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料理の基本

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基本的な料理を丁寧に解説します
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2018年8月の記事一覧

自家製リコッタの作り方(生クリームなしバージョン)

昨日、紹介した自家製リコッタ(カッテージチーズ)は生クリームを使ったリッチなバージョン。今回はローコストで、つくります。いってみれば家庭向けバージョン。また、リッチバージョンに負けない味にする秘密の工程もご紹介します。 材料 牛乳      500cc ポッカレモン 大さじ2 スーパーシンプルです。色々といじった結果、最後にある工程を加えれば、これでいい、という結論に達しました。 作り方の要領は昨日、紹介したリッチバージョンと同じです。鍋に材料をすべて入れ、弱火にかけま

自家製リコッタの科学(リッチバージョン)

リコッタチーズはイタリアのフレッシュチーズの一種。チーズという名前ですが、作り方が違います。リコッタとは再び加熱された(パンナコッタの〈コッタ〉です)という意味で、ホエー(乳清)を煮詰めてつくります。レンネットではなく、熱と酸によって乳タンパク質を結合させるわけですね。 自家製する場合は乳清ではなく、牛乳を使います。この段階で本物とは違うのですが、味的には近い物ができます。家庭でリコッタチーズを自家製する場合の変数は二つ、〈酸〉と〈脂肪分〉です。 レモン汁か酢か、問題まず

さんまの焼き方研究

スーパーに炒ったら秋の名物、サンマがもう出ていました。塩焼きにするのが一番、おいしい魚です。 昔は冷凍技術が確立されておらず、品質が落ちた冷凍サンマが出回っていましたが、ここ十年はほとんど差がない(調理で充分、カバーできるレベル)くらいになりました。今日はサンマの焼き方研究です。 サンマを家で焼くときはどうされていますか? 七輪で炭火を起こし、焼くのが一番おいしいですが、家では難しいところ。最近は煙が出ないような魚焼きグリルも発売されているようですが、フライパンでもいくつ

舌平目の三枚おろし

以前、鰺の三枚おろしを記事にしました。今日は応用編で、舌平目を三枚におろします。 舌平目は通常、頭と内臓がとられて販売されています。(鮮度が落ちやすい魚なので)今回、買ったものは皮がはいでありました が、上の皮がついていれば頭側から引っ張って剥がしましょう。下側の白い皮は残しておくのが一般的です。 はじめに縁側と身の境目に包丁を入れます。 骨が見えてくると思いますので、骨に沿って包丁を入れます。ここまでは鯵などの三 枚おろしと手順としては変わりません。 中骨まで到達し

基本の冷製トマトパスタのコツはソースをシェイク!

熱い日本の夏にぴったりのパスタといえば冷製トマトソース。日本独特のメニューで「イタリアにはないからつくらない」というポリシーの人もいますが、日本の気候にはぴったりです。 冷製トマトソース(2人前) フェデリーニ 160g 水 1.5l 塩 22.5g 〈トマトソース〉 ミニトマト(大きめのもの) 380g相当 オリーブオイル 60cc 赤ワインビネガー 15cc(大さじ1) ハチミツ 小さじ2分の1~1 塩 小さじ2分の1

モロヘイヤスープの作り方

今年の夏は非常に暑くて、野菜を送って貰っている畑でもインゲンの花が咲いても実がならなかったり、茄子が日焼けしてしまったり……となかなか厳しいそうです。そんななかでも一杯、収穫できているのがモロヘイヤ。 今日はモロヘイヤスープをつくります。エジプトの味噌汁的な存在と言われることが多い料理。(日本ではスープとして紹介されますが、向こうではソースの扱いらしく*参考「エジプトで初のうま味シンポジウム ーカイロ大学と連携―」のでその表現が正しいかは微妙ですが。)コシャリ(米やマカロニ

アイスクリームメーカーいらずのアイスクリーム

アイスクリームを作るにはアイスクリームメーカーが必要です。アイスクリームメーカーには内蔵されたコンプレッサーで冷却するタイプと、あらかじめ冷やしていた冷凍容器で冷やす二つのタイプがあります。家庭用として普及しているのは後者。僕が子供の頃、家にはペンギンの絵が描かれた『どんびえ』というアイスクリームメーカーがあって、夏になると準備して色々とつくった記憶があります。 事前に冷やしておくタイプは冷凍庫で場所をとりますし、コンプレッサー式は高価で、場所もとります。一度か二度しか使わ

