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人生の転機って

 過ぎ去りし日々に想いを馳せ、今思うとあの瞬間が…と後になって思うその瞬間こそが、まさしく人生の転機であったのだと思う。それは決して現在の時間軸にいながら同時的に捉えることはできず、現在から過去を覗くことでしか見つけることはできない。時間という靄を身にまとい、それが晴れていくことで徐々に姿を露わにしていく。

 退職2日前。私にとっての人生の転機とは何だったのかと色々思いを巡らせる。現職では残念なことに自分の挑戦してみたかった景色を見ることはできなかった。新宿に越してからは酒を飲み歩く日々が長く続いた。色々な遊びも経験した。それでも心の中の灯火は消えず、夢見る景色に向かって最低限の努力は続けていた。その努力は決して私を見捨てることはなかったようである。

 後日きちんとお知らせしようと思っていたが、こんな辺鄙なnoteを見てくれている人には少し情報を先行公開しようと思う。

 現職を2月末で退職し、今後はニュージーランドで仕事をすることとなった。日本にいるのはあと2~3か月ほどであろうか。職種も勤務国も何もかもが変わるが、すべて自らが望んだことである。むしろ長年の夢がようやくかなった。

 それでも、休学中にバックパッカーをしていた時とはやはり体感が全く違っていて、ニュージーランドという遠く離れた異国で特に期限を設けず生活をするのは、いくら私でも少し怖いと感じるのが本心である。何かあった時に日本に帰るのも容易ではない。

 これまでは、新宿で常に新しい何かに出会い、自分の世界をひたすら広げてきた。もちろん、ニュージーランドで私の世界はさらに広がっていくことだろう。ただ、新宿や日本での広がりには、これからひたすら蓋をする作業を繰り返していかなければならない。これから会う人一人一人にも、心の中でそっと蓋をして、どこかへしまっておかなければならない。その後、決して二度と開かない蓋かもしれないという覚悟も交えながら、一つ一つ、丁寧に蓋をしていかなければならない。

 そんな私にとって、いったいどの瞬間が本当に人生の転機であったと言えるのであろうか。それは埃のかぶった重たい蓋を開けてみないと分からないのかもしれないし、既に周りに充溢しているのかもわからない。人生の転機って。



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