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あん時の、猪木。


ボンバイエ。正しくは「ボマ・イエ」
もうこの言葉の意味は、ネット検索すればササっと意味がわかる時代だし、沢山の人が書いてくれてるので割愛する。
この本の燃える闘魂は

壮絶にボンバイエ。


私は元々読書家ではない。
年の離れた姉がいたので早いうちから文字は読めたが、絵本と漫画を読む程度で、物語を楽しむなら俄然、アニメか映画だった。
小学校に通い出しても本は読まず、教科書も碌に読まないし、読みたくない。
図書の時間はそれはそれは億劫で、でも図書室と言う空間は好きだった。
先生に「座ってなんでも良いから読みなさい」と指示され、そう言われると図書室の真ん中に座って本の背表紙をひたすら読んだ。

まず右の目線の高さにある「ベイブ・ルース」を確認し、続いて「リンカーン」を見る。そして「シートン動物記 オオカミ王・ロボ」を横目に「ファーブル昆虫記」「ベートーベン」と、いつのもメンバーがいつもの定位置にいることを確認する。

本は基本、背表紙しか読まないタイプの小学生だった。

中学、高校も読まなかった。
だからか知らないが、歴史上の人物に疎い。思い返せば、小学校の図書室は「自伝」「伝記」の宝庫で、教科書に載っている沢山の歴史上人物や著名人の更なる学びを深めるラインナップだったはずだ。

他人に興味が無かったの一言で済ませればそれもそうだが「伝記は眠くてつまらない」と大人や姉達が言っていた言葉を鵜呑みにしていたフシもある。
それでも、姉達は熱心に「キュリー夫人」や「野口英世」を読んでいた。

私は内容より言葉の響きが好きで、頭の中で読み上げていたと思う。
「ベイブ・ルース」が野球選手で「リンカーン」が大統領であることは知っていたが、それ以上のことは興味が無く、その名前のリズムが好きだった。
「オオカミ王 ロボ」なんかは、オオカミで王様でロボットとは恐れ入った!と「アンパンマンとオオカミおうロボ」みたいな展開に脳内変換して自己解決。

そんな訳はない。
オオカミの群れの王様で、ロボと名付けて呼んでいただけに過ぎないと思う。

読んでないから知らんけど。

私も30歳を過ぎ、遅ればせながら自分の生き方に疑問を持ち出した頃にやっと本を読むようになった。
それでも、自伝に近いものではエッセイが殆どで、他の人たちがどんな考えで日々を過ごしているのか?が知りたいだけで、自伝は堅苦しいイメージで読まない。

そんな私が人生で初めて読んだ自伝が

アントニオ猪木自伝
猪木寛至・著

キウイいれ忘れた。

初めて「この人の人生を知りたい」と、心の底から思った人だ。

アントニオ猪木を知らない人は今でも少ないだろう。
特に、彼の名言やテーマソングは聞けば誰しも頷くほどに、日本人の遺伝子に組み込まれていると言っても過言ではない。
私はプロレス好きだが、好きになって日も浅いし、猪木さんは世代ではない。それでも、その言葉は当たり前のように知っている。

ある講習会で、即興で1〜3分程度のスピーチをする事になった。
スピーチ内容も「夢の実現」についてで、前向きに締めたかったこともあり、締め括りの言葉に悩んだ。
普通に「ありがとうございました」で良いのだが、自分がトリだった事もあり、関西人の悪い癖も合間って、普通でないオチを考えてしまう。

そんな私の性分を会場の皆んなも知っている。
スピーチは進み、締めの言葉に差し掛かり、皆んなの視線もボルテージも最高潮。

その時急に私の中の闘魂が火を吹いた。

「迷わず行けよ、行けばわかるさ!」

大歓声の中、自分の席に戻り落ち着くと「なぜ私はこの言葉を口にしたのか?」が疑問になった。

昔、図書室で背表紙を読み続けたように、言葉のリズムがいいから言ってしまったのか?
いや。違う。

自分の人生になんの疑問も持たず、流されて生きていた自分を変える為に、動いた時。私は無意識に猪木の闘魂を受け止め、その言葉を信じて進んでいた。
その結果の言葉を皆んなにも伝えたかったのだ。

猪木の闘魂が道標すぎる案件にぶつかり、急激にその過去を紐解きたくなり、本書を手に取った。

「プロレスの話は興味がない」と、手に取るのをやめるのをやめてほしい。

簡単に書けば、判断力と行動力が、世界でプロレスしている話。
だが、時代に翻弄され、人と金に悩まされ、怒涛の戦後を生き抜いた男の話でもあるし、時代に逆らわず、人と金の為に奔走し、「日本」の文化と戦った男の話でもある。

私は読んでいて、宮沢賢治の「アメニモマケズ」を思い出した、賛同者求む。

「はじめの一歩」に悩む人は多い。
最新巻は138巻、未だに連載が継続されている楽しみはあるが、でも、最新話に追いつけるのか?甚だ疑問である。かくゆう私も100巻で止まっている。
急に森川先生の胸熱ボクシング漫画の話するやん?と悩ませてすいません。

初めの一歩を踏み出す時、人はその挑戦の先の不安を探してしまいがちだと思う。
そんな「でも」が口癖になっている人は、読んでみる価値が大いにある。

「人が大きいことを成し遂げる姿に興奮する!」の読み専者にもお勧め。

常に自分は自分で有り続け、人に優しく感謝を忘れない。
猪木寛至の前人未到の人生は、清々しい程に馬鹿で純粋。それが何よりの魅力である。
自信が有る無し考える前に、動け、やっちまえ!

道はどんなに険しくても、笑いながら歩こうぜ!

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