると、さらにベット頻度が上がり、28%になりました。(図10)

図10

更に見ていくと、コネクテッドなボードほどベット頻度が高く、またモノトーンボードではベット頻度が低いこともわかります。
それらをフィルターでさらに絞り込むと、ベット頻度は34.2%まで上がりました。(図11)

図11

これが覚えるべきヒューリスティックです。ほとんどのボードでドンクベットはしませんが、「7以下のローボードで、コネクテッドで、モノトーンではないフロップでは、ドンクベット頻度が高くなる」と覚えることができます。
※コネクテッドであれば、必然的にペアボードは除外される

注意点として、このように得られたヒューリスティックは、すべてのポジション、すべてのプリフロップアクションに当てはまるわけではありません。ここで得られたヒューリスティックはあくまでこのポジション、プリフロップアクションの時に使えるものです。
ただし、UTGオープンとHJオープンなど、レンジが似ている場合は、同様の傾向を見つけることができます。


Step 3: 書き出す

3つ目のステップは、発見した傾向を書き出すことです。

ここでは、傾向をスプレッドシートに記録してフロップを勉強するための、体系的なアプローチを紹介します。
テンプレートも提供しますが、大事なことは自分でやることです。私はヒューリスティックを提供するのではなく、それを自分で見つける方法をお教えします。これを発見する過程で多くのことを学ぶことができるからです。

こちらがそのスプレッドシートです。ポジションや適用したフィルターを入力し、そこに主要なフロップ戦略やメモを記録していきます。(図12)

例:BTN vs BB / A~K, 7~2, 7~2 / ペアなし / 非モノトーン
→ bet 33~50% / 脆弱なアンダーペアではチェック頻度が低い… (略)


図12: スプレッドシート

いくつかの項目はプルダウンで選べるようになっています。トレーナーのURLを保存しておいてもよいでしょう。
このスプレッドシートは自分の好みで柔軟にアレンジして使用してください。


次に簡略化する方法をお話しましょう。どこまで簡略化するかはあなた次第です。多くのボードのヒューリスティックは、1サイズベット or チェックですが、もっと複雑にすることもできます。
同スプレッドシート内にある「Textures to test out」のタブは、Monkerが生成したボードテクスチャーのリストです。リバーまでのEQディストリビューションを元に、戦略的に類似するボードに分類されています。(図13)

図13: スプレッドシート

同じバケツ (Bucket) に並んでいるフロップは戦略的に類似していると考えられるボードです。ただし、特定のカードやレンジに対するEQではなく、非常に類似している場合もあれば、そうでないこともあります。
バケツ数は30、60、100の3種類の細かさが用意されています。こちらを眺めてみると、フロップの傾向を見つけるためのインスピレーションが得られるでしょう。

GTOWizardが配布しているFlop Heuristics スプレッドシートのテンプレートは こちら です。元動画の概要欄より。

Step 4: トレーニングする

最後のステップは、ひたすら練習することです。
発見したヒューリスティックをトレーナーに取り込み、類似するボードを練習するための利用することが可能です。(図14, 15)

図14: トレーナー (設定画面)
図15: トレーナー

また、ターン、リバーを正確にプレイすることは、フロップのベットサイジングを最適化することより重要です。あるラインのあるボードで、どのようにプレイを続ければよいかの感覚を掴むためのターンレポートを使いましょう。

ソース:
The Ultimate Guide to Poker Aggregate Reports - GTOWizard (YouTube) 


翻訳は以上です。読んで頂いてありがとうございました!

この動画ではGoogleスプレッドシートを使ってヒューリスティックを書き出すプロセスが紹介されていますが、訳者はNotionのデータベースを使って整理しています。ここでのNotionの活用法もいずれnoteに書きたいと思ってます!

[2023/08/22 update] Notion活用法の記事を書きました。 


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