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「おいしい」をつくる料理の新常識

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cakesで2018年〜連載していた記事です。一部は『新しい料理の教科書』(マガジンハウス刊)に収録されていますが、cakesクローズに伴いnoteに移行しました。
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2023年3月の記事一覧

豆腐は肉と同じように焼け!

豆腐は肉と同じように焼け!

田楽(豆腐に串を打ち、あぶった後に味噌を塗った料理)は春の季語で、お馴染みの豆腐料理の冷や奴は夏の季語。秋の季語には収穫したばかりの大豆でこしらえた新豆腐があり、冬の季語といえば湯豆腐があります。春、夏、秋、冬の季語にいつも名前があるのは食材数多しとはいえ豆腐くらいでしょう。

日本人にとって豆腐はそれだけ大切な食べ物。豆腐は大豆でつくったゲル(ゼリー)です。ゲルとは固体がたくさんの水分を抱え込ん

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煮崩れせずお肉をやわらかく仕上げる、新しい肉じゃがのつくり方

煮崩れせずお肉をやわらかく仕上げる、新しい肉じゃがのつくり方

肉じゃがが上手につくれない、という声をよく聞きます。誤解を恐れずにいうと、肉じゃがはそもそもが不合理な料理。上手につくれなくても当然です。

詳しく解説しましょう。一般的な肉じゃがの作り方は〈まず肉と玉ねぎを炒め、そこにじゃがいも、にんじん、出汁、醤油、砂糖やみりんなどの甘味を加えてコトコト煮る〉というのもの。最近では出汁を使わずに蒸し煮にする手法(土井善晴先生のレシピが代表です)もありますが、い

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自家製ブイヨンとルーで驚くほどおいしく手軽につくれるビーフシチュー

自家製ブイヨンとルーで驚くほどおいしく手軽につくれるビーフシチュー

今日のテーマは一口食べるだけで温まるビーフシチューです。

ビーフシチューは日本独特の料理で、味の決め手はデミグラスソース。洋食の味の礎であるデミグラスソースを本格的に作ろうと思うと、最低2日はかかります。

まず最初は、焼いた牛骨や鶏ガラ、香味野菜などを8時間以上煮込み、スープを作ります。もっと美味しくするためにこうして仕込んだスープにもう一度、同じ材料を入れ、同じ時間、煮込む場合もあります。

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しっとりやわらかな豚の角煮は“のんび〜り”つくる

しっとりやわらかな豚の角煮は“のんび〜り”つくる

豚の角煮。とろとろの脂身とほどけるようなやわらかい赤身が人気のメニューですが、硬かったりパサついたりと失敗も多い料理でもあります。失敗しないためのコツはたった一つ、のんびりと煮ることです。

豚の角煮作り方1. 豚バラ肉は鍋に入る大きさに切り、砂糖と塩をまぶして30分置く。(Tips1 豚肉は砂糖の力でしっとりさせる)

2.大きめの鍋に1の肉と水、昆布を入れて、中火にかける。沸騰したらアクを軽く

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冬野菜のうまみが凝縮した、シンプル蒸し料理

冬野菜のうまみが凝縮した、シンプル蒸し料理

今日はブロッコリーをまるごと使った料理をつくります。おいしさの理由は3つの異なる部位を混ぜること。部位ごとに違う持ち味が合わさることで、力強い味に仕上がります。

この調理法は野菜自身の持つ水分を利用したものです。蒸し焼きにすることで風味成分が凝縮するので、味が濃厚になります。肉や魚の付け合せにもなりますし、そのままでも十分成立する一皿です。ブロッコリー以外にも菜の花やほうれん草、カブなどの野菜に

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お肉の存在感が際立つ、お手軽ミートソース

お肉の存在感が際立つ、お手軽ミートソース

洋食スタイルのミートソースです。ミートソースの構造はひき肉のイノシン酸と野菜のグルタミン酸で旨味の土台をつくり、そこに糖分で厚みを加えていくイメージ。今回はシンプルに玉ねぎの代わりに砂糖を使い(玉ねぎと砂糖は同じショ糖の甘みを持っています)、短時間で仕上げます。コツは『ひき肉を練らない』ことです。

10分ミートソース1.合挽き肉はパックの底に水気(ドリップ)が出ていればペーパーなどでふき取ってお

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