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カンボジア医療から「利己と利他」を学ぶ

前回の「医療小児ボランティアから学べるお金の教育について」の続きです。ミャンマー、カンボジア、ラオスなどで国際医療ボランティアを手掛けているJapan Heartの創設者の吉岡さんの本について続きを書きます。本当に良い本でした!

繰り返し、吉岡さんは1995年から外科医として海外で活動されており、JapanHeartは現在まで30万件の手術を行っています。特に先進国では8割が治ると言われている小児がんは、これらの国では2割の子供しか助かっておらず、同組織はその支援では絶大な功績を上げています。

以下、少し本文の引用は
可変しておりますが、心に残ったフレーズです。私のライフワークであるお金の教育の文脈で解説も入れさせてください。

P.122 一人で朝から晩まで患者をちまちま診ていても、世の中は変わらないし、サステイナブルではない。もっと100万人とか大きな単位でプロジェクトをやりませんか?病気が生まれる元を断ちませんか?と言われたんです。ただ、私は彼らの声を聞かなかった。違和感があったんです。あれから25年、僕はやり続け、彼らがやったプロジェクトはほぼ綺麗になくなっています。

一人づつの患者をちまちま見ることに全力を尽くす。これは金融アドバイスも同じ。大きな夢や構想も良いのですが、一人一人と向き合うことが結局は大切。

スタートアップ企業にいる私としても考えさせられますね。そして目立つ事や他人のイイねの数、つまり他人の評価が気になりがちですが、世の中に何かを届けるには地道にコツコツを続けるしかないと思います。

P.126 困っている人を助けたい、辛い人の力になりたい。こういうのは生まれたときから本能として、誰にでも備わっているものなのですよ。頭で考えて机上でつくったものではなく、もともと人間に備わっているこのマインド以上に強固なものはないんじゃないかと思ったんです。

吉岡さんのチームが過酷な環境で医療ボランティアを続けてこれた理由です。本質的に共感する力があるから、チームがまとまって前へ進んでこれたわけですね。貧富に関わらず、お金の事で困っている人は本当に多くいます。悩みを一つでも二つでも落とせるようにできればと思います。

P.127 僕には確信がありました。だって世の中にとって子供の命に投資する以上に効率のいい投資ってないじゃないですか。僕がこういうことをやりたいと言えば、必ずお金が集まってこういう病院が作れると思いました。

パワフルですね。投資を扱う私としても本当にそう思います。人への投資、特に子供への投資の力は絶大ですし、健康、すなわち命が全ての土台です。また、社会からの応援を募るっていうことは、吉岡さんのような特別な人だけでなく、全ての人がやれる投資のもう片方の姿です。①自分から社会へ投資をすること、②社会から自分へ投資をしてもらうこと、投資には2つの姿があるのです。

P.151 世の中から必要とされることが大切なのです。昔は物質的な豊かさを求めてたら幸せだったのですが、もっと精神的なところへシフトしている。それは、世の中から必要とされることが大切ということなのです。評価されるのではなく必要とされるですね。評価は求めないほうが良いです。

自己肯定感という言葉がありますが、世の中から必要とされていること、ですよね。これは承認欲求的な「評価されている」を満たされることではない。幸福論をなんとスッキリと解説してくれたのでしょうか。

P.158 欲はなくせない。なくそうという不自然なことをしないようにしています。どうしてるかというと、欲の大きさを半分にと、自分の中でコントロールする。そしてそれを、また半分にとするんですよ。決してなくそうとしないこと、欲をコントロールできる大きさまで自分で小さくする。

本の中で1番記憶に残った話かもしれません。欲に振り回された人生だけは本当に避けたいのですよね。子供たちにボランティアや寄付を学ばせたり、大人が生活に取り入れる意義でもあるのですが、欲のコントロールは最も大切な投資リテラシーの一つだと思います。そうしないと投資詐欺などに引っかりますし、ありえない儲け話に乗ってしまう。

P.164  結局幸せっていうのは、豊かな人生というのは「落差」を感じられるかなのです。砂漠の中でのコップ一杯の水は本当に美味しい。これが幸せの姿であり豊かさなのです。ですので、人生のマイナスを味合うということはとても大切なことだと思います。ただし、つらいことと同化したら生きてはいけないので、一定の距離を保ってください。そして、大きな落差を持った人が豊かな人生を生きた、って僕は思います。

しみますね。。。人生の目標とは幸せになることだと思いますが、その一つの解答です。マゾヒストになってはなりませんが、苦しかったからこその幸せというのはわかるなぁ。。

P.173 「あなたには価値があります、素晴らしい存在です」と人に伝えられて初めて「私は価値がある人間だ、大切な人間だ」と幸せを感じ始めるのです。人にそういってもらえるのはどんな人ですか?「それは世の中のことを大切にした人」です。そして、自分のことを大切だと思える人間だけが、人を大切にできるし幸せにできる。幸せがわかるのです。

手術した子供がお礼を言うわけではないですが、自分が「ああよかった」と思うことで自分の価値がある人間と感じられるのです。医療とは自分が幸せを感じるためにやっている、というメッセージです。お金のサービスも同じですし、我々の全ての仕事はここに通じるのだと思います。

P.177 本当の利他はまず自分のために生きること。色々な地域で医療をやっているのは自分のためにやっています。人のために生きることをすれば、自分のために生きることになる。自分のために生きて、自分の人生を大切にして、自分に価値があると、大切な人間だと自覚する。そして自分が豊かになっていく。

言葉が出ません。。自分の豊かさと幸せを得るとは、人のために生きること。自分を大切にする人とは社会や人を大切にする人。自分のことを大切にしようと。利己と利他が見事につながりました。

まとめです。投資もボランティアも、利他と利己の両方の側面があります。そしてこれらは相反するものではないのです。とてもスッキリしました。

といことで、吉岡さんの本、超おすすめです!


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