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2020年のiPadはコモディティ真っしぐらかもしれない

iPadOS13.4で実現した「iCloudフォルダ共有」

 新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、さまざまな催しが延期・中止されている中、新型iPad Proが3月18日に発表されました。その新型iPad Proに搭載されるのは iPadOS13.4。

 私みたいな12インチに未練たらたらなんだけど、持ち運びが便利ということで iPadPro11インチに乗り換えて、まだコレって使えるよなっていうユーザーが待っていたのは、iPadOS13.4のほうかもしれません。

 iPadOS13.4がとにかく実現したのが「iCloudフォルダ共有」。今までファイル共有ができなかったので OneDriveやGoogleドライブを使っていたわけです(OneDriveは仕事先でWindowsパソコンを使っているせいもありますが)。
 iCloudのファイル・フォルダ共有。ちょっと遅れて登場ですが、これで私のAirDropの利用頻度が減るかもしれません。今までファイル共有用だったOneDriveは今後ファイル置き場化するかも。でも、リスクを分散するのは基本ですから、緊急用のGoogleドライブは外せないかもしれません。何でも一本化は良くありません。

Magic Keyboardは前モデルのiPad Proでも使える

 もう1つ。私みたいな前のiPadPro11インチユーザーでも、とりあえず新しく発表された、トラックパッド付きの『Magic Keyboard』キーボードには興味があるかもしれません。このキーボードは、今回発表された12.9インチ(第4世代)、11インチ(第2世代、11インチは前モデルが初出)だけでなく、2018年発売の前モデルの12.9インチiPad Pro(第3世代)、11インチiPad Pro(第1世代)といったホームボタンのないiPad Proでも使えるそうです。

 なお、Magic Keyboarの発売は5月とまだ先ですが、そのマジックのタネはiPadOS13.4です。iPadOS 13.4のリリースは3月24日から始まるので、Magic Keyboardを待たなくてもアップデートすれば、既存のMac用Magic Trackpadやサードパーティー製のマウスで、iPadの新しい操作体験を味わうことは可能です。

 以前のようにコントロールセンターでややこしい設定をしなくても、Bluetoothマウスなどを接続すればすぐに使うことができ、マウスポインタだけでなくカーソルもiPadで利用できます。せっかく覚えた「空白」キーの長押しを忘れてしまうかもしれません。
 Apple幹部のクレイグ・フェデリギ氏がMagic Keyboardのトラックパッドを操作する動画も公開されています。

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ついにiPadでマウスポインタだけでなくカーソルの解禁

ホームボタンを備えた普通のiPadにもトラックパッド

 iPad・iPad Pro用のキーボードといえば、Magic Keyboardでも相変わらずがんばっているのがロジクール製品です。こちらのMagic Keyboard互換製品は非Pro向け。ホームボタンを備えた旧フォームファクタのiPad向けに設計されているそうです。

 やはり5月発売なので、純正品と真っ向勝負というか、2018年以降のiPad対応を謳うApple Pencil互換製品みたいに非Pro向け陣営に加わるのかもしれません。

 ホームボタンを備えた旧フォームファクタのiPad向けに設計されており、対応モデルはiPad Pro(10.5インチ)、iPad Air(第3世代)、iPad(第7世代)となります。

 iPadは浮かせられませんが、キックスタンドは40度の傾斜があります。ケースはiPadの角や前面と背面を、擦り傷や水こぼれから保護。Apple Pencil(第1世代)やLogitech Crayonも上部に収納できます。スマートコネクターとの互換性もあります。

iPadOS14ではPencilKitによる手書き認識が利用可能

 さて、5月に登場するMagic Keyboardよりももう少し先の話になりますが、次のiPadOS14では、iPadの手書きが変わるかもしれないといわれています。これは「PencilKit」と呼ばれる手書き文字を認識するOCR機能が追加されるからで、以前に紹介した一太郎dashやOCRというアプリは印刷物を撮影して、そこにある文字をOCRしました。手書き文字をテキストとして認識するのもOCRと呼ぶべきかどうかわかりませんが、とにかく手書き文字が認識できるようになります。

