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逃げ場のない夢1〜唐突〜

 大人になってから汗をかくことの素晴らしさを感じる人は多いという。
今の段階で僕にその感覚を説いたって、あまりピンとはこない。
まだ大学生の遊び盛り暴れ盛りの僕は、毎日が電池切れになるまでの冒険だ。

高校まで柔道をやっていた僕は、大学に進んでもその道を外れずに柔道を続けることにした。そんなに強い柔道部ではないにしろ、十分やりがいがあった。

そして、少しばかり強い先輩に誘われるがまま少し離れた町にある総合格闘技のジムにも通い始めた。別にプロがいるでなし、すごい指導者がいるでなし、でも柔道だけやっていたんでは知り得ない様々なテクニックがある。

そこで知り合う人たちはみんな気さくで優しい。
右も左も分からない学生である僕たちに嫌な顔一つせず、冒頭で話したようなことも交えて色々と教えてくれる。


そんなある日のことだ。


「そうだ、遠藤くんたちさ、バイトしない?」

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