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料理の基本

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基本的な料理を丁寧に解説します
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2018年1月の記事一覧

ひよこ豆のピュレの作り方

ひよこ豆のピュレ、いわゆるフムス(フンムス)をつくります。トルコ料理やレバノン料理のオードブル”Mezze”には欠かせない一品です。ひよこ豆の缶詰を買っておけば簡単にできるので、食事の前にちょっと食べるおつまみに。 ひよこ豆のピュレ  ひよこ豆 1缶  オリーブオイル 50cc  にんにく  1片  レモン   半分  塩     適量 (クミン   適量) (パプリカ  適量) 分量は一応、出してますが適当につくってもそれなりの味になる料理です。フンムスとはひよこ豆のこ

道具コラム『おろし金と大根おろしの作り方』

『おろし金』は和食をつくるなら是非、一つ購入しておきたい日本独特の調理道具。 おろし金は「おろす」という単一用途に特化した珍しい道具。好まれる形は地方や用途によって異なり、関東は写真のような羽子板型、関西は四角いおろし金が一般的だ。形だけではなく、材質も様々で、プロの現場で使われているおろし金は銅製が多かったけれど、最近はステンレス製のおろし金も増えている。 おすすめできないのはアルミやプラスチックのおろし金だ。なぜ、セラミックスやアルミ、プラスチックのおろし金を使うと食

本気の鶏の水炊きのレシピ

鶏の水炊きは長崎が発祥と言われていますが、じつは出所が不明な料理。そのあたりも興味深いのですが、大きく分けると昆布出汁で野菜と鶏を炊いた鍋(関西系)と鶏のスープで鶏肉を食べる鍋(博多系)の2種類があります。今回は後者のレシピです。 鶏の水炊きはシンプルですがつくるのはそれなりに手間がかかるので、おいしいお店を探して食べに行った方が楽なのですが、作ることで白湯スープのメカニズムが理解できます。 水炊きスープ  鶏手羽先(スープ用)約1kg  水 1.5L  ねぎの青い

ペンネ・アラビアータの作り方

アラビアータ(all'arrabbiata)はイタリア語で唐辛子風味のトマトソースを指します。お酒を飲んだ後「締めにちょっとなにかつくるか」という時に便利なレシピです。 ペンネ・アラビアータ  ペンネ(ペンネ・リガーテ) 160g  ホールトマト 1缶(カットトマトでも)  にんにく   2片  唐辛子    2本〜4本  イタリアンパセリのみじん切り 適量  EV オリーブオイル 大さじ2+大さじ1  塩      適量 通常、パスタのレシピはトマトソースをベースに組み

プリン作り講座 〜昔風プリンの作り方〜

全卵タイプのプリンの一部を卵黄に変え、生クリームを使わずあっさりと仕上げたプリンです。昔、甘味屋で食べたような味を目指しました。フルーツや生クリームを添えて、懐かしのプリン・アラ・モードにしても。 まずは前回の復習。硬めに仕上げたいプリンなので、陶器ではなくアルミカップを選びます。 最初にカラメルソースを作ります。カラメルはタブレット状になって市販されているのでそちらを使うとこの工程は省略できます。 鍋にグラニュー糖を入れて中火にかけます。 カラメルをつくるときには再

プリン作り講座 〜座学編〜

定番のおやつ、プリン。作り方の前にまずは少し座学。プリンの味を決定するのは配合と加熱温度ですが、まずは配合について。 インターネットでプリンのレシピを検索すると全卵を使っているものと、卵黄、卵白をそれぞれ使っているもの、牛乳だけ、牛乳に生クリームを混ぜたものなど、様々な配合のプリンが出てきます。基本的に卵黄を多く配合するとやわらかめのまったりとした味に、 卵白が多いとかためのさっぱりとした味になります。 つまり昔風のプリンは全卵で、滑らかプリンは卵黄中心の配合というわけです

いちごとハイビスカスのスープの作り方

料理の基本は『(食材の)切り方』と『(食材の)火入れ』。もうひとつ重要な要素があるとすれば『香りづけ』です。 『イチゴの洗い方』は以前、ご紹介しましたが、今日は『イチゴとハイビスカスのスープ』をご紹介します。このレシピのオリジナルはアルページュのアランパッサール氏。ハイビスカスの香りがいちごとよくあうシンプルなデザートです。 材料  いちご 1パック  ハイビスカス(ハーブティー) 10g  水 300cc  砂糖 30g 鍋に砂糖と水を入れ、火にかけます。沸騰してきた

