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「お前はまだ戦略を知らない」私が出会った神書籍

戦略の話を始めると耳鳴りや目眩をおこし意識が飛んでしまう。
「〇〇戦略」と言われても意味がわからないし、わけもわからない。
それは、戦略がわからないのではなく、戦略がどのように決まるかを知らないだけである。

戦略とは、目的や目標を達成するために計画された行動や方針のこと。
実際その戦略を考える戦略的思考は戦略家の数だけあるとも言われ、軍事戦略はもちろん、経営戦略や事業戦略、IT戦略や金融戦略と幅広い。

米国における安全保障戦略の立案と研究をしているランド研究所で客員研究員を務めた防衛大学教授の西村繁樹氏は「戦略の強化書」の中で、以下の金言を挙げている。

「戦略は環境に対応する」

西村氏はこの金言を元に、戦略的思考の基本的順序を導き出し、以下のように書かれている。

大局的かつ客観的に「戦略環境」を見極め、それから、何をなさなければならないか(本書では「戦略的意味合い」とよぶ)を導き出し、これに基づき戦略を立案し、遂行する。

この基本順序をよりわかりやすくしたものが以下のものになる。

「戦略的思考の三段階」
①ある国家等を取り巻く「戦略環境(あるいは時代背景)」を分析する。
②分析した戦略環境から「戦略的意味合い」を導き出す。
③戦略的意味合いを現場の立場からの表現で整理することにより「戦略の骨格を得る。この骨格を肉付けし、具体的な戦略を構築する。

つまり、今がどういった世の中なのか、何が起こっているのかを理解して分析して、何をするべきなのかという問いを立てる。そして問いを解決するための計画を立てる。これが戦略的思考の基本順序であるということを言われている。

西村氏はこの三段階の①②と③は別の人が行うと言われている。現場の人間が①②をやってしまうと、視野が狭くなり、自分勝手な戦略を作ってしまいかねない。
そのため、政府機関では、①②は情報部、③を防衛部が行うとしている。

「初心者にとって、最も難しい作業の一つは、「戦略的意味合い」を導き出すことである。」
多くの場合、環境の分析は自分ではない第三者が様々な書籍や論文で既に行っており、手法やフレームワークも多く公開されている。しかし、重要度や優先順位を導き出すことは、手間がかかるとともに慣れが必要である。
「戦略的意味合い」は「戦略環境」と「戦略」をつなぐ架け橋であり、「戦略的意味合い」と「戦略の骨組み」は対になって書かれる必要がある。「戦略的意味合い」を欠いてしまうと、「戦略」を考える上で何をしなければならないかが不明確になってしまう。
戦略環境を分析したら、分析だけで止めず、何をするべきかを明確に提言することが重要ということである。

慣れと言われても時間がないという人のために、ヨーロッパの戦略家クラウゼヴィッツの言葉を紹介しよう。
クラウゼヴィッツは「戦争論」で戦略と戦闘と戦術の位置付けを定義した。

戦争論(まんがで読破)

戦略と戦術は直接つながるわけではなく、戦闘という概念が入るのは、戦略の中でやるべき戦闘と、やるべきでない戦闘があるためである。

例えば、広告キャンペーンにおいて、同じ認知獲得の方向性でも使う媒体やクリエイティブの形式など選択肢は無数にある。その中で、どれを選びどれを選ばないかを選択することも、戦略の次の段階として重要である。
戦略が決まっても、目の前の戦術に飛びつくのではなく、どの施策が最も良いのか、どれが最も効果的なのかを常に疑って判断する必要があるだろう。

戦略的思考を身につけるためには、「戦略的思考の三段階」を理解した上で、様々な戦略の事例をこの3段階に当てはめてインプットすること。その上で自分で戦略を書いてみることが有効だと言う。
詰まるところ、インプットとアウトプット、どれだけの引き出しを自分の中に作れるかが大事ということである。

本を読み、インプットとアウトプットを加速させることが、戦略的思考力を身につける近道と言えるだろう。

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