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「美意識」が求めれられる時代を生きる~世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~

「優れた戦略は美しい」
そのように感じることがあります。

そして、美意識を鍛えることにより、そのように気づけることができます。
本書は、そのことを手助けしてくれる本です。

私は本書を定期的に読み直しており、とても大切な気づきを与えてくれるので、皆さんのお役に立てるかわかりませんが、まとめてみたいと思います。
※本書はあくまで解説というカタチをとっていますが、私の感じた「個人的な主張や抜粋」も多いため、気になる方は是非本書をお読みください。

今回は主に美意識がなぜ今の時代に重要かということを、
以下の三項目に分けて解説したいと思います。
・私たちはマズローの欲求5段階説の「自己実現のステージ」に生きている
・その世界では不合理な要素が多く、アートとサイエンスのバランスが必要
・そこで生きるためには、美意識が重要である

■書籍情報
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
経営における「アート」と「サイエンス」
山口 周 著


私たちはマズローの欲求5段階説の「自己実現のステージ」に生きている

現代社会は自己実現のステージにある

私は本書の以下の考えに、強く共感しています。

「そこ」である「現代社会」で暮らしている私たちは
マズローの欲求5段階説でいわれる自己実現のステージにいます。

人類はデジタルが発達してから、とてつもないスピードで、このステージに辿り着きました。


私の父の世代は、
・みんながビートルズや美空ひばりを聞き
・野球と相撲を観て
・鉄腕アトムを読み
・いつかはクラウンの乗りたい
と思う時代でした。=社会的欲求を満たす時代

そこから、私の時代(30代半ば)になり、
・mixiやFacebook、LinkedInのようなSNSが登場し
・SNSでブログや自撮りを繰り広げ
・全世界の不特定多数の気が合う人間と繋がり
・それに疲れた人も出てきた
という時代になりました。=承認欲求の時代(後半)

そして、現代はちょうど自己実現ステージの黎明期にあるように感じます。

自己実現の時代とVUCA

この自己実現のステージは、スピリチュアル系の言葉でいう「風の時代」と似ていると感じるので紹介します。
自己実現の時代はどのようなものか、という視点でご確認ください。
※この表現を使う人たちの前の時代は「土」の時代だったようです。

周りを見渡してみると、なんとなくこの表のように感じる時代になったなと思うことがあるはずです。

さらに今の時代では、「VUCA(ブーカ)」という様々な要素が複雑に絡み合う不確実性の高い世界であるといわれています。
これは、新型コロナウイルスの流行やウクライナ戦争、その影響による円安など、誰もが想像し得なかったことが次々に起こる予測不能な事態から引き起こされるものです。

つまり、論理性や予測はあまり通用しないということです。
そして、論理だけ追求すると、危険な時代でもあるのです。

かつてのマクドナルドの失敗からみるデータの危険性

このような、論理的思考に偏った判断をした事例として、
マクドナルドの例がよく取り上げられます。

マクドナルドは2006年にサラダマックという健康志向の消費者をターゲットにした商品を発売し、世間一般では大失敗したといわれています。

日本全国に3000店舗近くある(2022年現在)マクドナルドが、
勘や雰囲気でマーケティングを行うはずがありません。

このマクドナルドの失敗は、「データだけを信じすぎた」ことにあると言われています。本題から逸れるため、以下の記事に共感したので、詳しいことは参照ください。

【“お客様の声”がすべてではない!】
~マクドナルドの失敗事例からみる施策のうちかた~
https://mbp-japan.com/yamanashi/fujih-and-s/column/5090216/

マイベストプロ

これは2006年の出来事ですが、現代社会ではこのような現象がより確率的に高くなる因子を含んでいるということです。

不確実・不合理な世界を生きるためにはアートとサイエンスのバランスが必要である

人間の「欲」と社会の「流れ」はリンクしている?

さて、話を本に戻すと、マズローの欲求5段階説の自己実現のステージは
「自分らしくいたい・自分の可能性を発揮したい」
という内容でした。
そして、マズローの欲求5段階説は文字通り、「欲求のプロセス」なのです。

その「欲のプロセス」が社会(時代)の流れとリンクしていることはとても重要です。人類は自身の欲の進化・達成を社会全体で引き上げてきたということです。

繰り返しになりますが、私の父の世代では「いつかはクラウン」という言葉が存在した通り、クラウンに乗ることで個人的にも社会的にも認められた時代(社会的欲求)でした。
そして、少し前までの時代(今も一部そうですが)は、「フォローが何千人いる」とか「いいねが何万いった」とか他者から認められることで、個人的にも社会的にも喜びを感じる時代(承認欲求)でした。

そして、自分らしさ(自己実現)を追求する上で、「ライフワークバランス」が意識されるようになり、仕事一辺倒ではなく、生活(ライフ)と仕事(ワーク)との調和が求められる時代(自己実現)になりました。

人間はもともと不合理な生き物である

ここで、少し考えてみてください。
この生活(ライフ)領域である皆さんの趣味は様々あるかと思いますが、
「論理的」に考えて、コスパの良い趣味をされてますか?

ちなみに、私の趣味は茶道(表千家流)と釣り(シーバス専門)ですが、茶碗一碗を何万円もかけて購入し、同じように道具を揃え釣った魚を逃がすという絶望的にコスパの悪い(合理性のない)ことをしているわけです。
他の方も、同様に似たようなことをしていると思います。

趣味を例にして紹介しましたが、休日は起床時間が毎回違う、つい衝動買いをしてしまったなど、生活(ライフ)領域は予測しづらく、気分的要素が強い(曖昧)なのです。このように、自己実現のステージでは、生活(ライフ)領域が今まで以上に強く意識されることから、今まで以上に不確実・不合理・感覚的な世界になります。
※社会的欲求段階においても、合理性や論理性があった訳ではなく、「皆が良いものは良い」とする時代よりも複雑性(不合理性)が増したという意味です。

このような「好きなことをしながら生きる(自己実現)」時代にマッチした
YoutubeやInstagramを代表する数々のプラットフォームが広告などを通じてそのメッセージ性を強め、自己実現のステージはさらなる段階へと素早いスピードで進行しくと予想します。

「美意識」の重要性について

上記のことから、現代社会は自己実現のステージの黎明期にあり、そこではVUCAと呼ばれる不確実性の高い要素が多分に含まれていることはご理解いただけたかと思います。言い換えると、「データは事実だが、真実として映りにくい世界」により移行するということです。
そして、その真実さを見極めるポイントが「美意識」に存在するということです。

本書でも紹介されていますが、美意識とは、音楽や絵画のような創作行為のことではなく、もっと本質的なものとして捉え、それらをビジネスを含めた社会全体で取り組むことが重要とされています。

冒頭に戻りますが、「美意識」という言葉の中に「真・美・善」という要素が存在するということ筆者は説明しています。

これらをサイエンスと掛け合わせ、正しい判断を持つということが求められるということです。
データを無視する訳ではなく、正しい視点を持ち、善い解釈で美しい活動をすることが求められる訳です。

まとめ 

これからは、アートとサイエンスをかけ合わせることが重要

ここ数年で、世の中の情報はデータ化され、ビッグデータと呼ばれるまでに膨大になりました。これからは、その膨大なデータの中から正しいものだけを抽出する能力が必要になります。
その活動を、「真・美・善」という美意識をもって取り組みことが大切なのです。

このデータ(サイエンス)と美意識(アート)の調和こそ、今の時代に必要なのです。

次回より各章を解説いきたいと思います。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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