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もし自分が平和園のCMOだったら?/#22 マーケティングトレース

今回、北海道で老舗の焼肉屋「平和園」を対象とした #マーケティングトレース を行います。
とあることがきっかけで、平和園について知り昔から北海道の方達に利用されている企業だったので、トレースすることにしました。

それでは、早速はじめます。

会社概要:平和園について整理する

会社名:株式会社平和園
設立 :1970年10月
所在地:北海道帯広市大通南12丁目1番地
代表者:代表取締役 新田隆教
資本金:3,000万
従業員:140人
事業 :焼肉レストラン(北海道内9店舗展開)
    淡水魚養殖販売及び釣堀経営(大成店横)
店舗 :帯広市内3店舗・十勝管内3店舗・札幌市内3店舗

特徴

・肉本来の旨味を引き出す「手切り」「一丁付け」
・オーダリングシステムを導入し、待ち時間短縮と正確なPOS管理
・地域に合わせた店舗づくり
・従業員の成長と幸福支援

一丁付けとは
「注文を受けてからその数量分だけのタレを調合し、肉に味付けをする手法のこと」

一丁付をおこなっている理由
・タレの作り置きによる味の劣化を防ぐ
・肉の種類(赤身や脂の多さなど)により調味料を調整
と、効率よりもお客さんが「美味しい」と思ってもらうことを重要視しています。


全ては北海道のお客様のために、「味」「時間」「おもてなし」を実現するための取組みと言えます。

事業について
事業は焼肉と釣り堀の1つで展開。
釣堀は季節限定で行っており、1箇所での展開のためメイン事業ではありません。

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ビジネスモデル
ビジネスモデルを図解すると以下の通り。
主な肉の仕入れ先は北海道畜産公社 十勝工場がメイン。

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平和園の概要がわかったところで、「焼肉平和園」の特徴を店舗ごとに見ていきます。

北海道には9店舗あるのですが、会社概要に以下の記載があるため特徴を見てみます。

十勝管内6店舗、札幌市内3店舗
外食チェーン店にありがちな、同じ外装、同じ演出、マニュアルによる全く同じサービスといった画一化は一切ありません。その地域にあった店をつくり、心からくつろげ、楽しめる空間を演出したいのです。

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営業時間、定休日に差が生じているのは、店舗立地を考慮したお客様への配慮が感じられます。また、店舗によってはキッズスペースへの配慮も見られることから、地域による客層で特徴が現れているからでしょうか。

PEST分析:外部環境を整理する

今はコロナの影響もあるため、今一度外部環境を整理したいと思います。

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平和園は北海道内で店舗のみの営業のため、北海道内における外部環境について整理します。

経済的要因
・2015年538万人の人口が2045年に25.7%減の400万人に減少する見通し
・65歳以上の割合が増加し2045年にはピークを迎える

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技術的要因
・SNSやIT技術の浸透
 ⇨例)フードデリバリーの普及
 ※Uber eatsは非対応エリア

社会的要因(これが一番大きい)
・コロナウイルスによる飲食店営業自粛
・牛肉が売れないことによる和牛卸価格の下落

北海道エリアの外部環境を整理すると、

・外食産業がコロナによる影響で営業自粛、休業しているため、酪農家など
 一次産業がダメージを受けている。
・人口減少、高齢化により若い世代の人間が減るため働き手が少なくなる。
 ⇨人材確保難、客層の高齢化

4P:マーケティングミックスで整理

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焼肉平和園の特徴は「コストパフォーマンスが良い」ことです。
ジンギスカン定食ライス、味噌汁、サラダが付いて600円と焼肉定食でこの値段は安い。

口コミを見ても「美味しい」&「コスパ最高」と見かけるため、北海道民の方の中でも評判は良さそうです。

プロモーションは特に行なっている様子はなく、飲食プラットフォーム掲載など行なっているが、広告宣伝費を使って集客を行なっている様子は見られませんでした。

STP:ターゲット、ポジショニングを整理

次に、ターゲットとポジショニングを整理します。
ターゲット:北海道札幌市内と帯広市内のユーザー
(基本は北海道内の住民全てが対象)