 これまでの「手書き」というと「手書き入力」アプリのようなソフトウェアキーボードの一種というイメージがありますが、手書き認識というのはApple Pencilで画面に手書きした文字がテキストに変換されて文字入力されるだけでなく、そのままテキストとして認識されるというものです。
 手書きがテキストに変換できると、まず検索できるようになりますが、手書き認識はそれだけではなく、現行で手書き認識をデジタルインクとして実装しているNoteshelfやGoodNotesなどアプリでは、テキストでなくても手書きした文字でも検索することができます。

 PencilKitでこれと同等のことができるようになってiPadOSの標準機能となると、さまざまなアプリで手書き認識が利用できるようになります。Apple Pencilで手書きした文字がキーボードで入力したテキストと同じように利用できるようになり、iPad・iPad Proの使い勝手が革新的に向上するわけです。手書きが利用できるPDFメタ編集でも利用できる範囲がさらに広がることになります。

iPad・iPad Proはコモディティ化するか

 手書き認識はともかく、2018年以降のiPad・iPad Proならばデジタルペンが使える。さらに今年はトラックパッド付きのキーボードもマウスも使える。こうなると、もう誰も彼もがiPadを使っちゃうかもしれない。

 過去10年間に及ぶ「iPadって何?」という疑問が薄れ、勝馬に乗るではないけど、iPadを使うのに何の疑問もなく、価格も妥当で必要十分な機能が提供されれば、もうパソコンかiPadかで迷うことなんてないかもしれない。
 そもそもこの10年で従来通りパソコンを利用する人、iPadで十分間に合う人は住み分けされて来たので、今は自分の周りにどちらの人が多いか次第で選んでも問題なくなったともいえます。

 iPadも登場して10年ですが、思い出すのはやはり逆風の時代。iPhoneにしても同じだったけど、何となく最近肌で感じているのが、かってはパソコン、スマホの両方からiPadに吹いていた逆風が吹かなくなってきたこと。
 なので、2020年はついにiPad・iPad Proがコモディティ化するかもしれない。コモディティ化するのは通のiPadかiPad Proのほうか、その両方はまだわかりませんが。

iPadの「心地よいと感じる操作性」って何だろう?

 そんなコモディティ化する直前のiPad・iPad Proを「心地よいと感じる操作性」と名付けて、これをアップルが達した結論なのかとしたのが以下の記事。

 結局、無駄にキーボードで薄型化を極めたりするよりも「絵を描くなら指先よりペンを使った方が効率がいい」「キーボードを打つなら、ペタペタよりストロークがあった方がいい」「マウスの使い勝手から逃げられない」という、人に染み付いた「心地よいと感じる操作性」に寄り添った方がいいという結論にアップルは達したのではないだろうか。

 なかなか言いえて妙な文章なのですが、そういえば、私とiPadの付き合いも10年近くになりますが、そもそも「心地よいと感じる操作性」というのは何なのか。キーボードとマウスはパソコン時代の周辺機器なのだから、それをiPadに合わせることになぜこんなに時間がかかったのか。

 そのヒントは、最初からキーボードを装備したSurface が人気が出なかったのはなぜか。キーボードがないiPadがなぜChromebookと比べられるのか、ということ。

 この10年は人類がタブレットという新しい道具に慣れるのに必要な試行錯誤の時間だったのではなかったのか。iPadはある時は「大きなiPhone」であり、ある時は「キーボードが使えるパソコン」でもあった。そんな矛盾をはらんだ新しいデバイスだったiPadに、キーボードやマウスを合わせるのに時間がかかったのだと考えたい。

 実は、iPadの今の成功はキーボードにこだわらなかったせいだったのではないかと思っています。キーボードにこだわらなかったおかげ、というかキーボードも手書きも音声入力も同列に扱っているのがiPadな気がします(だから皆どことなく中途半端)。

 iPadの今の成功は、キーボードがあってもなくても使えるパーソナルコンピューターを実現したからだと思います。なぜAndroidタブレットが普及しなかったのか(オリジナルのSurfaceが普及しなかったか)。それは早くからあまりにもキーボードを優先しすぎたせいではないのか。キーボードを優先したデバイスはすでにたくさんあったわけで、どんぐりの背比べに陥ってしまったのでは。

 Appleにどれだけ今までなかったものを作ろうという意思があったのか。もう私にはわかりませんが。あくまでも今のiPadの成功と他のデバイスを比較しての話なのですが。


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