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同人誌デザイン・装丁の記録 11冊



2021年1月〜2024年1月に発行した同人誌11冊のデザイン・装丁をまとめました。

☆筆者は仗露のオタクです。

☆印刷所は『はたちわるに!』のみ丸正インキ、他はすべて大陽出版です。

☆ページ数を8の倍数ぴったりに収めたい時や2ページ目に注意書きを載せたい時には扉ページを、ページが8の倍数ぴったりでいきなり漫画が始まってしまうときには遊び紙をつけています。



-表紙---------------------


1.『きみはプリズムのように』

表紙のトンボの装飾がズレてて、まじまじと見ると不安になる……あまり気にしてはいけない……

判型:B5
表紙:モダンクラフト180kg スミ+黄色(DIC166)2色刷り PPなし
本文:書籍バルギー

2021年1月発行。
クラフト紙にスミ+黄色の2色刷りが好きなのでやった。
2色刷りってカラーより見劣りするのでやるなら最初がいいな…と思ってた&カラーイラストを描くのが今以上にめちゃくちゃ苦痛で極力描きたくなかったというのもある。
ほんとはもう少し淡色の紙に蛍光イエローを使いたかったが、セットに蛍光イエローの取り扱いが無かった。日光企画ならあるみたい。

2.『きみは敵わないように』

裏表紙に芸を仕込むのが楽しい。最近は余裕が無くてできてないが……

判型:B5
表紙:モダンクラフト180kg スミ+蛍光ピンク+白インク3色刷り PPなし
遊び紙:上質紙白茶(表紙のクラフト紙に近い色味)
本文:書籍バルギー

2021年6月発行。
続き物なので同じ仕様でマイナーチェンジ。特色を2種も使ったので印刷費がフルカラーよりも高かった……
多色刷りで100%以外の濃度を使えることを知らず、黒!ピンク!白! しかない。今見るとキャラの絵柄下地に白50%を敷いたりしてもよかったのにな〜と思う。
書籍バルギーはクリーム系の上質紙。たぶん淡クリームキンマリに近い。クラフト表紙と相性が良くて好き。

全く特性を生かせていないが、この最初の2冊だけ表紙のデザイン作業にイラレを使ってる。この年の夏にadobeのライセンスが切れたので、以降はフォントアプリとメディバンペイントでデザイン作業を行なっている。

3.『Wave of Mutilation』

タイトルはpixiesの曲名から採りました(好き…)

判型:B5
表紙:アートポスト180kg ホログラムPP
本文:上質90kg

2021年10月発行。
3冊目にしてやっとまともにカラーを描いた。裏まで見開きにしてタコを泳がせようかな…とか考えてたけど見開きではなくB5のまま完成させてしまったので裏に絵はナシ。カラーが苦手で同系色で無難にまとめがちなので、これはカラフルだけどそれなりにまとまりがある稀有な例。
キレイな発色で刷ってもらいホログラムPPでキラキラな仕上がりが気に入ってる。余裕入稿だったので色校正をしっかりしてもらえたのか、出した本の中でいちばん理想的な色に仕上がってる。

↑カラーラフ
↑裏表紙の別パターン


4.『Bye Bye Bunny Boy』

裏表紙でケツが見える仕掛け

判型:B5
表紙:アートポスト180kg マットPP
遊び紙:上質紙りんどう(夜の街っぽくパープル)
本文:上質90kg

↑背景・ライティング無しと文字無しだとこう

2022年1月発行。
表紙に手をかけすぎて本文がギリギリになった。 
タイトル文字に悩みすぎて結局ゴシックと筆記体を重ねるという荒業に落とし込んだ。
1冊目、3冊目もタイトルの色が黄色だったので他の色にしたかったけど、ゴールドがいちばんしっくり来たので採用。文字色は似てるけど全体の雰囲気はガラッと変えてるしいいか…と。
マットPPのしっとり感がえっちだけどコントラストがぼんやりしてしまったので、くっきり出るクリアPPのほうがよかったかもしれん。


