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眠れない夜に,何をしましょう。

眠れない。

 慣れたもので,眠れない日には布団に入って目を閉じた瞬間に「あ,今日眠れないわ」と分かる。(厳密にいえば布団に入る前から眠れない予感はしている。)

 原因が思い当たるときは良い,それをやめればいいだけだから。しかし厄介なことに,眠れない日の多くはこれといった原因が思い当たらない。だから不満をどこにぶつけていいのかわからないし,そもそも不満を持つことが無意味だ。

 諦めて,眠れない夜にやるべきことを模索する。

 ゲーム,資格の勉強,読書,運動,テレビ,ネットサーフィン……
これといってしっくりくるものはない。それも当然で,そもそも「何もやる気がない」のに眠れないから問題なのだ。

 音楽かラジオを聴きながら家の周りを散歩,これが今のところマイベストになっている。「健康にとって散歩に勝るものはない」旨のことを最近たまに耳にするが,確かにそうかもしれない。好きなラジオや音楽を聴きながらであればなおさら,夜風に当たりながら歩いてイヤな気分になる方が難しい。

 しかしこれには難点がある。

 暑い/寒い季節にできないことだ。もちろん不可能ではないが,快適な室内から外に出る事のハードルが高すぎて,まずできない。そもそもそんなことができるのであれば,夜ぐっすり寝て昼間バリバリ動けている(,と思う)。

 何か解決策はないものか。

 最近一つ良いものを見つけた。「日記」だ。

 日記なんて幼稚園のころから書かされてきて,その後も何人もの人におススメされてやってみたが,3日坊主にすらなれなかった。しばらく書いたとしても,数か月後には激しい羞恥心と自己嫌悪に襲われて全部ビリビリに破り捨ててしまう,そんなことを繰り返していた。

 だから日記帳を買うことすらやめていた。数か月後に塵と化す紙の塊に投資するほどの余裕は,今の自分の財布にはない。

 しかし昨年,かなり久しぶりに日記帳を買った。心境の変化があったとかそういう話ではない。手帳と間違えて買ってしまったのだ。

 3年分の出来事が書ける日記帳,要らない……。どうせすぐ飽きて本棚の肥やしになるか,イヤになってシュレッダー行きだろう。そう思っていた。しかし1年とすこし経過した今,この日記帳はウチの勉強机兼食卓のレギュラーメンバーであり続けている。

 毎日は書かない,未来の所には書くのはダメだが過去の所に追記はOK,ただし年をまたいだ追記はナシ。そんな感じにユルーいルールを決めてやっている。

 書くのはその日の出来事とその感想だったり,お気に入りの文章や歌詞だったり,恨み節だったり,何でもアリ。これが何かと分析グセのある自分にぴったりの趣味で,加えて部屋から出なくてもいいので眠れない夜に最適なのだ。

 書くことによって客観視出来て冷静になれるとか,ストレス発散になるとか,そういう要素もあるのかもしれない。ただ自分の感情は少し違って,ただ文字を書くのが「楽しい」のだ。しかも気分によって書くモチベーションがあまり左右されない。むしろ疲れていたりイライラしていたりする時ほど,ペンが止まらない。充足した気分の時はそもそもこの日記帳を開こうとすら思わない。勉強用のテキストと真逆だ。

 不思議なことに,この日記帳は読み返しても不快な気分にならない。嫌なことがあった時の記述を読むのは多少しんどいが,かつて感じていた自己嫌悪とはまた違う。それ以外に書かれていることは基本的に自分が好きなものだったり楽しいときの思考だったりするので,読んでいてニヤニヤしていることすらある。

 誰かに勧めたいわけではない。これが万人に合う趣味だとも思わない。

 ただ眠れない夜にやることとしては悪くないと思うので,メモ程度に。数年後しんどくなった時に読み返して,同じようなことができたらいいな。とんでもない羞恥と嫌悪感に襲われるかもだけど。

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