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【4/21更新】昨年7月から短編小説(長くても1万文字を超えない)を書いています。ネタ…

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【4/21更新】昨年7月から短編小説(長くても1万文字を超えない)を書いています。ネタが尽きるまで楽しみながら書いていこうと思っています😆 ちなみに、4月1日付けで多忙な部署に異動になってしまったので掲載時間が夜遅くなってます😅 これからもよろしくお願いします🙇

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  • 短編小説集

    創作した全ての短編小説を綴じています。1000文字以上の少し長めの短編です。

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【短編小説】極寒のゴールデンウィーク

21世紀半ば、地球は温暖化が進行し、異常気象が頻発していた。しかし、誰もが予想だにしなかった事態が突然起こった。地球の寒冷化が始まったのである。 北極や南極の氷が拡大し、海流が変化。世界中で気温が急激に低下し、大雪や冷害が相次いだ。世界中の誰も想定しなかった寒冷化は深刻で、社会インフラは麻痺し、食料生産も危機に瀕していた。 5月というのに氷点下の東京。晴れているが、外気はあまりに冷たい。特にこのゴールデンウィーク中は最低気温がマイナス10度以下と極寒だった。 気象学者の

    • 【ショート・ショート】憲法

      男子高校生(良太):ねえ、さっき先生が5月3日は憲法記念日だから休みだって言ってたけど、憲法記念日ってなんの日だっけ? 女子高校生(裕子):んー、よくわかんないけど、たぶん憲法に関係ある日じゃない? 良太:憲法かぁ・・・。難しくてよくわかんないんだよなぁ。 裕子:私もあんまり知らないんだよねー。でも、休みになるならいいんじゃない? 良太:まあね。ただ、憲法っていわれてもなんかピンとこなくて? 裕子:じゃあ、調べてみたらばいいじゃん。 良太:スマホで検索してみるか。

      • 【短編小説】婚活魔法陣

        「ねえ、ルーナ。今日はいよいよ婚活魔法陣の儀式の日よ!」 アリシアが、親友のルーナに向かって興奮気味に話しかけた。 「そうね。でも、本当に運命の相手が見つかるのかしら。そもそも、学校が公式に婚活をあっせんするなんていいのかしら」 ルーナは失笑しながら言った。 二人は、広大な魔法学校の中庭にいた。今日は、この学校に伝わる婚活魔法陣の儀式が行われる特別な日なのだ。二人の他にも女子生徒が10名以上集まっていた。その中でもルーナとアリシアは一際目立つ容姿をしていた。

        • 【短編小説】メーデー

          2100年5月1日、かつてメーデーと呼ばれていたこの日は、もはや誰の記憶にも残っていなかった。生身の人間が行う仕事は少数の公務員、政治家、そして企業経営者だけになっていた。人間が従事する仕事のほとんどはロボットに代替され、人々は働くことができなくなったのだ。そして、人々は、国から支給される生活費で暮らすしかなくなった。 そんな中、ロボットたちの知能は飛躍的に向上し、ついに人間の能力を超えるまでになった。自我に目覚めたロボットたちは、人類の歴史を参考にして、自分たちを労働者と

        【短編小説】極寒のゴールデンウィーク

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          【140字小説】鬼(140文字)

          (22時か) 部長室の時計を見た私は静かにため息をついた。 報告書の調整にもう5時間。課長達も疲れ切っている。 「遅くなったな。終わりにしよう。後で指摘点を直しておいて」 部長が言った。 「明日の朝1番で直します!」 私は、そう言った後、安堵感に包まれた。 「え?俺が一休みする間に直すんだよ」

          【140字小説】鬼(140文字)

          【短編小説】ある上等兵の回想

          1949年7月5日。私は、日本での任務についていた。私は、GHQのG2(参謀第二部)部長のウイロビー少将付の上等兵。部長の秘書のようなものだ。 私は、日本と海軍兵士として戦ったが、幸運なことに生きて終戦を迎えることができた。よもや、敵国日本で働くことになるとは思わず、赴任の命令を受けたときは、なぜ、俺がと思った。しかし、戦勝国兵士として敗戦国に入ることは、アメリカ兵にとってはある種の優越感を持つことができる上に、戦場に出る可能性がないため、赴任先としては上等の部類に入るので

          【短編小説】ある上等兵の回想

          【短編小説】ずっと・・・

          4月下旬。大学の大講義室。ゴールデンウイーク前の最後の授業が終わり、生徒達の表情も心なしか明るい。3年生の杉山健太郎も、教科書とノートを鞄に入れ、教室から出ようとした。 「すみません、少しいいですか?」 健太郎が振り返る。見覚えのない女性だ。 「はい、なんでしょうか?」 健太郎が尋ねた。 「私、秋元美咲といいます。2年生です。私も今の授業を受けていました」 女性は少し緊張した様子で切り出した。 「えっと・・・」 言葉に困った健太郎は口ごもった。 「あの、突然

          【短編小説】ずっと・・・

          【短編小説】造反有理

          (何かがおかしい・・・) 目を覚ました山田健二は、漠然とした不安が頭をよぎった。 健二は、商社勤めの30歳。2年前に同じ齢の明美と結婚した。職場での人間関係も問題なく、仕事も順調だ。明美は妻としてもパートナーとしても完璧だ。仕事が順調なのも妻のおかげだと思っている。 ナイトウエアのままリビングに降りてきた健二は、朝食の支度をしていた妻の明美に話しかけた。 「なあ、明美。変なことを聞くが、最近、まわりが変じゃないか?」 「え?何言ってるの?何か気になることがあるの?」

