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S1グランプリで実施した3つのマーケティング施策

はじめまして。
Baseconnectという会社でマーケティングとインサイドセールスのリーダーをしている岩村といいます。
2022年よりはじめてS1グランプリの幹部としてデジタルマーケティング領域の一部を担当し、申込み数2,300名以上(見逃し配信含む)、参加企業1,100社以上の方々にご参加いただくことが出来ました。

今回はS1グランプリで行った、BtoB企業にとって大切だと思う施策についてご紹介できればと思います。

事前にお伝えしますが、内容は至ってシンプルです。
内容だけみると、マーケティング初心者向きです。
しかし、当たり前のことを当たり前に徹底する地道で泥臭い作業が、営業と同じくマーケティングにも求められます。細かい改善の積み重ねが、振り返って見た時に、大きな改善になっているのがマーケティングの主な作業内容です。そのために、日々地道なABテストやメール文面の改修、コンテンツの作成を行っている訳です。

こんな方におすすめ
・BtoBマーケティングに関わっている方
・セミナーマーケティングについて詳しく知りたい方
・S1グランプリの集客施策を知りたい方
・これからセミナーを始めようと思っている方

それでは、どうぞ宜しくお願いします。

はじめに

S1グランプリについて初めて触れられる方は、
宜しければ以下の記事をご覧ください。
S1グランプリの概要や審査員の魅力について紹介しています。

前提としてですが、S1グランプリについては上記の記事の通り、著名な審査員の方々のおかげもあり、一定のBtoB領域における認知度はありました。
何よりも、S1グランプリは以前より、幹部メンバーが営業界隈の人と関係性を構築し、コミュニティなどで定期的に関係性を築き上げてきたことやSNSでの日々の発信など、地道な活動のおかげでファンが非常に多くいらっしゃいました。

S1グランプリ 前提条件

これらを前提として、今回実施した施策をご紹介します。

改善に対する考え方

まず、着手したのはマーケティングファネル上のボトルネックの特定です。
S1グランプリは営業のイベントであり多くの方に無償で営業の魅力を伝え、S1グランプリを応援してくださっているスポンサーの方々にリード情報を提供することで、運営が成り立っています。

この点において通常のファネルとは少し異なり、ファネルのゴールを「成約/購買」ではなく「イベントの申込み」に設定する必要があります。
※S1グランプリは製品やサービスを所有していないため、BtoBマーケティングの本来の目的である成約ではなく、通常の業務として手段として考えられているイベントへの申込みがゴールになります。

そして、S1グランプリを始めとする多くのイベント・セミナーは「見逃し配信」を行っているため、当日の視聴だけをゴールとせず、イベント終了後の見逃し配信までを考慮した考え方が重要になってきます。

まとめると以下のようになります。

セミナーマーケティングのような狭義のファネルとして考えた場合、「見逃し配信」の存在により、一般的なファネル上の「比較検討」領域はもはや存在しなくなります。視聴したいセミナーが、その日に重なった場合(比較検討)、とりあえず申し込んでおけば、見逃し配信により自分の好きなタイミングで視聴できるからです。

この、ファネルにおけるボトルネックを特定し、前提条件であるS1グランプリの優位性をフル活用しながら、低予算で出来るインパクトのある改善策を洗い出しました。

イベント・セミナーでの施策一例

折角なので、イベントセミナーにおける施策の一例について簡単に触れさせていただきます。
※この章をまとめるにあたり、イベントを数多くこなされてきたセミナーのプロフェッショナルであるBaseconnectの河村さんに協力いただきました。

上記の図に違和感を覚えた方も多いと思いますが、イベント・セミナーにおける狭義のファネルとして、今回は3AR(AAARRR)モデルで説明しています。

このモデルは、河村さんと一緒に考えました。
BtoCの業界を中心に認知から購買までの一連の領域をAcquisition(アクイジション)、そして購買してから顧客ロイヤルティの向上までの一連の領域をRetention(リテンション)と呼んでいます。

この一連のプロセスにAARRR(アー)モデルと呼ばれるモデルがあり、
従来のAIDMAモデルと掛け合わせてセミナー用に応用させたモデルが3AR(AAARRR)モデルです。

簡単に説明すると、セミナーの告知からセミナー自体を単発で終わらせずに利活用するまでのダブルファネル的な考え方を取り入れています。
そして、これらのモデルに当てはめた主なイベント・セミナーマーケティング施策一例は以下のようになります。

これらの施策の中で、今回インパクトが出そうな箇所を絞り込みました。

施策その①入口の改善

GA上の数値的な部分は割愛しますが、まず着目したのは入口部分でのクリエイティブ面です。前述の通り、S1グランプリの認知度や審査員の認知度は一定数のボリュームを担保していましたが、ランディングページのCTAのクリック率があまり良くないことは特定できていました。