ホットチョコレートの作り方(ピエール・エルメのルセットから学ぶ)

冬においしいホットチョコレート(ショコラ・ショー)。出来合いのココアミックスをお湯や牛乳で溶くだけでもそれなりにおいしいものですが、作りたては格別の味です。 ホットチョコレートには星の数ほど作り方がありますが、このレシピはパティシエのピエール・エルメがかなり昔に発表したものがアイディアのベースになっています。彼のレシピのポイントは水。ホットチョコレートにはクリームを加えることもありますが、彼はクリームが入ると重くなり、カカオの風味が薄れてしまうといい、薄めたミルクを使います

建築と料理『親子丼について考える』

料理と建築。一見すると共通点などなさそうですが、料理の工程を〈材料を切り整え、調理し、組み立てる〉と定義すると、建築は〈材料を加工し(時に熱やアルカリで反応させながら)組み立てること〉といえ、似ている部分もあります。 雑誌『考える人』のなかで東京大学教授の隈研吾氏はこんな風に言っています。 五年前に、中華料理についてある話を聞きました。中華料理のコツは材料 を同じ大きさに切ることだ、と。(中略)これを聞いたときに、ぼくの建 築と同じだな、とどこか腑に落ちました

本気のほうれん草のバターソテー(とおまけ)

冬においしいほうれん草。バターソテーは定番のつけ合わせ。 ほうれん草のバターソテー(1人前〜2人前) ほうれん草の葉   140g バター     10g〜20g にんにく    1片 ナツメグ    少々(あれば) 塩、胡椒 買ってきたほうれん草がしんなりしていたら水を張ったボウルに活けます。 ビニール袋で覆い、冷蔵庫で保管。毎日、水を替えれば一週間は持ちます。(糖度は徐々に減少していきますが)この方法、あらゆる葉物の野菜に使えるので憶えておくと便利ですが、ほうれん草

里芋の煮っ転がしの作り方

『里芋の炊き方』はすでに紹介しましたが、今回は「里芋の煮っ転がし」です。 里芋の煮っ転がし  里芋(皮を剥いた状態で) 600g  ゴマ油(サラダ油)   大さじ1  水(または出汁)    300cc  酒           50cc  醤油           大さじ2+小さじ1  砂糖          大さじ2 さて、この煮っ転がし。炊く場合と違って皮の下にあるぬめり成分を利用するために皮を包丁の背でこそぐのが一般的です。 包丁の背やテーブルナイフなどで皮をこ

究極のスクランブルエッグ

スクランブルエッグは朝食の定番。作り方は様々ですが、ホテルの朝食で出されるのはフランス式が多いようです。というわけで今日はフランス式の究極のスクランブルエッグをつくります。 十九世紀なかばにブルジョワ家庭のフランス料理を本にまとめたサン・タンジュ夫人はスクランブルエッグを「もっとも洗練され、もっとも繊細な卵料理」と言っています。当時、熱源が火力調節のしづらい石炭だったため、おいしいスクランブルエッグをつくるのはとても難しかったのです。 究極のスクランブルエッグとはどんなも

サバの味噌煮の作り方

サバはどのように調理してもおいしい魚。今日は定番の味噌煮にします。 秋から冬にかけてシーズンを迎えるマサバです。ゴマサバでも同じように作れますが、マサバにはかないません。というわけでサバの味噌煮は冬の料理。 他に味噌煮にする魚といえば鯉くらいで、海の魚はあまり味噌では煮ません。サバの味噌煮が定着した理由は、サバが鮮度の落ちやすい魚だからでしょう。流通が発達していない昔、鮮度の落ちたサバをおいしく調理するには味噌煮が適したのだと思います。今は鮮度の良いサバが手に入るので、昔

鶏もも肉のブレゼで肉料理の科学を理解する

肉を柔らかく煮こむのは意外と難しいもの。柔らかく煮込もうとしたのに、肉がパサ パサになってしまったり、煮汁は美味しくても肉自体の味がすっかり抜けてしまっ た、という失敗もあります。しかし、肉の加熱に関する原則を理解すれば、そのリス クを減らすことができます。 鶏のブレゼ トマト風味  鶏 もも肉 1枚  (ブライニング液 水 200cc 塩10g 砂糖 5g)  玉ねぎ 半分  トマトペースト 大さじ1  白ワイン 100cc  (コニャック 30cc)  ブイ