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対象ユーザーは、年齢層や職業、利用シーンなどは特に絞っている様には見受けられません。

<職業別>
・学生
・会社員
・主婦
<利用シーン>
・ファミリー
・カップル
・一人
etc…

どの客層、シーンでも利用できるように店舗が作られている印象です。
クチコミを見ても「一人で食べられる」といった内容や、動画でも一人焼肉を楽しまれているのもありました。

次に焼肉平和園の強みを把握するために、ポジショニングの整理

ざっと確認すると、帯広市内だけでも焼肉屋が15店舗ほどあるため、食べログにて「帯広 焼肉 人気ランキング」上位3店舗にて比較します。
※1位は平和園本店

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コスパが良い、なので切り口を価格で作成してみます。

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あまり店舗ごとの差はないので、更に掘り下げていく必要があります。
「安くて美味しい」だけだとユーザーからするとあまり違いがわかりませんね。
※特選カルビで比較すると「あんじゅ」が1000円位高い

上記ポジショニングマップの「安い」「美味しい」から細分化して考えます。

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これまで調べてみると。「素材」「調理」方法に拘りがあり、ここが差別化ポイントとなりそうです。

調理への拘りが強いからか、ユーザーが実際に食べた時の食感が異なり、他店では食べられないといった口コミが見られます。

そして北海道で食べてみたいジンギスカンも平和園では食べることができます。しかしみなさんが想像しているジンギスカンとは少々見た目が違います。平和園のジンギスカンも柔らかくほかのジンギスカンが食べられないほど絶賛とのこと。丁寧な下処理がされ、どのお肉もおいしくいただける平和園になります。

他にもタレと調理法について言及されていることから、美味しさの秘密が伺えます。

タレはオーダーが入るたびに調味料をブレンド。
それを1人前ずつ手揉みしてすぐに提供する「一丁付け」という手法を創業以来続けています。これは肉からうまみがドリップで抜けてしまうのを防ぐため。また肉は切り方を間違うとかたくなってしまうので、繊維の入り方を確認しながら1枚1枚を手切りして、余計な脂や筋も手作業で取り除きます。そして羊肉は最上級のマトンをニュージーランドから。一頭買いなので安く提供できるそうです。

平和園の強みは「安さ」に加え「拘った下処理により実現できる美味しさ」と言えます。

もし自分がCMO(マーケティング責任者)だったら?

外食産業は特にコロナの影響もあるため、積極的に来店を促すことはできません。また、今後どうなるかわからないこともあるため、店舗だけに依存しない取組が必要となります。

現状&新規で取組める内容をざっと整理すると以下の様になる。

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現状でもテイクアウトを行っている様ですが、それだけでは限界があります。

デリバリーについても、需要自体は緊急事態宣言前よりは増えていると考えられるが、今後を見据えての打ち手としては弱い。
(※足下の追加施策であれば勿論良い)

テイクアウト動向

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デリバリー動向

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では残るはECサイト(ネット活用)構築になります。

オンライン販売チャネルを構築する。

コロナウイルスによる外出自粛の影響もあり受給者共にECサイトの利用は増えていると考えられます。

とあるデータでは、61.3%の人がネット利用頻度が増加している。

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また、3月のEC利用率は約5割と前年度よりも増加しており、40代以降は半数以上存在しています。

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新型コロナは年齢層が上がるにつれ、感染した時のリスクが高くなることがEC利用率に現れていると考えて良いでしょう。

これにより、EC利用が当たり前の状態になってきていると考えられるため、平和園として取るべき打ち手はECチャネル構築が一番良いと考えられる。

今後のビジネスモデル

ECサイトを構築することで、ビジネスモデルが以下の通りに変化します。

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今のタイミングであれば、BASEでECショップ立ち上げるのが早いだろう。

コロナにより営業自粛で飲食店のネットショップ活用の動きがある中で、焼肉ヒロミヤはBASEで集客を行う様にしており、BASEで人気が出ているそうです。

直近の対応策としては、サポート体勢も整っているBASEでECサイトを作るのも一つの手です。

今後のことも考え、自社ECサイトを構築しておくことも準備しておきたい。

自社ECサイトを構築したら、売上アップ!とすぐには結果が出ないとおもうので、まずは以下2点を行いたいと思います。
①顧客属性をセグメント化
②集客を3つのフェーズに分ける

