見出し画像

ドラマ『舞いあがれ!』を応援する理由

脚本の桑原亮子さん。
名作『心の傷を癒すということ』の脚本を書かれた方だそうで、朝ドラの丁寧な人物描写に納得。
経歴を拝見すると、自分と重なる部分もあり、一方的に共感を寄せている。

まず、中途失聴者であること。
小学校6年生ぐらいから聴こえにくくなったそうだ。
原因不明の感音性難聴。
(私の場合はほぼ遺伝性)

そして、ハンディキャップを補うために、弁護士を目指す。
この飛躍、とてもよくわかる。
何もそんなひとっとびに難しい資格を目指さなくても・・と思ってしまうが、私もそうだったように、「少し人よりできる」ぐらいじゃだめだと思い詰めてしまうのだ。
「これが見えぬかー」ぐらいの強力な武器じゃないと、ハンデは補えないと。

桑原さんは、司法試験を目指す過程で、人の声を聞き取ることがほとんど不可能になり、法曹を諦めたという。
全盲の弁護士も、聾の弁護士もいるから、絶対になれないことはないけれど、耳が悪いと講義を聞くのも一苦労だし、仮に合格したとしても、その後の司法修習→実務での困難を想像して、やる気が失せてしまうのも無理はない。
筆談を頼むにしても、ノートテイクを頼むにしても、手続きから気遣いから、いちいち面倒だ。
なんというのか、この国では、障害者は、人を頼ることよりも、遠慮することを選んでしまう気がする。
社会の空気がそうなのかも。

一時期、暮らしていた英国は全然違った。
車椅子で出歩いている人の数もとても多いし、スーパーで居合わせようものなら、言葉が通じなくてもお構いなしに、「あれを取れ」「それを取ってくれ」と指図される。
車椅子で、立てなくて、高いところに手が届かないから小さくなってるなんてこと、全くない。
堂々としていていいなあと、素直に思った。
話が少し逸れた。

法曹を諦めた桑原さんは、一般人が投稿する文芸誌を目にしたことから、「書くことならできる」と思い、シナリオセンターに通い、そして今の道を築かれた。

目標とか、なりたいものとかがあるならきっと、自分だけのアプローチの仕方っていうのが絶対に見つかると思うんですね。なので、周りの人から、ちょっと無理なんじゃないかと言われても、それに惑わされずに、どこかに登る道があるはずだって、諦めずに探して欲しいと思います。

NHK『ハートネット』

https://www.nhk.or.jp/heart-net/rounan/

「自分だけのアプローチの仕方」を見つけて、どこかにあるはずの「登る道」を探す。
それは、障害の有無に関わらず、誰にとってもそうかもしれない。
年齢を理由にしたら、何もできない。
だからこその、「自分だけのアプローチの仕方」がきっとあるはずだ。
がんばらなきゃなあ。

障害は、自分で補うものではなくて、
もちろん、自身で努力しながらも、
同時に、周囲に頼って、助けてもらうべきものなんじゃないかなあ・・と、
60年近く生きてきて、やっと思えるようになってきた。
強がって、肩肘張るばかりの生活は楽しくない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?