5.『はたちわるに!』

判型:A5
表紙:アートポスト180kg クリアPP
遊び紙:上質紙黄緑(表紙のカラーと合わせた)
本文:上質90kg

↑ラフ

2022年7月発行。しょた本なのでかわいくA5サイズ。わりと時間に余裕があったので特殊装丁もやろうと思えばできたけど、ラブコメラノベっぽいイメージにはクリアPPが合う。ラブコメラノベっぽく白背景にしたら作画は楽だけどデザインに苦戦した。余白の恐怖。
実物の仕上がりが……色があまり綺麗でない……のと、断裁位置が3ミリほど下にズレており、上下の色帯の幅が揃ってなくてダサくなってしまった……。塗り足し3mmの範囲内でズレるとはいえ結構目立つので、断裁ズレが目立つデザインはやめといたほうがいいかもしれん。


6.『ロリポップオーバードーズ』

判型:B5
表紙:ファンタスピンク135kg PPなし(PP貼るとボッコボコに仕上がるのでおすすめしません。)
本文:上質90kg

2022年10月発行。
ファンタスピンクを使ったので表2表3のピンクがメチャカワ!

このピンク使えるのこの本しかないやろ!って決めた。可愛い。
コートの裏地に色があるようなときめきを感じる。

タイトルはどピンクの箔押しかレーザーホログラムにしたかったけど特殊紙にはできない仕様だったので諦めた。ファンタスの紙の厚さの選択肢が無いので仕方ないけど、表紙135kgはちょっと薄かった。本文を75kgとかにしたらちょうどよかったかも?
引き算のデザインは難しいが、装飾盛りもりはもっと難しい……。己の技量不足を感じるので第2弾を作る時があればこのテイストが得意な人に外注したい。

トリミングする前提で全身を描いた。いつも原寸ぴったりで絵を描いてたけど、面倒でも大きめに描いておいてトリミング調整した方がデザイン作業をやりやすい。
イラスト本なので中のページデザインも凝れて楽しかった。


漫画本は素材を使うときや一括書き出しにクリスタへ移行して作業してるのですが、この本は白紙から完成までメディバンペイントだけで作りました。

7.『Crush on You すんどめ!』

判型:B5
表紙:シャインフェイスシルバー180kg PPなし
本文:上質90kg

2023年1月発行。
屈辱の準備号。表紙をイチから描く余裕もなかったので、漫画の1ページ目をまるっと使いまわして表紙にするというやっつけぶりである。

漫画のページはコレ。

パッと見は2色刷りだけど2色刷りではなくフルカラー印刷。フルカラー表紙のセットのほうが安くて締切が長かった。あと2色刷りデータを分けるのがめんどくさかった。
シャインフェイスシルバーは、白地と色ついてるとこは質感がいいけどオンデマンド印刷のスミベタ面は輝きが失われてモッタリした仕上がりになったのは惜しいところ。ちょっとリッチな紙質、キンとした冬の寒さ、夜の街にきらめく雨のイメージには合ってて良かった。


8.『CRUSH ON YOU』

判型:B5
表紙:アートポスト180kg クリアPP
本文:上質90kg

2023年5月発行。
前回がやっつけだったので今回は真面目に表紙を描いた。雨の夜の絵は難しい。

↑ラフと文字無しver.
ラフの時点では表情をいい感じに描けるのに仕上げるとなんか
変わっちゃうのってなんなんでしょうね。(A.画力不足)


ゆらめく文字は酩酊状態の視界と、雨の夜に乱反射したり残像が残るネオンのイメージで、クリアPPも雨の日のヌラっとテラっとした質感をイメージ。
暗色の絶妙なニュアンスは印刷再現が困難で、モニターと完成品でけっこう色味がちがう。
印刷費が一番高かった。凝った装丁でなくてもB5で50P以上の本を刷るとこれほど印刷費が嵩むのか……そりゃA5が主流に移り変わっていくわけだ……と実感した。

ちなみに準備号『すんどめ!』はオンデマンド印刷、完成版であるこの本はオフセット印刷です。オンデマンドでも本文の仕上がりがすごく綺麗じゃないですか…?! ベタ面が全然インクと見分けつかない。グレースケールだともう少し差が出るかもしれませんが。現物をお持ちの方は見比べてみてください。