ちなみに、2021年度のS1グランプリは以下のようなクリエイティブを展開していました。

S1グランプリ - クリエイティブ比較

S1グランプリは、お笑いのM1グランプリのように自分たちが実践してきた営業手法を視聴者や営業のプロフェッショナルに評価してもらい、その年の営業のNo.1を決定する大会として誕生しました。
また、審査員の方々や幹部のメンバーの一部にかなりのフォロー数がいたことから、SNS経由での集客と非常に親和性の高い傾向にありました。

このような背景から、SNS(特にTwitterとの親和性)を考慮しつつ、
S1グランプリがエンターテイメント性も兼ね備えた営業大会であることが伝わるようなクリエイティブ
に変更しました。

ファーストビューだけでみてみると、主な変更点は以下の通りです。

S1グランプリのこだわりポイント

その他、LPの内容もCTAを固定表示にしたり、審査員が何をされている方を明確に訴求するなどちょこちょこ変更しています。

フラットな頭で考えることの重要性

話が若干逸れますが、フラットに考えることの重要性についても合わせて考えたいと思います。極論ですが、例えばターゲットのひとりである「営業部門に配属された入社一年目」が上記を見る場合、以下のように見えます。

S1グランプリ オンライン開催
素材引用:PAKUTASO(https://www.pakutaso.com/)

わかりやすくいうと、「誰?」となるわけです。
そして、重要なのが、「誰?」ともなるわけですが、クリエイティブの力により、「なんとなくすごそう」とも見える方が出てくるわけです。

この記事をご覧いただいている多くの方は、脳のバイアスにより審査員の方々を「すごい人たち」と認識しているわけですが、S1グランプリで初めて審査員に触れる方はそんなバイアスはありません。

ゆえに、経歴などの情報を与えることで、プロフェッショナルたちが集まるイベントであると認知してもらう必要があります。
「なんとなくすごそう」を略歴などの情報によって「本当にすごい」に転換する必要があります。

そして、挑戦者(登壇者)に関しても、自分の実力を試したい、人の役に立つことを話したいという思いの他に、個人のブランディングを少なからず意識しているので、SNSでシェアされた時のogpまでこだわる必要があります。

ogpの重要性

このように、様々なターゲット像を考えながら、クリエイティブを改修し、一定の歩留まりを改善することができました。

施策その②出口の変更

次に、CTAである視聴申し込みフォームの改善を行いました。
このようなフォームの改善をEFO(Entry Form Optimization)と呼びます。
2021年度のS1グランプリでは、主な申込みはPeatixと呼ばれるイベント管理サービスを利用していました。

Peatixは去年までは非常にCPA(申し込み獲得単価)が良かったのですが、
近年多くの企業がセミナーやイベントを注力していることから、Peatix上の攻略は困難になりつつあります。さらに、Peatix上で申し込みを行う場合は必須でPeatix上の会員登録が必要になり、一部のお客さんは離脱する可能性がありました。
これらをGoogleFormに変更し、さらに以前の申し込み項目を半分に減らすことで、入力時間の軽減につなげ、上記を解決したわけです。
※予算に余裕がある企業は、MAやCRMツールなどでの管理をおすすめします。

EFOの改善

ここが一番大きな改善ポイントとなります。
サイトのCTA(お申し込みボタン)のクリック数に比べ、極端にCVR(申込み率)が低いことが一番の要因であることは、GoogleAnalyticsでも顕著に表れていました。

お申し込み時にすべてのリード情報を取得しようとすると、項目が極端に多くなってしまうケースが多いため、イベント視聴後のアンケートに一部の項目を分散させるなど、出来る限りユーザーの負荷を軽減させることをおすすめします。

このような取り組みから、お申し込みフォーム上の申し込み率が向上し、
歩留まりを改善することができました。

施策その③集客の最大化

集客に関してはS1グランプリの幹部の本橋さん(@motohashi0731)と、最年少幹部であるリキくん(@riki_salesman)の発想と行動量の貢献が大きいです。
SNSまわりは、彼らがすべて実施しています。

去年のS1グランプリで築いた関係を活かしながら、Twitterでの「営業祭り」や、ショート動画などもの施策も貢献し、去年よりも200%を超える集客に繋がりました。

Twitterの拡散のテクニックや大切なポイントなど、非常に勉強になります。詳細はリキくんが後日まとめて公開するので、是非noteとTwitterのフォローをいただけると嬉しいです。
※以下のような取り組みの解説を後日リキくんのnoteで発信予定です。

https://twitter.com/riki_salesman


そして、当日に行った施策としては、リテンション領域の最大化です。
S1グランプリ当日に決起会的なものを開催し、「#S1グランプリ2022」のハッシュタグをつけた古瀬さんの投稿とともにS1グランプリの協力メンバー全員でリツイートを行うなど、当日中も参加を促す施策を実施しました。

拡大してご覧ください

これは、当日の途中視聴者の増加だけでなく、「見逃し配信」の新規顧客も獲得できるというメリットがあります。
「見逃し配信」は当日参加できなかった視聴者だけでなく、イベントの存在を知らない新規顧客もターゲットにして企画を設計すべきです。
※ここはとても重要です。

