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アスパラガスの下処理は折るのが正しいのか?

店頭にアスパラガスが出回りはじめました。アスパラガスの大まかな性質などはこちらの記事を読んでいただきたいところですが、今日は下処理についての話。

アスパラガスは不思議な野菜。新鮮なアスパラガスが甘いのは4%ほどになる糖分のお陰ですが、収穫後も成長を続け、糖分を消費していきます。この変化は収穫後24時間が特に強く、温度と光で加速します。つまり、アスパラガスは鮮度が一番ということ。

時間が経ったアスパラガスは繊維が硬くなってきます。ちなみにホワイトアスパラガスはグリーンアスパラガスよりも繊維が多いので、早く硬くなるので、必ず厚めに皮を剥く必要があるわけですね。グリーンアスパラガスも硬い部分は皮を剥く必要がありますが、木質リグニンの形成は皮だけではなく、内側にも及びます。

昔から行われている対処法は手で折ること。茎を曲げて物理的ストレスをかけ、ポキっと折れるところかがやわらかい部分と硬い部分の境界線。ぼくも色々な記事でそう書いていますし、テレビなどで説明したこともあります。(マギーキッチンサイエンスにもそう書いてありますし)

しかし、それは本当でしょうか?

折れた茎を観察すると断面はみずみずしく食べられそうです。

折れた茎だけを集めて、ボイルしてみます。

穂先側を切って食べてみます。

意外と繊維感もなく、食べられるようです。さらに下の部分は外側は硬くなっていて、食べられませんでした。しかし、外側の部分を包丁で剥けば中心は食べられました。

そもそも、手で折るという作業も力の加減でどうとでもなる作業です。この写真のように根本に近い部分だけを折る(これなら無駄が出ません)こともできますし、、、

こんな風に2/3ほどの部分で折ることも可能です。これはちょっと無駄が多そうですね。

あるいは根本の部分から少しずつスライスし、包丁の手応えや断面を観察したほうが無駄が出ないかもしれません。手で折るという方法は間違いではなく、スジっぽい部分を混入させないベターの方法です。が、無駄を出さないことを優先するなら根本から切っていく方法もあり、ということです。

ほとんどなにも考えずに皮を剥いている人も、たまには皮付きのまま茹でてみてください。皮なしウインナーと皮ありウインナーの違いによく似ていて、皮があったほうが(もちろん鮮度がよく皮がやわらかい場合に限りますが)噛んだときにジュースがあふれる感じが強くなるかもしれません。ただ、いずれの場合もハカマ(写真の紫色の三角形の部分)は取り除いたほうが口当たりがいいようです。とりあえず今日はこんなところで。


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