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今日の10分日記「坂の上の雲を見ました」

坂の上の雲というドラマをご存知だろうか?
NHKが司馬遼太郎の小説をもとに作った特別ドラマで、舞台の一部が地元愛媛だったこともあり、当時はかなり盛り上がったことを覚えている。
本編はNHKの権利上動画サイト上にはほとんど公開されていないが、オープニングだけは流れていたので、ぜひ一度見て見て欲しい。
久石譲氏が作曲した音楽に合わせて、渡辺謙がナレーションをつけている。

まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている。

小さなといえば、明治初年の日本ほど小さな国はなかったであろう。
産業といえば農業しかなく、人材といえば三百年の間、読書階級であった旧士族しかなかった。
明治維新によって、日本人ははじめて近代的な「国家」というものをもった。誰もが「国民」になった。
不慣れながら「国民」になった日本人たちは、日本史上の最初の体験者としてその新鮮さに昂揚した。
この痛々しいばかりの昂揚がわからなければ、この段階の歴史はわからない。

社会のどういう階層のどういう家の子でも、ある一定の資格を取るために必要な記憶力と根気さえあれば、博士にも官吏にも軍人にも教師にもなりえた。
この時代の明るさは、こういう楽天主義から来ている。

今から思えば実に滑稽なことに、米と絹の他に主要産業のないこの国家の連中がヨーロッパ先進国と同じ海軍を持とうとした。陸軍も同様である。
財政が成り立つはずは無い。

が、ともかくも近代国家を創り上げようというのは、もともと維新成立の大目的であったし、
維新後の新国民達の「少年のような希望」であった。

〜中略〜

彼らは、明治という時代人の体質で、前をのみ見つめながら歩く。

登っていく坂の上の青い天に、もし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみを見つめて、坂を登ってゆくであろう。

明治の日本は、今よりはるかに貧しく、はるかに小さな国であった。しかし、そこで生きた先人たちは、決してその状況に絶望することなく未来に希望を持って歩いていたのだ。
私たちは今、彼らよりもはるかに豊かで、はるかに便利な社会になった日本で、どこか未来に希望を持てていないのではないだろうか?
夢や希望よりも、将来への不安を感じることが多いのではないだろうか?

日本人は再び大きな変化の時代に直面している。
それは日本にとって大きなチャンスにもなり得るし、大きなピンチにもなり得る。
しかし一つ明らかなことは、私たちの人生は私たちにしか切り拓くことはできないということである。
明治を生きた先人たちのような、変化に対する昂揚と、少年のような希望を持って、毎日を挑戦していきたいと感じた。

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