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「おいしい」をつくる料理の新常識

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cakesで2018年〜連載していた記事です。一部は『新しい料理の教科書』(マガジンハウス刊)に収録されていますが、cakesクローズに伴いnoteに移行しました。
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2022年8月の記事一覧

ボンゴレを劇的においしくする5つのポイント

ボンゴレを劇的においしくする5つのポイント

あさりを使ったスパゲッティ・ボンゴレは失敗しにくいメニューです。その理由はあさりに含まれる塩味とうま味(グルタミン酸)。うま味は料理の味を担保してくれる存在で、たっぷりと含まれている食材を使えばおいしさは保証されたようなものです。

ところで昔から貝類の旨味はコハク酸と言われてきましたが、コハク酸はアミノ酸ではなく有機酸の一種でうま味物質ではありません。コハク酸が旨味を感じさせるメカニズムについて

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肉汁たっぷり! 外はこんがり、なかはジューシーにお肉を焼く秘訣

肉汁たっぷり! 外はこんがり、なかはジューシーにお肉を焼く秘訣

豚肉は生産者の努力のお陰で、昔よりもおいしくなった食材の一つ。品種改良の結果、肉質は緻密になり、脂肪のバランスもよくなりました。また、昭和60年頃からSPF豚(日本SPF豚協会が定めた基準に基づき飼育された、特定の病原体を持たない健康な豚)が普及した影響も大きかったと思います。SPFの目的は豚を健康に育てることでしたが、豚を衛生的な環境で育てることで、特有の臭みが減ることがわかったからです。

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おいしい焼き魚は餃子方式でつくる!

おいしい焼き魚は餃子方式でつくる!

ゴミを捨てるのが大変、調理が面倒などの理由で、家庭では敬遠されがちの魚料理。しかし、魚料理がおいしくつくれれば、生活のクオリティは向上します。というわけで今日のテーマは魚料理。なかでも今日はシンプルな「焼き魚」を解説します。

まず、『調理が面倒』というのは昔からある意見。しかし、イメージに反して魚を料理すること自体は簡単です。

肉と魚ではタンパク質の構成が異なります。陸上で生きる動物は自分の体

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目玉焼きが上手に焼ければ、たいていの料理は上手につくれる?

目玉焼きが上手に焼ければ、たいていの料理は上手につくれる?

いつも、何気なくつくっている「目玉焼き」。目玉焼きくらいはできる、という方も多いでしょうが、実は目玉焼きは意外と難しい料理。その理由は黄身と白身という異なるタンパク質を、それぞれ適切な温度まで加熱する必要があるからです。いつもの味で充分に満足という方も、たまには基本に戻って目玉焼きを練習するのはいかがでしょうか。上手にできた目玉焼きはちょっと驚くほどのおいしさです。

おいしい目玉焼きをつくるため

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