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これまでを投げ捨ててフィルムライカを手にした

私は今後どうやって写真と向き合っていこう。
2023年が終わるまであと2ヶ月ぐらいの頃、そんな事を考えていた。

私のnoteを読んでくださっている方は何となく気づいていると思うが、私はここ最近迷走している。レンズをどうしようこうしようとあれこれ入れ替えたりしていた後、カメラ本体にも悩み始めとうとう愛用していたX-ProシリーズからLUMIXのフルサイズミラーレスへ移行した。だが、結局LUMIX S5も素晴らしいカメラだったが「愛機」と呼べるような存在にはならなかった。(その為レビュー書く書く詐欺をしている)

そしてカメラの話だけでなく、何を撮るか、撮ったものをどうしたいかも悩んではいた。これまでのアウトプットとしてはSNS(インスタ・note)、自分のホームページ、仕事としての納品物の三つ。
SNSなどウェブ上で見てもらうことへの面白さは勿論あるのだが、どこか味気ない。やはり写真はプリントするか写真集にして手に持った方がしっくりくる。そして他人からの生のリアクションがあるのが一番嬉しい。

しかしそうやって迷走したお陰もあって、写真に関して大事な要素がまとまってきた。

1.カメラは光学ファインダーとブライトフレームで撮りたい
2.写真はモノクロを極めたい
3.物質としての作品を作りたい

一つめのカメラのファインダー、撮影スタイルに関しては考えがまとまっていた。(LUMIXに移行してしまったのが迷走っぷりを表しているが)

二つめのモノクロに関してはこちらの記事で。


三つ目に関しては割と昔から思っていることではあり、定期的に写真をプリントしたり、人にプレゼントしたりを今もしている。だが、結局プリントの工程はラボに任せている訳で、一番の理想は自分でプリントすることだ。Macでパラメーターをいじって注文し、自宅に配達されたものを見るのではいまいち愛着が湧かない。それが今の写真だ、と言われればそれは理解しているが、私は自分の手で作品を作りたい。

そして考える中でこの三つ目が私にとって一番重要な部分となった。
今後の活動に大きく関わる部分だからだ。撮影の「サービス」ではなく「作品制作」を主体とする。今後どんな人生にしたいかと考えれば、作品を作る人生にしたいというのが結論だった。

なので作品制作を主体に考え、その上で生まれた選択肢が二つ。

1.カメラはデジタルのままで、デジタルネガを使った手焼きプリントをする
2.フィルムカメラとモノクロフィルムを使って手焼きプリントをする

1に関しては、カメラはX-Pro2(もしくは今後出るはずのX-Pro4)を使い、プリンターと暗室を準備してアウトプットだけ変えるというもの。DGSM(デジタルゼラチンシルバーモノクローム)というモノクロプリントか、サイアノタイプやソルトプリントなど古典技法も利用出来る。

2に関してはもうそのままで、撮影からアウトプットまでアナログに回帰するという事。フィルムで撮影→現像→プリントと全ての工程を手作業で行える。

さぁまた悩むことになる。だがこの悩みは前向きに進む為のものなので楽しい。それぞれでどれぐらいのコストになるかなどを計算する。とりあえずLUMIXとSIGMAは全て売却して資金に充てる。やはり選択肢2の方が初期費用もその後のコストも掛かる。選択肢1の方が経済的にはいいだろう…

そしてそうこう考えていると、選択肢2についてある事が思い浮かぶ。

「フィルムで撮るならライカか?」

上述の通り写真を撮る上で大事な要素の一つとして「光学ファインダーとブライトフレーム」がある。周りくどくこう書いたのはこれまでX-Proシリーズを使っていたからであって、これは要は「レンジファインダー」の事でもある。レンジファインダーと言えばライカ。あれ、これはライカを使う時が来たのか?
実際はレンジファインダーのフィルムカメラはライカの他にフォクトレンダーのBESSAやカールツァイスのZEISS IKON ZMなどがある。(一応NIKON Sなどもあるが、レンズのことを考えてMマウント一択だった)実は有力だったのがZEISS IKONだが、残念ながら中古でほとんど出回っていなかった。となるとライカかBESSAか。BESSAの方が若い個体が多いが、シャッター音がうるさいらしいのと、シャッターの修理がいつまで出来るのかが怪しい。折角レンジファインダーで撮るなら可能な限り控えめがいい。となるとやはりライカか。

ライカ。
憧れの。
買えもしないのに新旧いろいろな雑誌などを読み漁って知識だけは沢山あった。
本当に買えるのはあと何年後なのだろうと思っていた。

だが、単にライカが欲しいというだけで選ぶのはナンセンスだとも理解している。選択肢2を選ぶという事はワークフローをデジタルからアナログへと移行することを意味する。シャッターを切ったら画像が現れる訳ではない。カメラが様々な設定をしてくれる訳ではない。一枚一枚にコストがかかる。私は貧乏だ。生活も切り詰めないといけない。

だが、本当のレンジファインダーを使い、モノクロのフィルムを使い、像を生み出すのも写真にプリントするのも全て自分の手で行う、そんな活動を想像するとわくわくする。

どうせなら人生一度しかないし、思い切って完全にアナログにしてみるか。

そしてマップカメラにてLUMIXとSIGMAレンズを下取りに出し、LEICA M2とレンズはNOKTON 50mm F1.5 vintage lineを購入。そして下取りで余った資金などで暗室用品を一式揃えた。

思い切ってとは書いたが売買の確定ボタンを押すのは少し緊張した。
裕福な人ならいいかもしれないが、私としては後戻りも簡単ではないので覚悟が必要だった。

だがその覚悟のお陰で半月程経った今は非常に充実した気分を感じている。
フィルムは5本程現像したが、自分で現像するのは楽しいし工夫のしがいもあって今後がさらに楽しみだ。
そしてやはりこれまで憧れていたライカが手元にあるというのは純粋に嬉しい。古い物なので多少の劣化はあるが、実物を目の前にするとやはりデジタル製品とは違うオーラを感じる。

プリントが人様に買って頂けるものになるまで暫くは試行錯誤の期間が続くだろうが、精進しようと思う。
そしてフィルムでのワークフローに慣れれば人を撮ったりもしていきたい。

何はともあれ、2023年の終わりにして大きな変化を得る事が出来た。
2024年はきっと良い一年になりそうだ。
今からそんな感じがしている。



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