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どうせやるならとことん楽しもう(3)

「えー!!それどうしたの?!」

「うん、二学期の終わりにみんなの百人一首の盛り上がり方を見てたらね。Kさんと同じく先生も、みんなができる分買っちゃいました。もともとあった3セットに16セット加えて、これで19セット。うちのクラスは32人なので、全員が新しいのを使ってできる数あるよ。」

「うそぉ!じゃあ私自分で買わなきゃよかった。」

「いやいや、家にマイ取り札があるなら、もっと特訓できるからなおさらいいと思うよ。というのも、3学期は、毎日百人一首をしようと思ってるから。」

子ども達が「何を言い出した?うちの担任は?」といった訝しげな表情でこちらを見つめる。

「毎日って、できるわけないでしょー。」

「昼休みに全員で強制的にとかは嫌ですよ。」

と、子ども達からは即座に、様々な反応が返ってきた。

「もちろん、休み時間に強制とかそんなことはしないよ。先生はそんな先生じゃないのはわかってるでしょ。」

いや、まあそうだが、じゃあどういう事なのよ。

と言わんばかりの子ども達の視線にしっかり向き合いながら、

僕は説明を続けた。

「百人一首をするのは、毎日6時間目に。クラブ化委員会のある木曜の6時間目の日は5時間目に。5時間目の授業を30分で終わらせて、毎日残りの15分は、百人一首の練習試合をしましょう。で、金曜日の5・6時間目は2時間学活なので、毎週トーナメント大会をします。卒業までにあと8週間はあるので、まずは1色戦のトーナメントを5回、その後は2色戦で3回、もし慣れてきたなら2色戦の3回目、卒業前には3色戦で、本当のちはやふるみたいに25枚ずつでやれたらいいかなと思ってます。どうだろうか。」

さぁ子ども達の反応は、思っていた以上に大喜びでこの話を受け入れてくれた様子が伝わってくる。

「ま、まじか、毎日やるのか。うぉぉぉ、これは燃えてきた!」

とやる気スイッチどころかやる気ロケットエンジン点火みたいに気合の入り様のYくんやMくんなどの男子もいれば、

「よし、勝つぞー。」

と小さくつぶやきながら握りこぶしをぐっと握るSさんのような子も見られる。

自分で百人一首を買ってしまったことをちょっと後悔していた様子だったKさんは、

「私、毎日家でも気兼ねなく練習できるじゃん。やったぁ。」

と、猛自主練ができるぞと喜んでいる。

「また、毎日の練習とトーナメントは、完全にくじで抽選するから、そういった意味でも、対戦が楽しめるし、冬休みにプリントを渡したところからのスタートだから、レベルアップの時間はみんな平等だと思う。強さの差は、どれだけ打ち込めるかの差だと思うので、ぜひはまってほしいなと思います。」

さぁ、明日から卒業間近まで、6の4の『ちはやふる』劇場は、どんな時間になるのだろう。

こちらもワクワクしてきた。



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