実際、当日のサイトのPV数が集客を開始してから一番高かったです。
しかも、それ以前の日次で一番高かったPV数と比較しても200%を超え、当日だけで300名近い視聴者に参加いただけたのです。

これには正直驚きました。
S1グランプリのファンが相当存在している証です。
S1グランプリはもともと多くの方に愛されていたということです。

まとめ

以上が、S1グランプリで実施した内容の一部です。
今回は予算や時間の兼ね合いもあり、インパクトが高くコストが最小限で対応可能な施策に注力しました。多くの企業の場合、まず確認すべきマーケティング上の項目は、入口と出口付近の歩留まりを大局的に把握することです。

最近ではセミナーの乱立により、集客が困難になりつつあります。
同じ広告コストをかけたとしても、去年の60%程度のパフォーマンスしか出せないのが現状です。

これらを考慮し、セミナー当日だけのリード獲得に目を向けるのではなく、
セミナーを再活用したコンテンツも含めた全体設計に目を向けるこ
とをおすすめします。

マーケティングから商談までの一連の営業活動をパイプラインと呼ぶことがありますが、途中の細かいパイプの穴を塞ぐよりも、塞がっている入口と出口を開放するほうがはるかに高いインパクトをもたらします。
この「出口」部分を「セミナー当日」に設定せず、セミナーの内容を利活用したコンテンツも含めた設計にすることが大切です。

これらの改善も寄与し、S1グランプリを過去最高の視聴者に届けることが出来ました。これらはもちろん私以外の効力によるものが大きいです。

S1グランプリの幹部メンバーをはじめ、プロフェッショナルな審査員の方々、自分たちの実力を信じ、S1グランプリに応募くださった挑戦者の皆さん、当日参加いただいたみなさんの総合力の結果です。

S1グランプリはもともと多くの人に愛されていました。

今回のS1グランプリは私にとっても忘れられない日なりました。
本当に、皆さまありがとうございました。

SPECIAL THANKS

最後にいくつか紹介させてください。
まずは、S1グランプリの幹部メンバーについて。
私は今回初めてS1グランプリに幹部として参加し、正直はじめはどのように振る舞えば良いか分かりませんでした。どこの馬の骨か分からない私に、集客チームの本橋さんとリキくんを中心に全力で頼っていただいたおかげで、楽しい時間としてプロジェクトをこなすことができました。

以下、S1グランプリの幹部メンバーになります。

S1グランプリ幹部メンバー

■代表 - 古瀬さん(@salesdesign2018)
営業を心から愛している方で、その熱量は営業界隈の中でもトップクラスです。

■司会&全体企画 - 小林さん(@chinatsu_toiwa)
当日の司会だけでなく、全体の企画や原稿、審査員の調整など、マルチにこなされている方で、人のために貢献したいという優しい心で溢れた方です。

■企画&集客 - 本橋さん(@motohashi0731)
S1グランプリの全ての領域に関わるCOO的な存在です。
集客チームで色々アドバイスをいただき、本当に頼りになる存在です。

■挑戦者選定 - 横尾さん(@daichi1987)
S1グランプリ発起人の1人です。
1,000名にも及ぶ挑戦者を一人ひとり吟味し、当日まで二人三脚で伴走され、その営業力の高さは名実ともに幹部にふさわしい方です。

■全体運営 - 岩本さん
S1グランプリ発起人の1人です。
開催までの企画の調整だけでなく、当日の全体スケジュールや問い合わせの対応、トラブルへの対処など全て一人でこなされる、きめ細やかと鋭さを持ち合わせた方です。岩本さんのおかげでが当日の運営が成り立っています。

■集客 - 吉武さん(@riki_salesman)
24歳という最年少での幹部ながらSNSにおけるテクニックと、行動量は眼を見張るものがあります。
礼儀正しく、謙虚で気配りもできる将来の成長が楽しみな方です。

そして、もうひとり。
元Basic社で年間350本を超えるセミナーを行い、10月よりBaseconnectにジョインいただいた河村さん(@Kawamura_KZK)です。
今回の記事もチェックいただき、3AR(AAARRR)モデルの深堀りも一緒に議論しながら作り上げました。知識も馬力もあり、本当に頼りになる存在です。

Baseconnectにジョインいただいた河村さん(@Kawamura_KZK)

以上をスペシャルサンクスとしてご紹介させていただきます。

S1グランプリの続編

現在S1グランプリは見逃し配信を行っています。
ぜひ、この機会にご視聴いただけると嬉しいです。

■S1グランプリ見逃し配信はこちらから

そして、なんと12月7日(水)に、惜しくも決勝に進めなかった挑戦者のプレゼンテーションを公開するイベントも開催します。
ぜひ、この機会のS1グランプリに触れていただければ幸いです。

■S1グランプリ - スペシャルイベントはこちら
「当日明かされなかった"3人の営業メソッド"大公開 」


以上、ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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