見出し画像

札幌に対する違和感を上手く言語化してくれている論文を見つけた

本日は短文で。
札幌のモラルについて調べていたら、北大で教鞭を取られている方の小論文がヒットした。
「西友元町事件の考察~道民は情けないのか」というタイトルで、2000年代に起きた悪名高い「西友元町店偽装肉返金事件」によって表出した、道民市民のモラルの低さの原因を考察している。

論文によると、「返金事件」が起きた背景には道民のモラルの低さがあり、北海道特有の「事務的個人主義」と、西友元町店が立地する地域の「場所性のなさ」が返金事件の発生に繋がったと論じられている。

事務的個人主義」に関して筆者は、産業の乏しい北海道では「官僚主導」的な形で仕事が配分されることが多く、健全な市場主導型とは異なるシステム下にあると説く。
ただただ事務的に上から下へ仕事が配分されるだけという仕組みになっているため、人の心が通わず、組織内に於いても個々人が孤立した個人主義者でいることができる。
したがって、人の目を気にすることよりも自分の欲や利益を優先させ、モラルの低い行為に及ぶ人が増えてくるのだという。

場所性のなさ」に関しては、私も兼ねてから薄々考えているところであった。
札幌という街はどこに行っても同じような風景が広がっていることが多く、「昔ながらの商店街」的な所がほとんど見られないのである。
特に「返金事件」が起きた西友元町店(現在の店名は西友元町北二十四条店)周辺は、そこそこ栄えているとはいえチェーン店だらけで、人の温もりを感じるような個人店はほとんど見られない。

そのため、お店が地域におけるコミュニティの中に属することができず、地域住民と店との間には見えない壁のようなものが形成されていた。
したがって、店側の不利益など考えず「自分が儲かれば良い」と考えた市民が店に殺到し、「レシートはないけど、俺の胃袋は覚えてんだかんな!」などと言ってカネをせしめたのである。

私の感想を述べるながらば、札幌という都市のモラルが低下しがちなのは、論文に出てきた単語を用いれば「事務的個人主義」が大きく影響しているのではないかと思う。

「場所性のなさ」は札幌だけでなく日本全国の地方や新興住宅地で見られるものだが、「返金事件」のような世間を震撼させるようなモラルハザード的事例が全国各地で起きているわけではない。

したがって、北海道/札幌特有の要素に主たる原因があると考えるのが自然であって、それがまさしく「事務的個人主義」なのだろうと思う。
簡単に言うと、冷戦時代の東側諸国、旧ソ連のような冷たさ、アンモラルが札幌や北海道の根底には流れているのではないだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?