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この絵本、読んでますか?

「愛と勇気だけが友達」ってその概念があれば人は皆繋がれるって事か、深いな。

アンパンマンで知られるこのフレーズを、そう解釈できる域に達したのは極々最近で、若い頃は「友達ヅラしてるカバオの気にもなれ」「薄情か!」「これだから餡子しか詰まってない奴は」と、やれやれしていた。
キャプ翼の「サッカーボールが友達」も然り。でもよく考えたら、サッカーボールだけが友達じゃないから、翼くんに救いはあるか。
「サッカーボールも友達」が正解なのか、私は作者でも大空翼本人でもないから知りようがないが、友達やコミユニティについてはよく考えてしまう。

みんなと仲良くしましょう、仲間はずれはいけません。

大切なことではあるが、全員がみんなと仲良くしたくて、仲間はずれになりたくないかと言えばそうだろうか?と思う。

仲良くはできるが1人でいたい人もいる。
仲間内にはいるが、仲良く出来ない人もいる。

それについてもやもやとずっと考えていたら、一回思い切り蹴つまずいて、やっとこさ登ってきた道をごろごろ転がり落ちてしまったことがある。

孤独のどん底でこのまま終われるなら、明日なんか来ない方がほっとする。
でも、友達はいないと寂しいし、だからと言ってみんなと仲良くできないし・・・

私にも愛はあるし、1人になれる勇気もある。なのに愛と勇気だけが友達だと物足りないのはなぜだろう。

表紙のファニーさに引き寄せられて買った積読の中にこの本がいてくれて本当に助かったと思う。

街どろぼう」は孤独な巨人が主人公の絵本。
読み終わった後に「欲しいものと必要なものは違う」って事か!と両手で頬を打たれた一冊。

薄くて小さな大人の絵本

junaida1987年生まれ、京都出身の画家。
絵を描くのが好きでそのまま大人になった人、近年は三越のクリスマス催事への作品提供などでも知られている。

僕は「絵描き」になった より抜粋

孤独な巨人が大きな山のてっぺんに住んでいて、寂しくて仕方ないから麓の街を少しずつ持ってきて皆んなと暮らしだすが・・・

幸せに生きるために欲しいもは、星に例えるほどあるけど、そのために必要なものは案外分からない。
例えば、SNS一つでも「沢山のいいねが欲しい」のは当たり前。
いつの間にかそれが自分のステータスになり、急にしゅんっと虚しくなったり、思うように集まらない時はムカムカしたり、自分が押さないと返してくれない「いいね返し」しかない事にハッと気づいて投げ出したり。

「そんな時は一回スマホから離れなさい!」
ポジティブの押し売りみたいな人が言う。はぁ?と、思うが一理ある。
広い世界を見ようとして、それに集中するあまり視界が狭くなって苦しんでいることが殆どだから。

見えないものを見ようとしていた。

私はRADWIMPSか。
スマホを置いて、自分の周りにいる少人数の人と対峙したり、ふらっと思いつきで出かけてみると自分に必要なものはとても単純であたたかいものだと気づける。

「意外となんもなくても平気だし、沢山の人の理解って面倒だな」と思うことが人生で1番必要だとこの本で思えた。

だけど日常に戻ると、すぐにそう言う気持ちってすぐに忘れるから、その度に「街どろぼう」を開き、そうだった!と何度も思い直す。

絵もコミカルで可愛いし、本を読まない人へのプレゼントにも小洒落ていて喜ばれること請け合い!
卒業シーズンにも進めたい、優れた一冊です。

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