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もっとモノクロで撮りたい モノクロ手焼きプリント#9

フィルムで写真を撮るようになり、自分で現像やプリントを前提としている事からモノクロフィルムで撮るのが当たり前となっていた。
フィルムやるならモノクロだろう、と。

だが、カラーフィルムはそれはそれで良いと思っていて、フィルム写真家のカラーネガで撮られた作例を見るのは好きだし、過去にカラーネガで撮った写真を見てみると「あぁいいなぁ」となる。なので頭の片隅で「いつかカラーも撮ろうかな」みたいな事は考えていた。
実際、世間的にフィルムカメラが密かに人気だ、と言われてはいるが、それはカラーネガの独特のエモーショナルな画が好まれているという事だと思う。モノクロフィルムは世間がそんな風になる前から根強いファンが脈々とずっと使ってきたと感じている。
なのでカラーネガを使えば今フィルムカメラを使っている若い世代の方からも見てもらえるかな、なんて下心もあった。

そんな中、カラーネガを使う機会が訪れた。
音楽仲間の結婚式の2次会の写真を撮って欲しいとお願いされたのがきっかけで、じゃあカラーで撮るかとカラーネガフィルムを購入。自分ではなかなか買おうとならなかったが(高いから)必要となれば躊躇なく買えるのが人間面白い。

そしてそこでの写真は撮り終わったものの、20コマぐらい余ってしまった。
流石に勿体無いなと思い、折角だからカラーで自分の写真も撮ってみようとそのままにして出かけてみる。

ところがいざ歩いてみて困った。
思っていたよりも景色を見る時のモノクロ脳が強かったのだ。
最近はだいぶアナログ写真のプロセスにも慣れ、プリントした時の事を考えながら景色を見る癖をつけるようにしているのもあり、それもあって尚更カラーで考えるのに切り替えが必要だった。
そして仕舞いには良い景色に出会った時に「これはモノクロで撮らないと」と思い、フィルムを巻き戻してモノクロネガに変えてしまった。

カラーは結局3枚程撮っただけで、そのまま現像したので10コマ以上が未露光のままになった。だが不思議と無駄にしたという気持ちはほとんどなかった。それよりも目の前の光景をモノクロフィルムで「自分の言葉として残せた」という安堵感の方が強かった。

最近はモノクロフィルムで撮りたいという思いがどんどん強くなっている。
もっとモノクロで撮りたい。
目の前の景色を変換し、そして自分の手で印画紙に焼き込む。
それらをもっと自分の言葉として自由に使えるようになりたい、と思う最近。


Camera : Leica M2
Lens : Carl Zeiss Planar 50mm F2 ZM
Film : MARIX 400
Paper : Ilford MGRC


フィルム写真の文化の一助になるよう活動を続けたいと思います。フィルムや印画紙、薬品の購入などに使わせて頂きたいと思うので、応援の程よろしくお願い致します!