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私の旅は寂しさが友達

いつも見ていただき感謝です。
バイクで旅する写真家 立澤重良です。

さて今回は私のエピソードを書いてみます。
乱筆でありますがどうか寛大な目でお願い致します。

北海道

16で普通二輪免許(当時は中型)を取得してHONDA VFR400R(NC30)に乗っていました。16で400㏄なんて古い言葉を使うとボンボンってやつですね。

今では許されないのですが時代背景もあって、峠でチームを組んで速さを競ったり、遠くの峠へ遠征に行ったり、ローリング族の専門誌に投稿したり、若者のバイクライフを楽しんでおりました。

そのうちサーキットライセンスを取得して筑波サーキットに行くようになったのですが、その頃から仲間も4輪に移行しはじめて、自分もレースを本格化することなくサバンナRX-7を購入し、数年間は4輪でサーキット走行を楽しんでいました。

スズキ ジェベル250 (GPS Ver)

90年代の中ごろから、思い出したようにバイクにまた乗りたくなり、もうスピードの世界はちょっと怖いな、ということもあってVFRを売却し、前から興味のあったオフロードバイクを購入。

最初はセロー225、スーパーシェルパ、ジェベル250と乗り継ぎ、群馬や福島の林道を走ってツーリングの魅力にはまりました。

ただ速く走るより、いい景色を見に遠くまでツーリング。山の中を走り、温泉に入り、土地の食文化に触れる。これが楽しくて楽しくて、休日のたびに関東一円を走り回ったものです。

BMW F650GS ダカール

20代も後半になったころ、もっと遠くへ行きたいという願望から排気量の大きいオフロード車が欲しくなり、ここではじめてBMWデビューとなりました。F650GSダカールです。

このバイクを手に入れて、今からちょうど20年前の2004年にはじめて北海道を旅しました。

間もなく解体されると噂の北海道のオトンルイ風量発電所 2004年撮影

BMWはとにかく長距離が得意で、その気になれば日帰りで1000キロオーバーなんて出来てしまう凄いバイク。重いキャンプ道具を積んでも走りに影響はないし、安全装備も充実している正にツーリングの優等生でした。

北海道などを連泊で旅する場合でも一日で4~500キロは走って、場当たり的にキャンプしてまた早朝から走る。
そんなツーリングを楽しんで4年間で6万キロも走りました。

そんな割とよくあるバイクライフの楽しみ方をしていた自分。後に転機だったと思える出来事が起きました。

10年以上勤めていた某大手企業をひょんなことから退職することになったのです。
突然、会社を辞めて、次の仕事も決まっていない・・・ この不安感。とりあえず正式な退職の日までの有給休暇の消化と、職安に行く日までの1か月という自由な時間をどうするか。

家で悶々としても仕方ないので、こんなチャンスは人生で二度とないだろう(とその時は思ったが、自由な時間なんて作ればいくらでも作れると後で知る)と思い、大好きなバイクツーリングであてもなく旅立つことにしました。

石垣島の平久保崎

まず最初に思いついたのは沖縄です。
通常の休暇ツーリングというスタイルでは選択肢にも入ってこない地域です。
今でもあるか分からないけど東京の有明から鹿児島を経由し那覇まで48時間で到着するフェリーにダカールを積んで旅立ちました。

さらにフェリーを乗り継ぎ石垣島へ。。北海道と違い石垣島で千葉ナンバーの大きなバイクがいると地元の人が驚きます。それくらい他県ナンバーのバイクは珍しかったのです。

行き先は特にきめない なんとなく
紙の地図だけみて 気まぐれで走る
いつ帰ってもいい 自由気まま
時間はいくらでもあるから 少し疲れたらキャンプ場で昼寝
旅いそぐことはない 無理に楽しむ必要もない
何も調べない 天気予報すらみない

この余裕のある感じ。はじめての経験でした。
観光シーズンでもない1月。地元の人しかいない生活道路を走り、素朴な漁村や小さな商店に寄り、キャンプ場で連泊して、場所を少し変えてまた連泊。

・・・確かに楽しいんだけど なんか寂しい
それ故に見える景色がなんか違う 普通のツーリングとは違うのだ
地元の人もなんだか優しい よく声をかけられる
旅人同士では妙な絆のようなものを感じる


天気が荒れる日は一泊1000円とかのユースホステルを使ったのですが、そこのドミトリーには自分と似た境遇の旅人が何人かいました。

仲間のようで少し嬉しくも、なんとなく仲間になりたくない、複雑な感じを今でも覚えています。
中には一年中、日雇いの労働をして旅を続けるという者も。夏は北海道の鳥沼に、冬は石垣島の米原に・・・を繰り返して何年も生きている人たち。

その人たちを見て根無し草になるのが怖かった自分は、いま思うと社会の奴隷だったのだと感じます。

当時は気に入った場所を見つけては野宿した

場所を沖縄本島に移動し、当時は出来立てホヤホヤだった古宇利島の古宇利大橋へ。その袂で野宿したとき(今やったら怒られる)のエピソードです。

深夜に大雨と強風に見舞われ酷い目にあいました。強固なジュラルミンフレームのダンロップRシリーズテントもポールが歪み、テント生地はビリビリと嫌な音を立てる。
風の轟音の中、吹き飛ばされそうで一睡もできず、ただテントの中で両腕でポールを支え耐えしのぐ夜。
そのうち四隅から浸水して寝袋も荷物もすべて水びたし。食材もお酒もなく嵐の中で空腹に耐えて夜明けを待つのみ・・・という惨めな体験でした。

朝になって嵐は去って穏やかに晴れた景色をみて、心底安心感を覚えその美しい景色に純粋に感動しました。

予定調和ではなく時に惨めな想いをして冒険ってやつを体験する。
これこそが旅であり休暇を利用した計画旅行とは本質的に違う。ゴージャスでも快適でもない、美しい景色は自分で探す自分だけの冒険。

有名でも何でもない風景が心に入ってくる

その後、私はバイク用品メーカーに就職し、愛車はR1200GSとさらに最強といえるツーリングバイクを手に入れ、どっぷりバイク旅の世界につかります。

「ツーリングに行くならいくら休んでもいい」と上司に言われ毎年北海道に行き、四国、九州、東北、信州など日本中を【旅】と呼べるスタイルでバイクを走らせました。

2008のR1200GSは15年間で10万キロ、2013のR1200GS‐adventureは6万キロほど走って今はMOTOGUZZI V7とスーパーカブを旅の相棒にしています。

自然との一体感を感じるキャンプ旅 キャンプすることが目的ではない。

旅はとは何か?

旅と旅行との違いは何かは人それぞれ自由だし、距離も場所も特に関係ないと思います。
ただ一つだけ言えるのは自分だけの世界に没入できるか?が旅の定義ではないでしょうか。

お友達と走るのももちろん素晴らしいけど、自分には自分だけの旅というのが必ずある。
一人ぼっちのバイク旅だからこそ見える景色と、自分だけの旅の世界という素晴らしさ・・・それが貴方にもありますよ!と、私は写真家として広めていきたいです。

人々が忘れかけていた旅精神を取り戻す・・・

それが私の役割だと思って活動しています。
ここまで読んでいただき感謝です。

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