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タイ人が注目する日本在住タイ人インフルエンサー

訪日インバウンド観光のプロモーションにおいて、日本に住んでいる外国人の情報発信力や、外国人ならではの視点を活かす取り組みは、コロナ以前より盛んに行われてきました。コロナ禍で海外から日本への渡航が途絶えたことにより、さらにそうした日本国内に住む外国人の発信力に注目が集まっています。

もちろんタイ人も例外ではありません。在日タイ人の発信力によって訪日タイ人誘致が成功した事例といえば、新潟県の湯沢町。スノーリゾートで有名なこの小さな町に2011年頃からタイ人観光客が急増した背景には、湯沢町在住で日本人と結婚されたタイ人女性によるタイ語のFacebook発信がありました。今では、雪景色とともに「ガーラ」も「ユザワ」もタイ人によく知られたワードとなっています。

現在、留学や就労、結婚など様々な理由で日本で暮らすタイ人は約5万人。(53,344人, 2020年6月末現在)その多くは関東圏に集中しています。もともとFacebookを中心にSNSの利用頻度が高いことで知られるタイ人ですが、コロナ禍において、この日本の「中」に住むタイ人の多くが、以前にも増して積極的に日本の今を発信しているように見受けられます。

そうした数々の情報発信の中で、特にタイ人から注目されているのが、ครบเครื่องเรื่องญี่ปุ่น 「クロップ・クルアン・ルアン・イープン」です。

タイ語で「日本のことすべて」を意味するこのSNSサイトは埼玉在住のタイ人夫婦によるもので、タイ語のfacebookページのフォロワーは約67万人、youtubeチャンネルは登録者が約17万人と、絶大な人気を誇っています。

ほぼ毎日更新される投稿の内容は「日本のことすべて」のタイトルに相応しく多岐に渡っており、旅の情報や時事ニュース、日本での生活全般、衣食住に関わる情報、ショッピング、アニメや芸能などの文化、また日本人のライフスタイルなど。在住者としての鋭い観察力をもって、詳細で丁寧に語られる情報は、世代を問わず支持されており、日本の「今」が知りたいタイ人にとって、非常に影響力のある情報発信源となっています。日々寄せられる数多くのコメントや質問にも丁寧に回答されており、発信者とフォロワーの双方向の関係が生まれているのも人気の理由だと思います。

ちょうど昨日、関東地方を中心に大きな地震がありました。すると本日のfacebookでは「日本人の非常持ち出し袋の中には何が入っている?」というテーマで、災害時にあると便利な防災グッズについて投稿されていました。まさにタイムリーな話題。タイでの災害時にも活かせる日本のアイデアとして共有しているところも、日本から故郷タイを思うタイ人ならではの視点です。

このように、日本の今をタイ語でタイ人に向けて絶え間なく発信し続けているSNSサイトの存在によって、コロナ禍であってもタイ人の日本に対する興味が切れ目なく続いています。きっと今後もアフターコロナへと、スムーズに訪日タイ人が戻ってくるための橋渡しを担ってくれることでしょう。

タイ語には「絶えず、着実に」を意味する「ルアイ・ルアイ เรื่อยๆ 」という言葉があります。「仕事を続ける」とか「SNSの投稿を続ける」とか、何かをし続けるときによくタイ人が口にする言葉。絶え間なく何かを続ける、と言うと、どうしても力んでしまいがち。でも、タイ人が「ルアイ・ルアイ」と口にするときは、どこか肩の力が抜けてリラックスしている。

今回紹介したSNSサイトのタイ人夫婦も、そんなリラックスした「ルアイ・ルアイ」な姿勢で投稿を続けているように感じられます。今後も注目していきたいと思います。

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