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タイ・バンコクなど、11月1日から外国人観光客の受け入れ本格再開。

「日本はいつから外国人観光客を受け入れるの?」

このところ、タイ人の友人からそんなストレートな質問を受けることが増えてきました。日本国内におけるコロナ感染者数の収まりや、ワクチンの接種状況はタイにも伝わっていて、今か今かとこちらの様子をうかがっているようです。

そのタイでは、一足先に今年7月1日から「プーケット・サンドボックス」プロジェクトにより、プーケット県で外国人観光客の受け入れを再開。さらに11月1日からは、バンコク都を含む17県(一部エリア制限あり)に対象を広げ、46の国・地域からの渡航者について、ワクチン接種済みの証明提示等で、隔離措置なしの受け入れを再開します。これらの国々の中には日本も含まれています。

タイ国内での感染状況に目を向けると、一時のピークは脱したとはいえ、いまだ全国で1日あたり約8000~9000人の新規感染者が出ており、また、ワクチンの接種率(2回接種済み)については41.47%(タイ保健省発表、10月28日現在)にとどまっています。それでもタイ政府が外国人観光客の本格受け入れ再開に踏み切ったことは、経済重視の路線を内外に示したものといえます。観光収入が国を支えるタイ。ちょうどこれから年末年始にかけて、雨が少なく過ごしやすい乾季を迎えます。そうしたハイシーズンを逃したくないという思いもあるのでしょう。

タイ国民の反応は冷ややか。

では実際、タイの国民はこうした動きをどう見ているのでしょうか。タイ保健省衛生局が、今回外国人観光客受け入れ再開の対象となる17県の住民に対して10月17日~24日に行った「2021年11月1日からの”開国”に対する不安」調査によると、「不安だ」と回答した人は92.4%に上っています。さらに、次の項目を懸念材料としてあげています。

新しい感染の波が来る(75.8%)、国民の感染対策がおろそかになる(49.7%)、観光関連施設がきちんと感染対策をしない(45.10%)、自分や家族が感染する(41%)、外国人観光客の水際対策が不十分かもしれない(37.1%)、またロックダウンされる(37.1%)、病床の数が足りない(31.7%)

クラスターの発生が心配な場所として、パブやバーなど娯楽施設(89.2%)、公共交通機関(43.1%)などがあげられています。

また、国民が考える「安心して外国人観光客をに受け入れるために行うべき対策」として、すべての県においてワクチン2回接種率が70%を超えること(72.53%)や、国境付近における不法入国者の取り締まりを強化すること(60.58%)などを求めています。

このように国民の不安は拭えないものの、少しでもその不安を軽減させ、理解を得るために、タイ保健省衛生局が立てた観光関連施設におけるコロナ感染対策の3つの柱が、

Self certification (自己認証) 観光関連施設においてはThai Stop COVID PLusというシステムに登録、コロナ感染対策における自己評価を行い、利用者が「E-Certificated 電子証明書」を見えるように掲示する。

People voice (人々の声)  観光関連施設の感染対策について、電子証明書のQRコードやThai Stop COVID Plusのホームページなどを通して、国民が評価し、また助言や改善の要求ができる。

Active Inspection(有効な検査)  官民合同の調査委員会を設置、COVID Free Area/Zoneを監督・点検し、2週間ごとに感染対策について保健省の基準や法令に照らし合わせ評価を行う。またチェックリストを作成、助言や警告を行う。

11月1日から始まる外国人観光客の受け入れ本格再開は、こうした対策とともに、12才以上の子供たちも含めたワクチン接種の更なる推進や、手洗いやマスクの着用など基本的な感染対策と並行して行われていきます。まだ、タイ国民が「諸手を挙げて外国人観光客を歓迎する」といった状況ではなさそうですが、これがウィズコロナにおけるタイの決断です。コロナで打撃を受けてきた観光業が回復の道をたどるよう祈りつつ、日本から状況を見守っていきたいと思います。


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