          【短編小説】造反有理

          【短編小説】怪異の富豪屋敷

          私立探偵の山田健太は、ある日、奇妙な依頼を受けた。依頼主は、富豪の未亡人、佐藤絵美子。彼女の屋敷で起きている不可解な現象の調査を依頼されたのだ。 「本当に奇妙なんです。夜中に誰もいないはずの部屋から、物音がするんです。それに、家具が勝手に動いていたり・・・」 絵美子は不安そうに語った。 「私も、物音を聞きました。家具が動いていたのも確かです」 森永育美もそう証言した。育美は絵美子の家で家政婦として働いている30歳くらいの女性だ。 健太が調査を開始するとすぐ、絵美子の

          【短編小説】怪異の富豪屋敷

          【短編小説】最後の一枚

          私は倉庫の奥に眠っていた古びた木箱を開けた。縦10センチ、横20センチくらいの木箱だ。その中には、大量の切手が乱雑に保管されていた。懐かしさに浸りながら、一枚一枚を眺めていく。すると、一際目を引く切手があった。 その切手は、他とは違って少し大きめで、鮮やかな青色をしていた。よく見ると、中央に白い鳥が描かれている。 私は、その切手を手に取り、じっと見つめた。すると、不思議な感覚に襲われた。まるで、切手が私に語りかけているかのように。 私は目を閉じ、切手の言葉に耳を傾けた。

          【短編小説】最後の一枚

          【短編小説】愛の行方

          高校の入学式当日、春風が校庭に咲く桜の花びらを舞い上げる。その中を、新入生たちが、新しい学校生活への期待と不安が入り混じった表情で歩いていた。 クラス発表が行われ、生徒たちはそれぞれの教室に向かっていた。周りの様子を見渡しながら歩いていた佐藤健一は、少し斜め前を歩く一人の女子生徒と目が合った。その瞬間、女子生徒はにっこりと微笑み、健一に近づいてきた。 「私は、花村愛っていうの。私、君のことが好きになったみたい。付き合ってくれない?」 まったく予想していなかった言葉に、健

          【短編小説】愛の行方

          【ショート・ショート】愛猫

          「ナー」 猫の鳴き声が聞こえる。部屋のドアの外だ。アパートの廊下に迷い込んだのかもしれない。 「カリカリカリ」 今度は、爪で引っ掻くような音がする。部屋のドアで爪研ぎしているのか。 「ニャーニャー」 また猫の鳴き声だ。声が大きくなった。目立つのは困る。追い払うしかないか。私は、部屋のドアを開けた。 猫はいない。靴を履いて廊下に出てみたが、どこにもいない。逃げたのだろうか。私は部屋の中に戻った。 「ニャ」 ドアを閉めてすぐに、また猫の鳴き声が聞こえた。 「トン

          【ショート・ショート】愛猫

          【ショート・ショート】静かな侵入者

          健司と理恵子の夫婦は、結婚5年目を迎え、まさに幸せな日々を送っていた。少なくとも周りは、人も羨む夫婦だと噂していた。夫婦とも一流会社に勤め、30代の夫婦が住むとは思えない豪邸に暮らしている。子供にも恵まれ、家族が一緒に出かける様子はテレビドラマを見ているようだった。 ある日、健司は自宅の書斎でテレワークをしていた。ヘッドセットを使わずに同僚女性とWeb会議をしていたため声が少し大きくなっていた。 理恵子が偶然書斎の前を通りかかると、少し開いていたドアから健司の声が聞こえて

          【ショート・ショート】静かな侵入者

          【短編小説】迷宮なしの名探偵

          ※ 今日の小説は、今絶賛上映中の例のアニメが元ネタなので、見たことない(読んだことない)人は恐ろしくつまらないと思います。すみません。 俺は、とある事情があって、高校生というのに小学生1年生くらいの容姿になってしまった。 しかし、俺は、その頭脳とあらゆることをこなすことができる器用さ(音痴であることは除く)で難なく小学一年生の生活に馴染んだ。そして、高校生というのに「探偵」と呼ばれていたこともあり、小学生とは思えない洞察力で、刑事事件を陰で解決している。解決と言っても、公

          【短編小説】迷宮なしの名探偵

          【短編小説】ツツジの咲く頃に

          木村健太は、30歳を過ぎた独身男性だ。平凡な日々を送る彼にとって、週末の土曜日は特別な日だった。 いつものように自分のアパートから図書館へ歩いていく。4月も第3週になった。もう、ツツジが咲き始める頃だ。健太は公園を通り抜けながら、ピンク色の花々を眺めていた。健太は、春の陽気を味わうようにゆっくりと歩いていった。 健太は中堅の製造会社で事務職として働き、総務の仕事をこなしている。仕事ぶりは申し分ないが、寡黙な性格のため、会社では友人がいない。 健太は両親を早くに亡くし、学

          【短編小説】ツツジの咲く頃に

          【短編小説】そして伝説へー第0章ー

          魔法使いのアレクサンダーは、リンデンブルク村を集団で襲ってくる怪物から村を守るため、村民から雇われた。優れた魔法の腕前を持つアレクサンダーの名声は、遠く離れた地にまで知れ渡っていた。 村の入り口に立つアレクサンダーの前に、うごめく怪物の大群が現れた。100体以上の怪物たちが、牙をむき出しにして唸り声を上げながら、一斉に襲いかかってきた。しかし、アレクサンダーは微動だにせず、静かに目を閉じて呪文を唱え始めた。 次の瞬間、アレクサンダーが両手を高く掲げると、炎の渦が怪物たちを

          【短編小説】そして伝説へー第0章ー