9.『はたちわるつー♪』

判型:A5
表紙:アートポスト180kg クリアPP
本文:上質90kg

2023年8月発行。
装丁は前作『はたちわるに!』と同じ。表紙作成苦戦度No.1
絵ははじめてクリスタと液タブで描いたので操作感がなにもわからずめちゃくちゃ時間がかかった。機材を変えただけで上手くなるわけではない。そりゃそうだ。
デザインもわるに!と同じなのでイチから考えるよりは楽だろう…とたかを括ってたがそんなことはなかった。
妙な構図でラフではどうにかなると思ってたが実際に文字入れまで進むと文字の収まりがめちゃめちゃ悪く、幾度となく微調整をしてどうにか仕上げた。しかしやはり「余白をとっている」のではなく「変な余白ができてる」ので納得はいってない。おなかと太ももが見切れたのも悲しかったのでトリミング無しの会場用ポスカを作った。


10.『賽は投げられた』

ジョースケを美少女に描きすぎる 薔薇を背負(しょ)わすな

判型:A5
表紙:羊皮紙160kg(古染)2色刷り(DIC283,449) PPなし
本文:書籍バルギー

↑実物はこんな感じ

2023年12月発行。
レトロな雰囲気を目指した。字詰めや余白の取り方にも時代が表れるので難しい。あまり再現できてない。依頼も検討したけど、タイポグラフィ専門のデザイナーさんでも「レトロ風だけどモダンでおしゃれなロゴデザイン」ができる人はいっぱいいるけど、私が求めてた『現代図案文字大集成』のようなガチ古臭い字を作れる人はそうそうおらず、かつ同人OKかわからない雰囲気でやめて自作した。『現代図案文字大集成』を参考にしたけど、私が下手すぎて全く良い出来でははない。再録かなんかの機会があれば作字しなおしたい。
半調ありの2色刷りデータ作りがめんどくさかった。ヌキとノセをミスってる箇所がまあまあある。見なかったことにしよう。もっとガサガサな仕上がりにするならデータの時点でグランジ加工をかけるなどするといいかも。


11.『下宿の女』

判型:A5
表紙:羊皮紙160kg(雪) PPなし
本文:書籍用紙90kg

2024年1月発行。いちばん準備期間が短かった。
前回は絵柄がコロコロ変わるという漫画ならではの特性を活かしたので昔の漫画風表紙、今回は昔の映画っぽいストーリーを意識してたので映画ポスター風。
ただでさえ時間がないのに表紙を先行入稿しないといけなかったので使い回し&2色刷りと見せかけてフルカラー。『すんどめ!』のときといいやはりこれが一番早い。
装丁は前回と同じ紙を使いたかったけど、〆切が遅いセットだと選べる紙が少なかった。

はじめて再販をかけたけど、在庫過多処理の何倍も手間とコストがかかったのでもうやらねえぞと心に誓った。山奥の仙人が言ってた「同人誌を作る際は臆せず来世の分まで刷れ」はやはり正しいのかもしれん。


-扉・前書き・奥付--------


全然凝らなくていいのだが、自由にできる部分だしお金を払って買ってもらうものなのでWEBに載せるだけのものよりちゃんと作り込んでしまう。
(テキトーに作った本もあったので掲載は一部です。)


-ポスター----------------


サークル名をカタカナ+漢字にしたせいで使えるフォントの選択肢が少なくて毎回困ってる。アルファベットだけ・ひらがなだけ・カタカナだけにするとおしゃれなフォントを使いやすいはず……


-おしながき--------------


作る時間とエネルギーがあるときだけ作ってる。
表紙は本ごとにガラッと印象が変わるようにしよう!と努めてるので、おしながきにするとまとまりがなさすぎて毎回頭を抱えるハメになってる。

↑一番右はpictSPACE掲載用のタテスクロールに対応した形。
「喪黒福造が出ます」とかいう注意書きがされることあるかよ



以上です。
準備号もあるけど3年で11冊出すとは思ってませんでした。どうかしとる。
次からは1年ごとぐらいに振り返れたらなと思います。



おわり。

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