①顧客属性のセグメント化
利用頻度別に3セグメントに分けます。
※頻度定義は仮

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ヘビーユーザー:週一回平和園を利用する顧客
ミドルユーザー:月一回平和園を利用する顧客
ライトユーザー:半年に一回程度平和園を利用する顧客

※顧客データベース有無or接客時に判断可否は考慮しておりません。

と仮に定義します。

ECサービスの拡大に伴い、アプローチするターゲットユーザー層を順次拡大していきます。

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<土台形成期打ち手>

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コアユーザーを対象としてECサイトへ誘導し、購入体験してもらう。

方法は、平和園来店ユーザーに対してECサイト案内を行う。
(テイクアウトや手作り弁当購入者、来店する馴染みの御客様)

アナログかもしれませんが、恐らく会員情報を保持していないと想定されますので、メールやDMなどでアプローチが出来ないと仮定します。

現状店舗は休業orテイクアウトのみの営業ですので、お客さんとの接触頻度は少ないですがテイクアウトのみでも平和園のジンギスカンが食べたいファンがいるのは事実です。
※投稿を見ていただくとわかります。

Twitterでも、平和園の手作り弁当に喜びシェアするユーザーもいます。

こういったコアユーザーに対して、来店時にECサイトの案内を直接促すことによって、初期登録ユーザーを獲得することが出来る。

初期ユーザーには、ECサイト利用案内時に初回登録特典を付けてあげます。
例)100円引き、ドリンク1杯無料など

その代わりに、
・ECサイトの利用についてアンケート
・ECサイトの購入者レビュー
に協力してもらう。

初期ユーザーは土台形成期のため、獲得後はミドル・ライトユーザーに拡大するためにも、ECサイトの課題や改善点を洗い出し改善サイクルを回す様に取り組んでいきたい。

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ECサイトの課題洗い出しは、ユーザーアンケートで行います。
しかし、ユーザーには大きく分けて2つのセグメントに分けて考える必要があります。

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ヘビーユーザー(他ユーザーも)は
・インターネットサービスに普段から利用している人
・インターネットサービスは普段全く利用しないor使い慣れていない人
にわかれます。

普段からインターネットサービスを利用している人に対しては、前述したECサイト利用に関するアンケートや、ユーザーレビューの書き込みを行っていただき、普段利用しないor使い慣れていない人には以下アクションを取りたい。

インターネット、ECサイトを普段利用しているかヒアリングした上で
①何もしない
②一度利用を促してみる

使い慣れていない人であれば、②により利用してくれる可能性はある。
①の人はインターネットを利用しない人なので、来店時の顧客満足度を高める様にする。

<ユーザー拡大・成長期>
ECサイトの土台形成期後はミドル・ライトユーザーへの拡大を行う。

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方法は2つ。

①ヘビーユーザー同様に手渡しでアプローチ
②初期ユーザーに対してSNS上で拡散してもらう
⇨例)拡散してくれたら割引クーポンとか、ドリンク券など特典を用意

①のコアユーザーとミドルユーザーを明確に区別することはできませんが、仮にPOSデータにIDが紐づいていれば来店頻度がわかるため、今後会員登録を行ってもらった時にはID-POS連携して来店頻度別にセグメントし、アプローチ仕掛ける様にしたい。

②は、土台形成期に利用してもらってから、
・土台形成期からSNSでシェアしてもらう
・ECサイトの土台が固まってから、取得したメールアドレス(会員登録で)
 に連絡してSNSキャンペーンとしてアプローチ。

ECサイトを第二の柱として成長させるためにも、最低半年間はこの取組を行っていきたい。

※土台形成期からユーザー拡大期の流れが若干ふわっとしており、すいません。。。

<同時並行で進めていきたいこと>

SNS公式アカウントを作成・運用する

理由は、コロナによる影響かアクティブシニアのインターネットやSNS閲覧が増加していること。

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SNSを読む、投稿するユーザーも増えているため、上述した「ネットを普段利用していない人」の懸念も少なくなると想定できます。

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以上
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