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グラノーラのチップス

21世紀料理教室です。ふだんの家庭料理とは違う雰囲気の料理(というか家庭ではあまり作らないであろう料理)を紹介するシリーズです。

レストランに行くと食事のはじまりにアミューズが提供されます。ビールやスパークリングワインとつまむためのスナック類が多いですが、このグラノーラのチップスもその一つ。

元ネタはMind of a chefという番組で見かけたDavid Kinchのレシピ。ミシュラン三つ星を獲得したManresa(現在は閉店)の定番アミューズだそう。朝ごはんの定番のグラノーラをコースの冒頭に持ってくるのが素敵です。

もうひとつの長所は「小麦粉不使用」ということ。つまりはグルテンフリーですね。日本ではグルテンフリーってなんやねん、みたいな受け取られ方をしますが、欧米圏ではグルテンフリーで、という要望が結構多いので、今回使うオートミールパウダーは武器として扱えるようにしておきたいところ。

グラノーラチップス
バター     45g
オートミール  75g
グラニュー糖  30g
塩          2g
卵       45g
パラチニット  50g

黒ごま、ココナッツ、ピスタチオ、くるみ、レーズン 適量

今回、使用しているオートミールは国産のロールドオーツです。

オートミールはオート麦を加工して、すぐに食べられるようにした加工食品。

フードプロセッサーにかけて粉にします。

これくらいの状態になればOKです。

ボウルに室温に戻したバターとグラニュー糖をゴムベラで練り合わせます。

オートミール粉と卵を加えます。風味をつけるならここでアルガンオイルやらパンプキンシードオイルなど香りのある油を10g加えることもできますが、ここでは省略。

一塊になれば生地のできあがりです。冷蔵庫で30分以上、冷やし固めます。小分けして冷凍保存も可

パラチニットという見慣れない材料が出てきました。

パラチニットは三井製糖の商品名で、諸外国では一般的にisomaltと呼ばれています。糖アルコールの一種で、甘さとカロリーは砂糖の半分。通常の砂糖よりも湿度に強く、ベタベタしにくいのが特徴。またカラメル化する温度も高いので、飴細工に使われます……ということからリンクを張った商品は名前に飴細工用のお砂糖とついていますが、ケーキなどで甘さを抑えたい場合にも使ったりします。

バットを用意して、油をうすく塗っておきましょう。

分量のパラチニットを小鍋に入れ、中火にかけます。

溶ければ大丈夫。

さきほど用意したバットに流します。常温で冷まして固めましょう。

こんな状態になります。

手で砕いてフードプロセッサーにかけます。

これくらいで出来上がりです。あまり長い時間フードプロセッサーにかけすぎると熱で溶けてしまうリスクがあるので注意。

密閉容器に移し、シリカゲルを入れて保存します(写真の保存容器は密閉できないタイプなので注意、電子レンジ可という表示がある保存容器は密閉タイプでありません)

ここまで準備ができたらオーブンを130℃に温めます。通常の小麦粉を使ったクラッカーよりもずっと低い温度です。低い温度で乾燥焼きにすることで、ナッツやドライフルーツが黒焦げにならずに済みます。

オーブンペーパーで生地を挟んで……

麺棒で薄く伸ばします。

2mm以下にしたいところ。

薄く伸ばした生地に砕いたナッツや黒ごま、ココナッツフレークなどを振ります。押し付けたりする必要はありません。その代わりにさっき作ったイソマルトの粉末をふりかけます。この飴が接着剤とコーティングになります。130℃のオーブンで45分間焼きます。

焼き上がった状態がこちら。ドライフルーツを少しだけ入れていますが、焦げやすいので糖分が少ない黒オリーブなどのほうが向いているみたいです。

一人分のポーションに割って盛り付けます。保存は密閉容器で3日ほど。甘じょっぱい感じのクラッカーです。チーズのムースなどを添えて提供すると気が効いています。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!