コーンスープ キャラメルポップコーン添えの作り方

今日はコーンスープの作り方をご紹介します。インスタントに慣れた人でも生のとうもろこしからつくるスープの美味しさに目がさめ るはず、、、です。 必要な機材はミキサー。 コーンスープ  とうもろこし 2本  水 300cc  牛乳 150cc~  バター 20g(または生クリーム大さじ1)  塩 小さじ2分の1 まずはとうもろこしの準備から。 生のまま実を外してから、加熱します。丸ごと加熱してから包丁で実を外す場合もありますが、粒にバラしてからの方が

ナスの揚げびたしをおいしく作る二つのコツ

夏の定番、ナスの揚げびたし。作り置きできるので僕もよく作るのですが、意外とおいしくつくるためのコツ(というか一手間)が知られていないようなので、今日はそれを伝授します。(というとなんだか偉そうですがたいしたことはしてません) まずは材料です。 ナスの揚げびたし  ナス   5~6本  めんつゆ 200cc  赤唐辛子 1本(種は抜いておく) めんつゆはこちらの『そばだし』を使います。cakesの連載の七回目『コシのある素麺は梅干しでつくる!』ではそうめんのつゆに使ってい

トマトのファルシーサラダのレシピ

『つばめグリル』というハンバーグレストランの定番メニューに『トマトのファルシーサラダ』があります。今日はこれをヒントにした再現風メニュー。結構、いい線行っていると思いますが、本物と食べ比べて見てください。 夏にぴったりの冷たいトマトのサラダです。 トマトのファルシーサラダ トマト 4個 〈ソース〉 ワインビネガー 大さじ2 玉ねぎ 10g サラダ油 100cc ケチャップ 15g マスタード 小さじ1 タバスコ 少々 パプリカ 少々 砂糖

完熟トマト、ちょっと変わった食べ方の紹介

完熟トマトはこのところデザートなどでも大活躍。先日、トマトのショートケー キを食べたのですが、生クリームの相性もなかなかいいよう。 今日はそんなトマトと生クリームの意外な相性の良さを発見できるレシピのご紹介です。オリジナルは野菜料理で有名なパリの三ツ星レストラン『arpege』のアラン・パッサール氏による「赤いトマトのサントノレ」です。 まずは材料の紹介から。 (4人前分) トマト(完熟) 4個 ミニトマト 好きなだけ 生クリーム 100cc シェリー

ジョエル・ロブション風のかぼちゃのクリームスープ

今日はカボチャのピュレスープをつくります。このレシピは先日(8月6日)亡くなったジョエル・ロブションさんのルセットをベースにしたオマージュ料理です。 かぼちゃのポタージュはアメリカ的な料理ですが、さすがにロブションスタイルは洗練された仕立て。アメリカ風との違いは 1,玉ねぎなどは入らず、シュエ(蒸し炒め)もしない 2.繋ぎ(リエゾン)には小麦粉や米などではなく、コーンスターチを使う こと。 かぼちゃのクリームスープ かぼちゃ   700gぐらい 鶏のブイヨン 800c

フードプロセッサー活用法『冷凍フルーツでアイスクリーム』

今日は冷凍フルーツでアイスクリームをつくります。必要機材はフードプロセッサー。 ベースとなるのは冷凍フルーツ。元ネタはジョエル・ロブションが発表したラズベリーシャーベットのレシピです。ロブションさんは無脂肪のフロマージュ・ブランとダイエットシュガーで作っていましたが、今回はヨーグルトとハチミツでつくります。 マンゴーソルベ マンゴー 70g(冷凍) ヨーグルト 35g ハチミツ 小さじ山盛り1(好みで加減) 基本的には冷凍フルーツの半量のヨーグルトと甘みの蜂蜜をクイジ

電子レンジでカラメルソース

これだけ科学が進歩しても「まだ未解明」という現象は多いもの。お菓子作りに用いられる「カラメル化」は身近なものですが、反応のメカニズムはまだ完璧にはわかっていないそうです。 メカニズムはともかくカラメル反応について知っておくことは、お菓子作りがうまくなるための第一歩。 カラメル化は糖類の分解の結果として生じる現象です。例えば純粋なショ糖(グラニュー糖に含まれる糖類)は160°Cから204°Cの温度範囲内でカラメル化し、177°C以上で明確なカラメルになるとされています。また